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ライアンラヴァー  作者: TUBOT
過去と向きあう
33/37

クリーヴァーの出動

「アリシルちゃんをほうっておけない」

 いままでの自分の行動を考えると、こう考えるのはおかしいと自分でも思う。

「まあいい。このクリーヴァーの命は助けよう。ただし、解放は計画が完遂されると確信できてからだ」

 テリーヌはそういうと、アリシルちゃんのこめかみに銃を突きつけた。

「私達についてきてもらおう。ついてこないならこいつを殺すぞ」

 そう言われ私はテリーヌのあとについていった。

「脳波の反応は全くない。気づかれてはいないようだな」

 悠々とした態度のテリーヌ。悔しくはあったが、アリシルちゃんのためには従うしかなかった。


「あのアホ。なんでこういう時に逃げ出さない?」

 私の体に発信機と通信機が埋め込まれていたらしい。

 クリーヴァ-が相手の時、犯罪組織は脳波を調べる。だが電波は調べない。

 隠密的な作戦の時には、クリーヴァーは電波を使って通信するのが常であった。

 カインが食事に混ぜた発信機が、この時の私達の会話をクリーヴァー達に伝えたらしい。

「そんなものが見つかったら、確実に各国が取り合いになるな」

 そんな強力なものが発見されたら、軍事利用をされるのは明白だ。世界の事を考えたら、本気でそのエネルギー物質を破壊する方がいい。

 カインもそうは思った。

「あのアホを見殺しにできるか」

 カインは言う。

『おいおい。お前あいつの悪口しか言っていなかったろう?』

 通信でそう言われる。カインはいつもは理路整然としていて、質問にはすぐに返答なり反論なりする彼が、この時は答えに窮していた。

「なんでもいいだろう?」

「はっはっは。お前が初めて人間らしい行動をとったな」

 そう言うと、相手のクリーヴァーは通信を切る。

「ふん。クローン人間を使って、理想の嫁を作ろうなんて、ずいぶん人間らしいと思ったがな」

 隣にいるイツバを見ながら言うカイン。

「ステナさんの方が、私より好きですか?」

「お前、どこでそんな言葉を覚えたんだ?」

 イツバが見上げながらそう言ってくるのに、煩わしさを覚えたカイン。

「事件後のあいつの世話も仕事のうちだ。アフターケアが万全なのが俺の売りなんでね」

 カインはそう言った。

 クスクス笑ったイツバ。

「でも、とられる相手がステナさんならいいかもしれません。手のかかる子ほどかわいいっていうのもわかりますよ」

「だから、お前はどこでそういう言葉を覚えてくるんだ?」

 そう言ったカインは、すぐに空を飛んで現場に向かった。

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