2.虹の出現条件と検証
その後、俺は虹の出現条件の特定に全力を尽くし、特定後は検証しまくった。
その結果分かったことは、右手の人差し指で空中を指差し、「虹」と唱えると幅50センチ程のアーチを描いた虹が出現するということだった。
大きさは変えられないし、出現時間も1分近くとほぼ一定しているようで、俺の意思で消したりもできない。
1つの虹が出現している間、追加で虹を出すことはできないが、虹が消えればすぐに次の虹を出すことはできる。
虹を出現させることによる体力の消耗などはほとんど無かった。
試しに30回連続で出してみたが、ファンタジーにあるような魔力切れの疲労などは特に起きなかったのだ。
そこまで判明すると、今度は他の物が出せないか試してみたくなる。
とにかく人差し指で宙を指しながら唱えまくった。食物、家具、衣服、雑貨、動物、植物、アニメキャラクター、……
結果、何も出てこなかった。
美女も出てこなかった。『美魔女』まで妥協したのに……くそぉ……
次に
『これってファンタジーに出てくる光魔法とかの一種じゃね?だったら他の光とか出せねーかな?あと火魔法とか水魔法とか使えるようになってねーかな?』
と思いついた。
火魔法や水魔法など、部屋の中で発動しても困るので、人気のない海岸に行って試してみた。
光、火、水、風、土、か〇〇〇波……
何も出なかったし、何も動かなかった。
『生命関係の魔法では?』
と、花に触れて「咲け」とか「萎れろ」とかやってみたがこれも変化は無かった。
「ほんとにただ『虹を出す』だけの能力なのかよ……」
ちなみに唱える言葉を『虹』ではなく、虹を表す各国語、例えば英語のレインボー、中国語のツァィホン、スワヒリ語のウキンデ・ワン・ヴアに変えても虹は出現した。
「いやだから何でそこだけフォローが手厚いんだよ!?そんだけできるんだったらもっと役に立つ能力付けろやあああああ!!」
この能力を付与した『何者か』に俺が怒鳴ったのも無理はないと思う。