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人と魔剣と世界と神と

魔族を退治してから1日が経った。

あれから、騎士団に色々と聞かれたが、魔法ということで処理してもらった。

俺だって、いまだに混乱してるのだから仕方がない。


「しかし、あれはなんだったんだろう?」

「あれというのは、魔人化のことかナナシ」

「魔人化?ニースは何か知ってるのか?」

「もちろん、妾は魔王に作られた魔剣じゃぞ」


ニースが、たわわな胸を弾ませながらそう言ってきた。

魔人化と、はじめて聞く単語に嫌な予感がする。


「おぬしとは、少し違うかもしれんのじゃが、上位魔族は魔法の武具を持つことで、魔人化と呼ばれる強化状態になれるのじゃ。だから、さらなる力を欲した魔王は妾を作ったのじゃな。だから、魔剣レオニスと融合したナナシは、それに近い状態になることが出来るようじゃな」

「ちょっとまて、魔剣レオニスと俺が融合?意味が分からん、いつ、なぜ、そんなことになったんだ?」


今度は魔剣と融合ですか、頭の中がグルグル回ってきた。


「おぬしが持ってるその腕輪、そいつが原因で融合したんじゃな」

「この腕輪が原因?」

「あの時、妾は魔王の手で究極の魔剣として作り出されたのじゃ、魔王は100年という時間を掛け、魔力を注ぎ込み魔剣を完成させた瞬間、おぬしが妾の体を奪いさったのじゃ」


記憶がない、なぜ俺はそんな所にいたんだ?

この腕輪も、なぜ持っているのか、誰に貰ったのか?

貰った?誰に?女性に?いつ?どこで?


「ペタルーツの腕輪」


不意にそんな言葉を口ずさんだ。

頭の中に、腕輪の名前が浮かび上がる。


「ロリエドシステム」

「ウェイディーンリアクター」

「多次元管理組織ナマケラス」


次々と言葉が出てくる。

知らない名前が、頭の中に浮かび上がる。

そして、俺に祝福の言葉をくれた女性!


「アナリヤ!」


それが鍵だったのだろう、頭の中にあった靄が綺麗に晴れていく、全ての記憶が鮮明に蘇る!


すると、ペタルーツの腕輪が輝きだした。

スッキリとした頭の中に声が聞こえる。


《よかった、やっと繋がりました》

《あんた、アナリヤか!》

《はい、そうです。あなたを、転生した時イレギュラーがあって心配しました》


念話?のようなものなのか、頭の中で話す。


《ふむ、こやつがナナシと妾を同化させた張本人か?》

《おおぅ⁉︎ビックリした、おまえニースか?》

《えっ、この次元通信に介入してきた⁉︎》

《ナナシと妾は一心同体じゃ、存在自体は唯一になっておるしなぁ、聞こえるのも不思議ではないじゃろう?》


突然ニースが、念話に混ざってきたのだ。

そして、アナリヤとニースの話を聞いて、此度の事態を理解できた。


《なるほど、魔剣と融合した俺が暴走して、魔王の所から逃げ出したのか》

《そうじゃ、妾は人格こそ生まれていなかったが覚えておるぞ》

《魔剣を依代に転生したから、あなたとして認識出来なくなったロリエドシステムがエラーを起こし、まさかの消息不明となったわけ》

《記憶がなかったのは、俺でも魔剣でもない存在になったからか》

《その後、魔族との戦いの時、あなたの妹を助けたいという強い気持ちが、存在確率を上げて再びロリエドシステムが感知したわけ》


なるほど、聞けば聞くほど迷惑かけまくってる。


《魔剣は魔王が作ったので負の力の塊だった。だから、暴走した俺は魔族と一緒にレンを殺してもかまわないと思ったのか》

《ロリエドシステムが干渉し、歪みを修正したので強力な負の力は無くなったのだけど、あなたの妹を助けたい心が逆に強力な正の力を生み出した。さすが魔剣といったところね》

《そして、そのロリエドシステムというのが、その強い力をサポートさせる為に、妾を生みだしたのじゃな》


だから、ニースは俺を導く為に、共に生きようとか共に護ろうとか、正義の道を進もうと語りかけてきたのか。


《じゃあ、魔人化ってのはなんだ?》

《そのまんまね、魔剣の力を引き出した状態のあなたよ。魔族の力と、ロリエドシステム、この世界での神なる力が融合したのだから、魔神化の方が正しいかもね》

《ほう、多少語呂が変わるとカッコいいのじゃ》


そんなもんなのね。


『ところで、あなた記憶が戻ったのなら、名前はどうするの?アイダレオに直すの?そうしたいならロリエドシステム使えば、あの街の人の記憶は改竄できるけど?》

《いや、それはいい。あの街で、俺はナナシとして生まれて生活してきたから》

《それでいいのじゃ、なにせ魔神化したら『マケンアイダーレオニス』に、なるんじゃしのう》

《魔剣レオニスとアイダレオが融合して『マケンアイダーレオニス』ですか。では、こちらでも正式に登録します》


アナリヤは、淡々とした声で処理した。

マケンアイダーレオニス、カッコイイ名前と思うんだけどなぁ。


《とにかく、問題は解決しましたね。もし、何かあったら連絡ください、こちらも何かあれば連絡します。次元通信が使いたい時は、使いたいと思えばペタルーツの腕輪が繋げてくれます》


そう言って、念話は途切れた。


「ナナシお兄ちゃん、大丈夫?」


レンが、顔を覗き込むように見ている。


「大丈夫だよ、腹減ってボーッとしてたわ」

「ふふっ、食いしん坊なお兄ちゃんね。待っててすぐ朝ごはんの用意するから」

「レンは可愛いのじゃ、妾もお姉ちゃんと呼んでもらいたいのじゃ」


ニースが、そう嘆いているのには理由がある。

なぜか、レンはニースをライバル視しており、さん付けで呼んでいる。

まぁ、ニースの巨乳を見たら、レンが悔しがるのは仕方ないわ。

レンの、慎ましい胸も俺は好きだけどね。


とにかく、この力の出処はわかった。

この世界には魔王がいて、魔族が街を人を襲うのであれば、俺はこの力を使って戦ってやるさ。


よしっ、そうと決まれば、まずは特訓だ!


次回、新たな魔族が街を襲います。

戦え、マケンアイダーレオニス!

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