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再試

「凛ちゃん⋯っ、ほんっっっっとうにごめんなさい⋯!!!」


「えっ?」


 テストの結果が返ってきた。

私は勉強会の成果もあってか、思ってたよりもいい点数を取る事が出来た。



(2位か⋯)



 どうせまた、1位は海翔なんだろう。最高点の人と私は10点差もある。


 悔しいけど、これが私の定位置なんだって思い知らされる。でも、いつか、いつか絶対抜いてやる!


「あの⋯数学⋯再試になってしまいました⋯」


 消え入りそうな声ですずちゃんが言う。まぁ、自己採の点数聞いた限り、想定内ではあるけれど。


「そっか⋯じゃ、次はもっと頑張ろ!」


 私の言葉に、すずちゃんはいつもの笑顔を返してくれた。


「そういえばさ、駅前にカフェできたじゃん?それが今日高校生割引の日らしんだけど、行かない?」


 絵梨香ちゃんの声に、私が振り向くより早くすずちゃんが反応した。


「そうなのっ!?行きたい!」


「何言ってんの、すずはさ・い・し!」


「うっ⋯」


「じゃあ私、再試終わるまで待っとくよ!そこから皆で行けば良くない?」


 呆れ顔の絵梨香ちゃんと嬉しそうなすずちゃんの顔が同時に目に映る。


 「ね?」と問いかけた私に、絵梨香ちゃんは苦笑しつつ頷いてくれた。



          *



「ちなみにさぁ、凛ぶっちゃけ何位だったの?テスト」


 小声で絵梨香ちゃんが聞いてくる。


「⋯にい、だよ」


「へえっ、さすがだね!てか今回の1位って松谷なんでしょ?男子らが言ってた」


「え、松谷くんなの!?」


 てっきり海翔だと思っていたばかりに、驚いてしまう。⋯なら、海翔は何位だったんだろう。いや別にどうでもいいけど。


「本当のとこは知らないよ?でも前すずがいってた、「県外から来てる」ってのは本当みたい。私立だったとか」



(そうだったんだ⋯)



「へぇそう、なんだ」


 モヤっとする気持ちを抑え込む。


 私の方が仲良いはずなのに何で絵梨香ちゃんが────なんて。絵梨香ちゃんのこと好きなのに、何か、何でか、今すごく嫌だ。そもそも勝負なんかじゃないのに、何だか負けたみたいな気持ち。


「あー、あの私トイレ行ってくるね」


 ちょっと言い方冷たかったかな、と後悔して振り向き、「すぐ戻る!」と手を振ってみた。



(私、やっぱり、心狭くなった)

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