全裸転生してもおっぱいが揉みたい。
おっぱい揉んでもいいですかの続編
シリーズ登録してまとめておくからそちらも読んでどうぞ。
魂は流浪する。
死して輪廻に戻る導きを得るために。
魂は流浪する。
神に不敬を働き、裁きを受けたがために。
魂は流浪する。
地獄へと向かって。
魂は流浪する。
地獄を越えてその先へと。
魂は迷い込む。
かの魂が生きてきた世界と違う理のもとに成り立つ世界へと。
そう、かの魂に奇跡は再び訪れた。
本来ならば地獄へと至るはずだった魂は、偶然にもその道を外れ異世界へと流れ着いたのだ。
魂が地獄への道を外れた時点で神はそれに気づいていた。
しかし神はそれを咎めるでもなく、修正するでもなくなるがままに任せた。
それもまた運命だと。
――否!
断じて否!
神はそれも運命と軽く一蹴したが、しかしそれは運命などという陳腐なものではなかった。
極小の穴に糸を通すが如き僅かな可能性をかの魂が引き寄せたのだ。
なにがそれを引き寄せたか。
おっぱいである。
かの魂は審判の場において、おっぱいを求めた。
邪なものを抱くことなくひたすら純粋にそれを願った。
結局地獄行きが決定されたが、しかしおっぱいを揉みたいというかの魂の強い情念が一瞬神をひるませていた。
故に神は手元を狂わせたのだ。
かの魂が抱いた純粋な願いが自身の死因となったように、今度もまた善きと確信する想いが神の手元を狂わせたのだ。
即ち。
おっぱいがかの魂を地獄より救ったのである。
おっぱいってすごい。
そうしてその魂は。
おっぱいを求め死に、おっぱいを求め自らの進むべき道を選んだ魂は、遠い異世界へと足を踏み入れる。
そして魂に刻まれた情報をもとに、その世界の理でもって肉体が与えられた。
「うぅ――――おっぱいッッッッ!!!!」
命の叫びが世界に轟いた。
程々に木漏れ日が差し不気味さよりも自然の爽やかさを感じられるような、心地よい森の中。
その森の一画に存在する小さな池のほとりにて一人の男が目を覚ましゆっくりと体を起こす。
「う……ここが地獄……?」
多田隆。17歳。
生前の姿そのままに異世界にて新たなる生を受けた奇跡の男である。
隆は頭を軽く振りぼんやりとする意識を振り払いつつも周囲を見渡す。
まず目につくのは小さな池。
泳ぐほどではないが十分な水量が確認されるその池は茶色に汚れていることもなく、日本にて綺麗な水というものに慣れた隆の目にも十分に綺麗に見えた。
それを取り囲む木々はそれぞれの間隔が十分に空いていて風通りよく、枝葉も天を埋め尽くすほどではなく、森中をやさしい木漏れ日が照らしていて実に美しい光景を生み出している。
そんな美しい景色に見惚れていた隆はそれを目に焼き付けるように首を回し、やがて自身の真後ろへと視線を移したところで反射的に体を硬直させる。
「え、ええっと、地獄の番犬ってやつ……?」
そこに居たのはなんとも白銀の毛並みが神々しいほどに美しい狼であった。
しかも、座っているとはいえ隆が見上げなければならぬほどの大きな狼。
狼は唸り声を上げるでもなく、ジッと隆を見ていた。
隆もまたしばらく狼を観察し、襲ってくる気配もなければこちらを覗くその双眸に知性のようなものを感じ取ったことで少しだけ体の力を抜いた。
そしてなぜ白銀の狼がやたらと観察してくるのかと自身の姿を確認してみれば。
「うわっと、また全裸か」
慌てて隆は恥部を手で隠す。
辺りに人影はなく居るのは白銀の狼のみであるから隠す意味など無さそうだが、状況を飲みきれてない隆にそんなことを考える余裕はなく反射的に動いてしまったのだ。
そして隆が恥部を手で隠した直後。
のしりと大きな物が動いた気配を感じ、隆はしまったと体を強張らせた。
恐る恐る狼へと視線を移すと先程まで座っていた狼が腰をあげていた。
不注意に動いたことで獲物認定されてしまったのだろうかと隆は震えるが、しかし狼はゆっくりと体の向きを変え隆に背を向ける。
それから狼がガウっと小さく声を上げたかと思えば、木々の間を不自然な風が走り抜け、少しずつ木々から葉を掻っ攫っていく。
葉は空中で揉み解され繊維となり、束ねられて糸となり、そして編み込まれて何やら長めのタオルのような形に整えられた物へと変化した。
それの上部の左右からは紐が伸びており丁度腰に巻いて結べば恥部を隠せそうな代物である。
「え……」
ポトリ、とそれは隆の目の前に落とされた。
隆は目の前で起きた摩訶不思議な現象に目を瞬かせつつ、目の前のそれと狼とで視線を何度も行き来させた。
やがてどうやら隠せるものを用意してくれたらしいと理解した隆は恐る恐るそれを手に取り、腰に巻きつけ結ぶ。
これでどうだと狼へと視線を向ければ、なんだか物言いたげな目をしているように隆は感じた。
もしかしてこの前掛けみたいな部分になにかあるのか? と、そちらに視線を移すと不意に風が吹き抜け前掛けのようになっていた部分が隆の股をくぐる。
その動きを見て隆は前掛けがちゃんと股を覆えるように作られていることに気づいた。
つまり褌だ。
