『何をお探しですか?』
冬童話2021の参加作品です。
「冬の童話祭2021」のテーマは「さがしもの」だそうです。
さがしもの・・・
わ、私のやる気はどこに行ったのっ!?
なんて事は、本編には書き込んでおりません♪
にゃはは~♪
私にある特別な力。
その力は、時に便利で、時に感謝され
時に恨まれることも。
「結局、力なんて使い方次第なのですけどね」
私は、国や地域に関係なく好きな所へ行き
大きな街、小さな町、百人程度の村とかを
転々と歩き、そこで「偶然」の「必然」で出逢った人の
探し物を手伝うのです。
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「探し物は何ですか?」
別に探偵とかのように正式な探し物の
依頼を請ける訳ではありません。
「何でも言ってください」
お願いされる探し物は色々です。
行方不明になった犬を、見つけて欲しい。
落とした手帳を見つけて欲しい。
失くした指輪を見つけて欲しい。
泥棒を見つけて欲しい。
殺人犯を見つけて欲しい。
真実を見つけて欲しい。
他にも沢山あります。
「私が必ず見つけますから」
今までに、見つけられなかったモノは
ひとつもありません。
それも私の特別な力の一部です。
「本当ですよ?」
どんな探し物でも必ず見つけます。
内容によって、少しだけお時間を頂きますが
それでも、必ず見つけます。
「御礼? 報酬の事ですか?」
報酬が金銭なら、誰にでも分かりやすいのですが
生憎、私はそれを必要としておりません。
私が頂く報酬は...
「あなたが探し物に掛かるハズだった分の時間になります」
って、言われても
みなさん「ぽか~ん」って顔をしますが
当然の事です。
それに、その探し物に掛かるハズの時間というのを
説明する事も定義する事も元々困難な事ですので・・・
「それでも良ければ、今すぐ探しますよ?」
って、一応ですが了承を得ることにしております。
何とも曖昧な説明ではありますが
不服なら最初から何も無かった事に
同意なら願ったモノを手の中に
「どちらにしても私の事は忘れてもらいますが」
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日々の生活の中で、人々が探している物の種類や
それに掛ける時間は、国籍や地域・個人の性格によって
大きく異なるそうですが、日本人の場合だと単純平均で
一生のうち、50日程度の時間を何かの探し物に
費やして居るみたいです。
「あっ、何でもとは言いましたけど・・・」
ただし、約50日相当と言われているのは
所有物を見失った場合の探し物の時間なので
埋蔵金とか何かの手掛かりから探し出すモノや
遺跡や技術的な新たなものを探す事となると
元々が莫大な時間を費やすものなので
呉々も、あなたの人生を全て費やしても足りない
探し物を私に依頼する事はお辞め下さいませ。
「あまり大きすぎる探し物は諦めて下さい」
それすらも、私は必ず見つけ出しますが・・・
その探し物を、あなたが手にした瞬間
もしくは、手にする事も出来ないまま
あなたは逝くべき所へ
私が探し出したモノは元の所へ
共にあるべき所に収まるだけです。
「えっ? 私の事が気になりますか?」
私は人間から寿命を少しずつ貰って
生き永らえる、死神に似た普通の存在です。
「偶然の必然であなたと出逢った普通の悪魔でしょうか♪」
普段から、きちんと整理整頓を心がけて
探し物に掛ける時間は減らせるので
私に寿命を削られずに済みますよ♪
最後までお読み頂き
ありがとうございました。
ジャンルが童話でしたので・・・
無理矢理?
整理整頓を促す作品にしてみましたっ!
にゃはは~
ではではぁ
みなさんの探し物時間が短くなる事を
心より願っております♪
私の寿命が増えなくなってしまいますけど
仕方ないですね~♪