勉強会
インターホンの音に、私はドキドキしながらドアを開けた。
「おはよう⋯!」
緊張と興奮とで昨日よく寝れず、いつも以上に早く起きてしまった。春休み中予定がなかったイコールお金が貯まっていた私は、昨日服を買いにいった。
(悪くはない、よね⋯?)
インスタにあげたら「#モノトーンで誤魔化した」ってタグがつけられそうなコーデになってしまったけど、別に悪くはない⋯と思う。
白いトップスと、黒のタイトスカート。
モノトーンのコーデって、失敗しにくいから本当にいいと思う。
「あ、どうぞどうぞ、上がって!」
色々と言いつつ入っていくみんなの後ろ姿を見送りながら、ちらっと松谷くんを見ると、白のTシャツとデニムに、黒い帽子をかぶっているのが目にうつった。
(松谷くんっぽい⋯かっこいい)
特別イケてるファッションとかでは全然ないのに、松谷くんが着ると何か様になってる。
帽子もすごく松谷くんって感じで、かっこいい⋯⋯なんちゃって⋯!
自分で自分が恥ずかしくなる。男子のことかっこいいだなんて、これじゃあ本当に恋する乙女みたいで。
私の視線に気づいたのか、松谷くんが私の方を見た。
(!)
「⋯凛っぽい服だな」
それだけ言うと松谷くんは中に入っていった。
え、ぽい?ぽいってどういう⋯?!
(モノトーンコーデが私っぽいって⋯地味ってこと!?)
色々引っ掛かるところはあるけれど、まあコメントしてくれたんだからそれだけでいい⋯かな。
「海翔、皆来たけど⋯」
とりあえず声をかけると、海翔は眠そうに部屋から出てきた。あーあ、出てこなくてもよかったのに⋯
*
「凛ちゃん、ここってどうするの?」
「あ、えっとね、それは場合分けしなきゃいけないやつだと思う」
「凛ー、ここ、答え見たら0.5molになるらしいんだけど何で?計算間違ってるかな」
「んーと、たぶんアボガドロ定数使わなきゃいけないやつかな。この公式のここをあてはめて───」
「なぁ、そろそろ休憩しよーぜ」
松谷くんの一声で、みんなが一斉に姿勢をくずした。時計を見ると、もう12時だった。
─────え、12時!?
楽しいことは時間がたつのが早いって、本当そうだなぁ⋯
「ねね、息抜きも兼ねて王様ゲームしない?」
「「「⋯えっ」」」
藤井さんのまさかの提案に女子3人は思わず声をあげてしまった。
え、王様ゲーム!?それって合コンでやる用のやつじゃないの!?(←ドラマで見た)