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1.虹を出現させる
投稿日とは特に関係ない物語です。
休日の午後、ここらの冬では珍しい大雨の音がとうに止んでいたことに気付いた俺は、ふと自室の窓から外を見る。
空には大きな虹が掛かり、少しずつその色を薄めていくのが見えた。
「あ~、もう少し早く気付いてりゃあな。それともうちょっと右、ここら辺に掛かってくれるともっと絵的に良かったんだけどな、まあ、『虹』もそう都合良くは……」
なんとなく窓の外を人差し指で差しながら呟いてた俺の独り言が止まる。
なぜなら、俺が指差した場所をその半円の中心とするような位置に、新たに鮮やかな虹が現れたためだ。
「えっ!?こんなことってある!?」
だが、俺の驚きはそれでは終わらなかった。
「この虹ってここにあるのか!?」
そう、一瞬、窓の外に現れたのかと思ったのだが、よく見るとその虹は俺の目の前にある。
つまり、俺が指差した先ではなく、俺の人差し指の先端を中心に幅にして50センチほどの半円状アーチを描いた虹が発生していたのだ。
発生してから数十秒後、茫然とする俺の目の前で虹はゆっくりと消えていった。