~序章~かくて彼女は異界にて~
かつて、とある世界にて二つの非常に規模の大きい戦争が起こった。
この小説の読者達の世界で言う「第一次世界大戦」「第二次世界大戦」に該当する一大戦争のことである。
史実においては、双方凄まじい犠牲を払い、今なお深い爪痕を残した戦争である。
だがしかし、史実世界とは色々な点に相違が存在していた【その世界】では、その戦争の結末は史実と比べると多少、異質な結末を迎えていたのである。
この物語の始まりは、その二つの戦争を駆け抜けたと【ある人物】がその世界にて死した直後からは始まることとなる・・・・・・
「・・・・・・うーん、ここは一体?」
回りに【何もない】といえるこの場所に、一人の人物がやって来た。
端見では金髪のポニーテールをした15~6くらいの美少女、といった風体の人物であったが、ちょっと変わったことに、黒の軍服っぽい服装をしていた。
「・・・・・・何処ここ、周り一帯まるで何もないかのようじゃない、え?いやいや何でこうなってるの私?」
そんな彼女の名前は、「ウォーダン・ラインラント」、名前のウォーダンは北欧神話の主神オーディンのドイツ語読みだったり、ラインラントは思いっきりドイツ西部の地域を指す地名として有名であるが、彼女の生まれ育ちは彼女の生きた世界におけるイギリスに該当する国家なのでドイツ該当の国家とは関係がない。
ついでにいっておけばウォーダンって思いっきり男性名であるのだが、彼女の世界ではれっきとした女性名である。
「はぁ・・・・・・これまた録な目に会いそうに無いわね・・・若い頃もそうだったけど、結局私が死ぬまで母国は苦労人国家の扱いだったし・・・」
「ま、概ねその通りだよ、ウォーダン・ラインラントさん、」
突如彼女の目の前に時計と懐中電灯を持った男が現れる、しかし彼女は特に動ずることもなく言葉を続ける。
「ハァ・・・・・・聞いておくけどアンタ何者よ?」
「私?、そうだね・・・・・・私はこう見えて無形かつ無名ではあるんだが・・・一番近い立場の【管理人】とでも名乗っておくか、一応、君たちの世界含めたいくつかの世界の管理担当だよ、基本放置主義だけど」
「うっわ知りたくなかったわそんなこと・・・・・・道理で母国は割とマジで神頼み入った時期あったのに神さま来ないわけだ・・・・・・」
「私自身は創造者じゃないし、そもそも私のような存在がバリバリ介入するときって余程ヤバイ事故が発生したときだけだしね~世界がくっついたりとか」
「まぁ全部が全部神さまに管理されてるよりかはましだと思うけどさぁ・・・・・・」
彼女は半ばため息混じりに、突然現れた管理人といくつかの会話を交える。
普通の人、特に宗教関係者なら卒倒必至の衝撃的事実を連打されているのにも関わらず、彼女はそれらの事実に対してため息を深くするだけで、特に驚く様子は無かった。
「・・・・・・流石は【名誉元帥】と言ったところですか、残した功績もさることながらと言ったところですか」
「世界を運営する大層な存在に言われると、流石にそこまではないだろと否定したくなるけどね、んで、私相手になんのご用?」
「あ、じゃあ最初に話しておく必要があるね、バッサリ言うと、あなたは死にました。」
端から言えばとんでもないことを言われるウォーダン、だが彼女は特に驚くでもなく、こう言いきったのだった。
「・・・・・・・・・知ってた」