へっぽこ魔術師が使い魔を召喚しようとしたら、なんかスゴいのが出てきた
めっちゃ暇だったので、なんとなく数秒で閃いた話を書いてみた。
ここは剣と魔法の異世界『トワイライト』。
これと言った脅威もなく平和が続くこの世界にある一つの学園があった。
『トライスター魔術学園』。
その名の通り魔術師を育成する学園。
そんな学園にある一人の生徒が居た。
「くっそぉ! 何故だ、何故上手くいかない!!」
彼の名は『シュタイク』。学園一の強大な魔力を保有してはいるが、いくら頑張ってもその魔力を制御できず、魔術を使おうとする度に周囲に迷惑ばかりかけてしまう困った生徒であった。
そんな彼のあだ名は『へっぽこ問題児』『火力バカ』であった。
「俺は、俺は、みんなよりすっっっっっっっごい力を持ってるのに、なんで使いこなせないんだよぉ!!」
シュタイクは、力は使いこなせないが、他人よりも優れた魔力があった為に常に慢心していたので、周囲から距離を置かれて孤立していたが、本人は挫けることはなかった。
「どいつもこいつも、俺の事をバカにしやがって、俺はお前達よりもスゴいんだぞ! それを今度の授業で証明してやる!」
召喚魔術。
この世界とは別の世界とを繋げる事によって、召喚者に応じた使い魔を召喚することができる魔術。
シュタイクは、授業で習った召喚用の魔方陣を自分なりに書き換える事によって、他の生徒よりもスゴい召喚獣を呼ぼうとしたのだ。
他の生徒が次々と召喚に成功して、様々な召喚獣が顔を見せる中、ついにシュタイクの出番がやってきた。
周囲からは「また失敗する」「また暴走して教室を滅茶苦茶にする」「どうせショボい召喚獣が出てくる」と、本人にわざと聞こえるような陰口が聞こえてくるが、シュタイクは自信満々に召喚の呪文を唱えた。
「汝、我が声を聞き、我が呼び掛け応え……………………以下略」
「略しやがった!?」「そういう真面目じゃないところが嫌い!」「ちゃんとやれー!」
周囲から野次が飛んでくるが、シュタイクは気にしない。
中途半端な儀式ではあったが、彼が勝手に書き換えた魔方陣は光り輝き、異界への門が開かれた。
「さあ来い! えーと、なんかドラゴン的な奴来い!」
具体的に何を呼ぼうとしてるのかハッキリしないまま、魔方陣からその使い魔は姿を現した。
「お、おぉ……お?」
その姿を見た瞬間、シュタイクと他の生徒や先生は驚いていた。
人が出てきたのだ。しかもただの人ではない。
白銀の甲冑を身に付け、純白のマントを靡かせた、端整な顔立ちをした美しい少女が、剣を天へと掲げてそして――。
「滅せよ魔王! 『正義の名の下に断罪する』ッッ!!」
騎士の格好をした少女が剣を振り下ろすと、剣から巨大なビームが出て、教室の半分を吹き飛ばしてしまったのだ。
「ぎゃあああああああ!!?」
そのビームは教室だけでなく、トライスター魔術学園の半分を消滅させるほどの凄まじい威力であった。怪我人は出たが、奇跡的にも誰一人死ぬ事はなかった。
だが当然、被害は尋常ではなかった。
「あ、あわ、わ」
彼女を呼んでしまったシュタイク本人は腰を抜かして、その場で尻餅を付いてしまった。
明らかに自分なんかよりも強い魔力を持った彼女を前にして、シュタイクは言葉を失ってしまった。
「……あれ? ここは……どこです? 確か私は魔王と戦っていた筈なのですが、いったい何が起こったのです?」
自分の身に何が起きたのか理解できていない彼女が周囲を確認していると、シュタイクと目が合った。
「あ、あのーすみません。ここはどこでしょうか? と言うか大丈夫ですか? すみません、なんか色々と吹き飛ばしてしまって」
「あ、はは、は」
確かに呼べた。ドラゴン並みかそれ以上にスゴい召喚獣を。
だが、この一件でシュタイクは退学処分となった。
「なんか申し訳ございません。私の一撃でアナタの人生まで吹き飛ばしてしまったようで」
「あ、うん、もういいよ、俺の学園生活は、終わったから、はははは……」
なんか色々と精神的にボロボロになったシュタイクは、彼女と共に実家に帰ることとした。
最近自分の中では少女騎士がマイブームになっている。