表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/35

喜びと謝罪

「何?」


「あの、言いにくいんだけどね⋯」


 藤井さんは目を泳がせつつ、ほんのりと赤みのさした頬をそっとおさえた。


「突然なんだけど⋯⋯代わってもらえないかな?学級委員」






 頭が、真っ白になった。






「こんなこと凛ちゃんに頼むのもどうかと思うんだけど、お願い!⋯ダメ?」


「えっ、と⋯何で?」


 だめ、と言いたいのが本音だった。でも、そんなこと言えるはずがない。第一、推薦されて決まっただけの学級委員の私が拒否するなんて、それこそ変に決まってる。


「ちょっとあの⋯仲良くなりたい人がいて」


 やっぱり─────。



 それでも、ずるくても何でも、行動できるだけ藤井さんはすごいと思う。立場に甘んじてる私とは違う。


「⋯⋯⋯⋯うん⋯いいよ」


 そう言うしかないと思った。


 後悔してもしょうがない。委員会が離れても仲良くなくなるわけじゃないし、そうだよ。他のところで頑張ればいいんだ。


 いくら言い聞かせても気持ちは晴れないままだったけれど、藤井さんが笑顔で「本当に!?ありがとうー!!」と言うのを見て、何とか笑顔を作った。


          *



「え!?凛ちゃん委員代わっちゃったの!?」


 追試が終わり、カフェですずちゃんたちに事情を説明した。案の定2人は驚いて、1拍おいて申し訳なさそうな顔をした。


「そっかー⋯悲しいね」


「まぁ藤井さん系の人に言われたら断れない感じあるよね」


 藤井さん系、というからには、たぶん山本さん、小林さん、三木さんを含めた4人のことを指しているのだろう。


「うん⋯でも結局自分で決めたことだし。色々言ってもしょうがないよ!」


 せっかくの寄り道なのに空気を悪くしてはいけない、と思ってあえて軽く飛ばしてみたものの、2人は「てか陽葵ちゃんって松谷くんのこと好きだったんだ?」「そりゃそーでしょ、だってこないだわざわざ勉強会に入ってきてたしさ」とそこから抜け出せない様子だった。


「すず、藤井さんと中学一緒だよね?」


「そーそー、でも中学のときはそんなに目立つ感じじゃなかったよ。女子力高めな感じはあったけど、大人しめ?だったし」


 藤井さんが、大人しめ⋯だったのか。


 想像できないようで、想像できる気もする。学級委員のことで勝手にモヤモヤする気持ちはあるけれど、2人組の時混ぜてくれたこともあったし、悪い人じゃないんだろうなっていうのは、何となく分かっているつもりだ。


「2人とも、話聞いてくれてありがとね!ちょっとスッキリした」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