もちろん隆は褌など身につけたことはなかったが、作りがシンプルが故に少し考えただけで着け方は分かる。
改めてそれをしっかり身につければ今度は狼も満足そうな目をしていた。
「えっと……ありがとう?」
礼を言った隆に狼はガウっと返事をする。
どうやら言葉が通じているらしい。そして用意してくれた褌を見るに人という存在のことも知っているようだ。
薄々感じていたことだが、やはり目の前の狼は只者ではないようだと隆は認識を改める。
そしてどういう理由からか不明だが友好的な相手であることも十分に理解した隆は、わずかばかりに残っていた警戒も完全に解き、強張った体を解した。
そうしてようやく冷静さを取り戻した隆は今一度周囲を確認し、狼の様子を確認する。
吹き抜ける風の感触、日差しが与えるぬくもり、水がもたらす清涼さ、草木が放つ自然の匂い、それらをしっかり感じとり、最後に自身の胸に手を当てそこに響く鼓動に確信を抱く。
「うん。なぜかは知らんがここは地獄じゃないし、俺は生きているらしい。ついでに言えば異世界のようだ」
なぜかは知らない。
しかしそれを探る必要などどこにあろうか。
胸の鼓動が生きていることを悠然と示している。
かつて抱いた渇望は、未だ心の内で滾ったままで存在し、なれば今度こそ願いを叶えなければと隆は意気込んだ。
幸い人、あるいはそれに類する者がいることは目覚めに出会った美しき狼が示してくれた。
せっかく生き返ったこの命、欲望に素直になろうと隆は決めた。
もちろん願いが願いなだけに相手の許可は必須だが。
さしあたって、狼の見事な毛並みをモフりたいと思った隆はその許可を貰えないかと口を開く。
「すいません、おっぱい揉んでもいいですか?」
……。
隆は絶句する。
毛並みをモフらせてと言おうとして口から出たのはなぜかおっぱいだった。
おっぱいを揉みたい。もちろん、その欲求が無いわけではない。むしろ隆の抱く欲求のほとんどはおっぱいだ。しかし流石の隆も狼のおっぱいは対象外である。
ちっぱいも無っぱいもでかっぱいも大好きな隆だったが最低限人型の女の子でないとダメなタイプのおっぱい好きだった。
「ご、ごめん今のは――えっ?」
もしや転生した代わりに呪われたのかと隆が考えたその時。まさかの展開が訪れる。
突如白銀の狼の体が光りだすとみるみる内にその姿が変わっていったのだ。
そして光が収まると白銀の狼は人型へと姿を変えていた。しかも女の子だ。
いわゆるけもの娘というやつである。
それも骨格は人だが顔や手足など各部のパーツには獣の特徴が色濃くでているという感じのケモ度五十パーセントなけもの娘であった。
しかも全裸だった。全裸だけど毛皮があるから問題ないもん。つまりセーフである。
そんな狼娘を隆はガン見していた。
獣っぽさが強めな顔。しかし、そこに人間的な美貌も見ることができた。
全身を毛皮が覆うその姿はやはり人とはまるで違うが、しかしすらりと長い手足は美しく、丸みをおびた肉付きのよい胸とお尻とそれらに挟まれたきゅっと引き締まったおなかが織り成す女性的ボディラインは隆の目にも魅惑的に映る。
そんな狼娘の胸元はしっかりモフモフした毛皮にガードされ、人の下着姿よりもよっぽど線を隠しているが、しかしタカシーアイはそこに確かなおっぱいを見いだしていた。
そう、この状態であれば隆にとってもありありのありなおっぱいなのだ。
思わずおっぱいを口走ったのも隆の魂に刻まれたおっぱいへの情念が無意識にその可能性を見抜いていたからに他ならない。
ごくり、と隆は唾を飲む。
これはどういう状況だろうかと、判断に迷う。
白銀の狼はどうやら人型になっても喋れないらしく、じっと隆の事を無垢な瞳で見つめているが、果たしてそれは揉んでもいいということなのだろうか。
隆は悩み動けない。
そんな隆を見て狼娘は小さく首を傾げると一歩、また一歩と隆に近づいた。
そして隆の手をぎゅっとつかむ。
(わあ、肉球ある……! しゅごい、これ、目覚めそう……!)
手に感じる新触感に隆が感動していると、狼娘は隆の手をある場所へとゆっくり導いていく。
導かれる先を確認して隆の心臓はうるさいくらいにドクンドクンと音を立て始め、流れる血潮が、体温を上げていく。
(お、おっぱいだ……! この子はさっきのお願いを叶えようとしてくれてる……!)
ついにおっぱいを触れる。
おっぱいを揉むことができる。
今度は期待がもたらす緊張によって、隆は動けなくなっていた。
じっと狼娘と目を合わし、たまにちらりと自身の手を確認しては唾を飲む。
ゆっくり、ゆっくりと隆の手は狼娘に導かれてそのおっぱいへと近づいていく。
その光景だけで隆は幸福に満たされていくのを感じた。
まだ、触れてすらいないのにこんなにも幸せに思えるなんて、ああおっぱいとはなんてすごいんだろうと再認識する思いでいっぱいだった。
そして、ついに手のひらが狼娘のおっぱいへと――――――。
「せ、せ……聖獣様にな、な、ななななにをさせてやがるんですかぁ!!?」
――――触れるその瞬間、隆はどこからか飛んできたメイスに頭を殴打され意識を失った。