運命という言葉はあなたに出会うためにあったんだね
「きゃ」
女の子の叫び声がする
「た、助けて…」
助けを求めているみたいだ。
女の子の声がする方をみる。するとそこに3人の男達がいた。
「ねぇ、お姉さん、かわいいね?俺たちと遊ばない?」
男達のひとりが声をかける。周りの男達がにやついている。
「俺たちと一緒にくれば楽しいよー?」
ニヤニヤしながら男達のひとりが女の子に手をかける。
「や、はなして…。」
女の子は振り払おうとするが男の力が強いのか振り払えない。
「だれか、助けて…」
助けが聞こえたきがした。駆けつけてみると女の子が絡まれていた。これは大変だと思い3人の男に声をかける。
「君たち、いったい何をしているの?」
そう聞くと男達はお前だれだ?お前には関係ないという感じで無視をするではないか。少し腹が立ったので「ねぇ、無視するの?」
問いかけてみたが返事はない。女の子の方も気を失っているみたいだ。
「あー、返事しないんだ…へぇー…ねぇ、君たち、水の技を見たくはない?」
声をかける。男達は
「んだよ、さっきから1人でブツブツうるせーな!今お取り込み中なのわかんないかな?」
「ねぇ、君たち、人の話ちゃんと聞いてる?」
「あー、んだよ、うるせぇな、水の技?あー、はいはい、みたいみたい」
男達はテキトーに返事をするではないか。これには少しイラッときた。
「ね、特別に見せてあげる」
笑顔で男はいい、
「オーシャン、パレット!!!」
言い放つ。途端に水の液体が男達に襲いかかる。
「うわ、なんだこれ、い、いたい!」「いてぇよ、」「あ、兄貴、なんとかしてー!!!」
叫ぶ。男達は
「今日のところは引き下がってやる!くそー!」
と言いながら逃げていった。
やれやれ困ったものだ。と頭を悩ませつつ女の子の様子をみる、よかった、怪我はない。守れてよかったと男はいい、彼女が起きていないようなので持ち物を少し拝見させてもらい家まで送っていった。
「お嬢様、おはようございます。朝食の時間でございます。起きれますか?」
そんな声を朝一番に聞いたのは次の日のこと。
「おはよう、ん、あれ、私男の人達に絡まれてたんじゃ…」
メイドは笑いながら
「そのようでございますが、お優しい男の人が助けてくれたそうですよ。」
という。そうだったのかと納得しているとメイドは
「お嬢様、お体が大丈夫でしたら朝食ができていますのでよかったら食べにきてください。」
というからわかりました、すぐに行きます、とメイドにいい、着替えて朝食を食べにいった。
朝食を食べながら助けてくれた人に、今度お礼を言わなきゃな…それにしても助けてくれた人は誰なんだろう…ちょっとドキドキするな…と心の中で思っていると父に呼ばれた。父に呼ばれるなんて珍しいな…そう思い父の部屋にいく
「めい、君に話さないといけないことがある。」
そう切り出された。ん、なんだろうと思いつつ父の話を聞く。
「めい、実はずっと話しそびれていたが、お前には婚約者がいる。その人に今日会ってもらいたい」
いきなりだった。
「え、そんな、婚約者だなんて、聞いてません、お父さま。しかも今日会えなんて…。」
「何か今日予定を入れてたかな?」
父がとう。特に予定をいれていた訳では無いが、いきなりすぎてびっくりした。
「あ、いえ、今日は何も予定はありません。」
「そうか、それはよかった。では今日学校が終わったら迎えに行くから待っていてくれ」
父はそう伝えると部屋から出ていってしまった。
学校はいつも通りそつなくこなし、校門で父を待つ。
(婚約相手の人、どんな人なんだろう…)
そう思いながらも昨日の助けてくれた人のことを考えてしまう、その人が助けてくれた、何故かドキドキする。男の人に免疫がないからだろうか。
そう考えていると父がきた。
「お待たせ、めい、さ、早く行こう」
そういいめいを車にのせ、婚約者に会いにいった。
車の中でめいは父に聞いてみる。
「あの、お父様?私の婚約者はどんな人なんですか」
「めいの婚約者はとてもいい人だよ、年齢はめいより一つ年上で水の国の王子をやっているよ」
私より一つ年上…。水の王子。いったいどんな人なのだろう。考えていると目的地についたようだ。
「さ、めい、早く中に入ろう」
そう言われて着いたところは小さな旅館だった。中に通され婚約者が待つという部屋に入る。部屋の中には男の人がひとり座っている。私に気づいた男は
「はじめまして、雪のお姫様、私は水の王のしろと申します。この度はご婚約ありがとうございます。」
礼儀正しく挨拶をするこのしろという男が私の結婚相手らしい。
「は、はじめまして、しろさん、雪の姫なんて恥ずかしいのでめいとお気軽に呼んでください、」
焦ってそうゆうとしろは笑いながら、じゃあ、めいさんで。といってくれた。その後他愛のない話をしながら楽しく食事をした。するとしろが
