~第一章、二話~デフォルトチートは同類に出会う~
「完全に身一つで異世界って・・・・・・勘弁してよ・・・・・・」
紙を見る限り、どうやら私は若くなった以外、何かしらの優遇措置を受けるでもなくここに来たようだ。
「海ひとつ隔てたら基本、言語や文化は別物だから現地民との会話のために翻訳とかせめて言語か現地地形に関する情報ぐらいは欲しかったんだけど・・・・・・」
異世界に至った事はこの際意の外においてこれからどうするかを考えなければならない、軍の方針の関係でサバイバル技術はそれなりにレクチャーを受けているが完全な丸腰のため十全にその教えを実践できるわけではない、だがそれでも水と食糧は最低限確保しなければならない。
・・・・・・・・・とそんなことを考えていた時である。
(ガサッ、ガサガサッ)
「・・・・・・・・・・・・」
近くの草むらがガサガサしているのに気がついた。
「・・・・・・そこに誰かいるのなら出てきなさい、私、面倒事は嫌いなのよ?」
取り敢えず声をかける、通用するとは思っていないがアクションがあれば相手に此方が気づいていることを察知させ、行動を起こさせることができる。
相手の姿形がまるでわからない以上、どう動かれようともあまり差がないと言うのもある。
で、肝心の潜んでいる存在の反応はと言えば、草むらの方で遠巻きにこちらを見ているのか動く様子がない。
「行動が無い・・・・・・色々可能性は考えられるけど仕方ない!」
相手に動きがないので対象がいるであろう地点を大きく外回りする形で駆ける。
相手が銃火器を持ち合わせて待ち伏せしてる可能性を考えたが、どうせ私自身は素手なのでこの際どうなろうと知ったことではない。
移動の間、相手側からの妨害は無かった、と言うより、これよりすぐ後に知ることになるが「あり得なかった」のである。
「・・・ッブハァ!、イタタタタ、結局反応無いままここに来たけど・・・・・・!?」
この時私が見たのは、白衣を着た黒髪の青年と、何処かしらの制服とおぼしき服を着た銀髪の少女だったのである。
「何でこんなところに、ってかさっきまでの私ェ・・・・・・ん?右手の紙・・・まさかの同類!?」
気を失ってる二人を見つけた私だが、軽く二人の姿を観察しているうちに、二人とも右手に紙を持っていることに気づく。
クソ真面目に動いていたさっきまでの自分が恥ずかしく思いながらさっきの自分の状況と重ね合わせ、そこの二人も自分と同じくこの世界にやって来た人物ではないのだろうかという1つの推測を立てる。