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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

あの電車に乗らなかったら

作者: 腹刺音

オークションで買った刃渡り20センチの包丁を眺めながら、


これで人を刺したら、貫通するんだろうなぁ


と思いながら、包丁を握り、前に突き刺した。


包丁をカバンに入れて、家を出た。とりあえず、電車に乗った。


電車に乗るとネイビーのワンピースを着た女子大生が真ん中の席に座っていた。


俺は女子大生の隣に座った。彼女は一瞬目を開いて、自分をチラッと見た。


(なんでこんなにガラガラの電車なのに、私の隣に座るんだろう・・・)


そんな視線を自分に投げつけて、彼女は目を閉じた。


電車はガタンガタンと定期的に揺れながら、駅を3つほど停車した。


自分は膝に置いたカバンに入れてあるナイフの柄を握った。


一瞬ひんやりしたが、興奮しているのか、柄は自分の体温で暖かくなった。同時に心拍数が早くなった。


周囲のお客さんも自分がカバンの中でナイフを握っているなんて思っていないだろう。目を閉じて寝ている人もいれば、スマホのゲームに夢中になっている。


俺は包丁を握り、カバンからそっと出すと、それを隣の女子大生の太ももに突き刺した。


ビリィィ・・・


ナイフは右足と左足の間に突き刺さった。


彼女は慌てて目を覚まして、ビックリしたような目で自分を見ている。


俺はそのまま太ももから膝に向かってワンピースを切り裂いた。


ビリビリビリビリビリビリビリィィィ・・・・


ワンピースは一直線に切り裂かれていくのを見ながら、


(やっぱりナイフは刺すものではなくて、切るものなんだよなぁ)


と不思議なくらい冷静だった。


「きゃぁぁぁぁぁ・・・」


耳を劈くような悲鳴を上げるので耳が痛くなった。


「何すんのよ」


女子大生は叫びながら席を立ちあがった。膝に置いてあったカバンはつかめなかったのか、床に落ちた。カバンに入っていたスマホや化粧ポーチや定期入れなどがカバンの口から散乱した。


彼女は時々俺を振り返りながら、走って逃げた。Aラインのスカートがヒラヒラ揺れていた。


そしてドアの端っこに自らを追いやった。


「来ないで、来ないでぇ・・」


俺は包丁を両手で握り、間合いを詰めて彼女の腹に包丁を突き刺した。


ブスッとワンピースを突き破る音がした。


包丁が皮膚を突き破ると、包丁は吸い込まれるように体内に入っていったと思う。


ただ、腸管などを刺し抜いているのか、ズブッズブッという鈍い手ごたえが伝わってきた。


うぅぅっぅうぅぅぐんぐぅぅぅぅ・・・


耳元で女子大生が呻く声が聞こえる。


彼女は俺の方に両手をかけて、なんとか立とうとしている。


腹に刺さったナイフを抜いてた。


彼女はドアに寄りかかりながら、崩れ落ちそうになっていた。


俺はそれを見ながら、もう一度腹に包丁を突き刺し、抜いた。


ブスッ


うぅぅっ


ブスッ


うぅぅっ


腹に再び包丁を突き刺した。


鳩尾、そして胸を刺した。


胸からは血が噴き出すように周りに飛び散った。


彼女は座り込むように倒れた。


血は音をたてずに、床に流れていた。ネイビーのワンピースが血でテカテカしていた。


そして下腹部からは血をはじいたピンク色の腸管が飛び出してきた。腹圧に押されたのだろう。


そして俺は駆けつけてきた駅員に両腕を掴まれた。


少々のアナウンスが車内に響いた。


ただいま、お客様が刃物で刺されました。この電車は運転を見合わせます。振り替え輸送などは駅係員にお尋ねください。


声が震えていた。そして彼女は口をワナワナさせて、時々電気ショックが走ったように、身体がビクンと痙攣していた。




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