夜
短いです
「正しくない人は」
何処からか声が聞こえてきた。
「正さなきゃ」
その声は、星の煌めきの如くシンシンと胸に響いてきた。
「私の正しさで」
そして何故か胸を締め付ける。
「侵してあげるね」
瞬間、闇。
孤独だった。夜とはただ暗闇で、何も無い時間。周りには誰もいない。夜のなかでは誰もが独りでなければならない。独りで考えるのだ。誰にも左右されない思考で。夜が人を創るのだ。夜じゃない時間に誰かに影響を受けても、夜は独りで考えるのだ。結局は自分が決めたこと。脳を整理して自分が自分を創るのだ。夜という時間、空間、存在に促されて眠りに落ちる。目が覚めたら自分が出来ている。その積み重ねが人生。やり直しの出来ないセーブによって、もう前の自分には戻れない。一日一日をRPGのように進んで、レベル上げに費やして、何かを探して、セーブして。でも電源は落とせない。人生は決してゲームじゃないから。電池が切れるまでセーブを繰り返す。保存したデータが果たして自分の満足のいくものなのか、自分でしか判断出来ない。でも妥協するのは嫌だろう。後悔もしたくないだろう。ならば、時間を忘れて生きるしかない。ただ全力を出して、その場しのぎの人生を送るしかない。夜を越えて、振り返って、何かを成した人生なら、生きたかいがあるというものではないか。
ところで闇の中にはそれでも星の灯りが届いていた。ぼんやりとした灯りを眺める。色とりどりに輝いて、今が夜だと主張する。孤独の時間だと言い張る。だがしかし、誰かと過ごす夜だって、眠らず、眠れずに夜を過ごすこともあるはずだ。少なくとも俺は、四人で星を眺める夜は、孤独ではないと思うのだが。そう考えていつの間にか全身を覆っていた暗い布を取っ払う。
そこはまだ夜。ただの夜。暗くて怖いだけの、朝でも昼でもない時間と空間だ。なんてことはない。夜は夜。余計なことを考えるだけ無駄な世界だ。夜にあれこれと取り付けたようなでっかい布が足元にうずくまっていた。何だか陰湿なイタズラか何かだったのだろうか。余計な考えを押し付けられそうになった。ふと布が呻いた。モゾモゾしている。犯人でもくるまっているのか?そういえば声がしたんだったな。横をみたら三人が目を開いたままイビキをかいて寝てた。うわキモッ!
あんまり長く書く気力ない鬱人間