運命の人。それは大切な人。最後まで嘘をつきたいほどの人。
「めいー、はやくー!」
「まってしろー!」
あれからの私達は絵に描いたような幸せな時間を過ごしていた。
「もー、早いよーしろ!おかげで髪が乱れちゃったじゃない」
笑いながらめいがいう
「ちがうよ、めいが遅いからだよー!」
同じく笑いながらめいはいう。
公園で遊ぶなんて久々だ。楽しく鬼ごっこをした。とても楽しい。
「じゃあそろそろ時間だから帰らないとね!」
時計はもう10時に近い。
「そだね、そろそろ帰らないと…。」
「ごめんね、めい、もーちょっと遊びたいけど時間が遅いとめいのお父さんが心配するから…」
私の表情を読み取ったのかしろが気を使って言葉をかけてくれた。
「んーん、いいの!私こそごめんね!」
そういいしろの車に乗せてもらい家に帰った。
あの遊園地以来私としろの仲はもっと親密になった。色々な遊びを楽しんで充実した日々だった。けれどそれが仇となったのは私たちが婚約していると噂になってから。
「最近、水の王子と雪の姫は遊んでばかりいるらしいぞ。」「婚約したからってはしたない」「どーせ戦略結婚なんだから遊ばない方がお互い幸せなのにな」
そんな噂が雪の国に広がった。私の親は私に少ししろ君との遊びを控えなさい。といった。
私ははじめ嫌だと抵抗したが親は許してくれなかった。それはまぁ、そうだ。普通に考えば被害を受けるのは私達だけではすまないのだから。親には大量に苦情が入ったときいた。私はそれでもやっぱりしろと遊びたかったからあまり人がいない所でならいいですか?と聞いて公園や裏道などでしろと話したりした。時折、鬼ごっこなど子供っぽい遊び方をして楽しく過ごせた。ただ、公園にも子供はいる。だから、昼から遊ぶのは控えて夜の7時ぐらいから遊ぶ日が続いた。正直楽しかったけれど時間が足りないという日がほとんどだった。そう考えているとしろから電話がかかってきた。
「あ、めい、今電話大丈夫だった?」
「大丈夫だよ、どうしたのしろ?」
「ん、あのさ、明日めいの家に行っても大丈夫かな?」
私の家に…?なんでだろう…
「ん、いいけど、どうしたの?」
「いや、ちょっとお父さんに挨拶しに行きたいなって…」
「挨拶?婚約の挨拶だったらもうはじめに1回したじゃない?」
と聞き返したところまぁ、いいからいいから、またねと電話を切られてしまった…
次の日の朝
しろが8時頃に家にやってきた。
「おはようございます、しろ様。お話は伺っております、お通りください。」
とメイドが言うと門が開く。
(お話は伺ってる…?)
「ありがとうございます。」
そう言うと一礼して私の父が待つ部屋へと入っていった。
(なんの話をしているんだろう…)
気になるので部屋の前で待っていると父の怒鳴り声のような大きな声が聞こえたので思わず部屋の中に飛び込んでしまった。
「ちょっと、お父さん、しろに向かってなんで大声あげてるの?!」
ついカッとなって部屋に入ると以外にもみんな冷静で驚いた。
「あ、あの、たまたま部屋の前通りかかったらお父さんの大声が聞こえたからしろに何かあったんじゃないかって思って…」
慌ててそう付け加えるとしろが少し微笑み
「こんなに大事に思ってくれているんですよ、義父さん。僕にめいのことを幸せにさせてくれませんか?」
「う、うーむ…これは予想外だった…でも、めいが飛び込んでくるまで大切にしているのなら仕方が無いな。」
と笑いながらいう。少し恥ずかしながら
「なんの話をしているのですか?」と聞くとしろがいう。
「ぼくとめいが結婚しますっていう話だよ。」
そういった。
「え?いいのお父さん、今結婚すると国の反感が…」
そう言うと父としろは笑いあい、父が
「国の反感をかわないためにしろ君とずっと考えていたんだ、どうやったら反感をかわない結婚があるかってね…」
と笑いながらいうではないか。
しろが続けて
「そうだよ、めい、ぼくと義父さんはずっと考えてたんだ。」
と、笑った。
どうやらずっと考えてくれていたらしい。
「えと、その方法は…?」
そう聞くと父としろは笑いながら
「これだよ」といった。
え?今の?え?そう思っていると父が
「今のめいの発言を聞くとね、どーしてもめいとしろ君が戦略結婚で結婚した訳ではないってわかるんだ。」
へ、私何か言ったっけ…。
「話の途中でわざわざ入って自分の父親を怒るなんて、好きな人が怒られてるからに決まってるよね!」
そう言って確かにさっきの自分は怒ってたな…と恥ずかしさで赤面する。
「まぁ、そうゆうことだから、しろ君、めいをよろしく頼むね。」
父がいうとしろがはい。と返事をした。そして私に向き直り
「めい、僕と幸せになってずっと一緒にいませんか?」
私は答えるより体が先に動いてた。
抱きしめてキスをした。
返事は?笑いながらしろに聞かれる。
そんなの決まってる
「だいすきだよ、しろ!」
泣きながら抱きついた。
結婚式
綺麗なドレスをきて挨拶をしにいって一緒にキスをした。神父さんの言ってることを絶対に守ると、2人で幸せになることを、幸せな家庭を築こうと2人で誓い合った。
とにかく幸せな時間を過ごした。
何処で声がした。
君といれて幸せでした。
しろといれてずっと一緒にって。
だいすきでした。ありがとう。
私はもう隣にはいないけど、どこかであなたのことを待ってるね。信じてるよ。
しろ君。ずっとだいすきです。
愛しています。
これは私が描いた夢物語。
雪の姫の最後の魔法。
幻惑の灯火。
(ゲンワクノアカリ)
愛した人にしかかけられない魔法。
それは綺麗な魔法。
私は実はとうに前に死んでるんだ。ごめんね。
多分明日には私の幻惑は消えてる。
嘘ついてごめんね。
幸せな家庭を築けなくてごめんなさい。
愛していました。これからもずっと。