「この度はご婚約してくださってありがとうございます。」
という、焦る。
「すみません、そのことなんですが、少し待ってもらってもよろしいですか?」
しろは一瞬困った顔をしたがめいの意見をきく。
「実は好きな人がいるかもしれないんです」
とあの時の話をする。するとしろは少し考えて
「その好きな人はあなたを助けた時魔法を使っていませんでしたか?」と聞くので
「あ、はい使ってました!えっと、名前は…」
「オーシャンパレット、ではないですか?」
え、なんでこの人知ってるんだろう。そう思うと
「僕のこと覚えてないですか?」
少ししゅんとなりながら聞かれた。え、えーっと…誰だっけ…と思って頭の中をフル回転させる。
もしかして…と思い
「も、もしかして助けてくれた人ですか…?」
男は顔を明るくして
「覚えててくれたんですか?嬉しいです!」
どうやら当たりらしい。そっか、この人がそうなんだ…私、この人のこと好きかな…悩んでいるとしろが
「これから婚約するのでその時に僕のことを色々知っていただいて本格的に好きになってもらいたいです」
私の不安を感じ取ったのか安心させるように言う。
そろそろ時間だから、またね、といいしろは出ていった。
「どうだった?しろ君は?優しかっただろ?」
「とっても優しかったです!」
「そうかそうか、それはよかった、どうだ?婚約は上手くいきそうか?」
「はい、もちろんです!」
父は安心したようによかったと呟いた。
家に戻りしろのことを考える。
しろ君、優しかったなぁ…次いつ会えるかな…もっと仲良くしたいなぁ…あ、そーえば連絡先聞き忘れちゃったな…次会った時聞かなきゃな…しばらくはないかな…。そう考えていた時電話の着信音が鳴った。誰だろう…?画面を見ると非通知でかかってきている。少し躊躇いながら電話に出てみる。
「も、もしもし」
「もしもし、めいちゃん?」と電話をかけてきたのはしろ君だった。「どうして私の電話番号を知ってるの?」と聞いたところ私に電話番号を聞き忘れたので親に聞いたそうだ。
「で、めいちゃん、今度僕と一緒に遊びませんか?」
「え、いいんですか?」思わず聞き返す。
「もちろん!めいちゃんと遊びたいんだ!めいちゃんは遊びたい?」
「もちろんです!どこか行きたい所とかありますか」
「うん!おすすめのカフェが遊園地の近くにあるんだけどどうかな?」
「行きたいです!」
「あ、でも、親さん、厳しくない?大丈夫?」
「大丈夫です!」
「よかった、じゃあ、来週の土曜日10時ぐらいに迎えに行くから待っててほしいな」
「あ、ありがとうございます!よろしくお願いします!」
じゃあ、またね、楽しみにしてるよ、と電話が切られた。たった10分くらいの電話なのにドキドキしている自分がいた。
土曜日が遅く感じるくらい楽しみだった。早く土曜日にならないかな、お洋服何着ようかな、楽しみだな…。
土曜日
6時に起きて準備をする。かわいいお洋服に着替えご飯を食べて、メイクを完璧にして髪の毛をセットしてしろを待つ。変な顔してないかな?何度も鏡で自分の顔をチェックしながらしろを待つ。
メイドがしろ様が来られました、と聞いた瞬間自分の部屋から飛び出す。あぁ、やっと会える…!
「おはようございます、めいちゃん、準備は大丈夫かな?」
「お、おはようございます!準備は大丈夫です!」
「じゃあ、行こ?」笑いながらそう誘ってくれる
車に乗る。隣にしろがすわる。しろとの距離が近い。
ドキドキする。車の中で少し話をする。色々話しながら遊園地についた。
遊園地につくなりポップな音楽と楽しそうな家族やカップルが目に飛び込んできた。
「うわぁ、すごい…」
そうつぶやくとしろは笑ってさぁ、いこ?と誘ってくれる。嬉しい。遊園地でしろと色々なアトラクションに乗った。ジェットコースターやメリーゴーランド、コーヒーカップなどに乗って楽しく笑いあった。お腹が空いてきたのでご飯を食べる。幸せな時間を過ごした。時間を見るともう時計の針が9時を指す15分前だった。
「そろそろ帰らなきゃ…。」
幸せな時間は早い。そう感じたときしろが
「じゃあ、最後に観覧車のろ?」と誘ってくれた。
それがただ嬉しくて急いで観覧車の列に並ぶ。
「観覧車楽しみ?」しろが聞いてくる。
「楽しみだよ!」そう答える。
列が進んで観覧車に乗った。
他愛のない話をしているとしろが
「ね、僕のこと好きになってくれた?僕と一緒にいて楽しい?」と聞いてきたから
「すっごく好きです!今もしろといれることが幸せドキドキします!」と答えた。
そう、よかった。そう呟くと不意にしろが近づいて
キスをした。
「?!??!?!!!!?」
驚きを声に出せないでいるとしろが笑って
「すきだよ、愛してる、めいと婚約できて僕は世界一の幸せものだよ。」
そう言って抱きしめてくれた。
「私も幸せだよ。」
そう言って抱き締め返した。