学生編1 お前の勉強法は本当に意味がわからない
彼が成績優秀だったという話はしたと思う。
では、彼が真面目な人間だったかと言われると、答えるのに数分の時間を要するであろう。
教師の指示には従うし、授業も真面目に受ける。授業中に立ち上がることもなければ、授業終わりに質問に行く姿もちらほらと見かけることがあった。そう聞けば真面目な奴だと思うだろう。しかし、そうではないのである。
彼のノートには謎の棒人間が存在する。歴史のノートでそいつは時に始皇帝として本を燃やし、時に農民となって圧政に立ち向かい、時にカエサルとなって殺されていた。
数学のノートでは、間違えた問題にのみ登場し、「ここができないからダメなんだよ」とダメ出しをする。これを自分自身で書いているのだからひどく滑稽なものだ。
こんなことがあった。
国語の漢字テストにおいて、彼は-10点をとった。もちろんテストの下限は0点である。何が起きたのかとテストを見てみると、
名前欄の横で棒人間が神輿を担いで踊っていた。
何を言ってるのか分からないがまさにその通りなのだから他に言いようがない。
Aは早く終わって暇だったから書いたとのたまった。その言葉に呆けていると、彼は自慢げに過去のテストも取り出してくるのである。見れば全てのテストに棒人間が登場していた。空いた口が塞がらなかった。
さらにAは
「第一回では祭りの小道具が準備され、第二回で祭りの開催が宣言された。今日の第三回ではいよいよ盆踊りが始まるんだ。」などと講釈垂れてくるのだから勘弁願いたい。
私が頭を抱えていると、国語の教師がAを引っ張っていき、数分後彼は肩を落として帰ってきた。
相当怒られて凹んでいるのかと思いきや、
「祭りは中止だ…」などと言い始めるのだからたまったもんではない。
しかし、本当に我慢ならないのはそんな彼が学年1位だったという事実である。




