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ヒーローのチカラ

死後の世界改め、『多次元管理組織ナマケラス』

その、組織の管理室の一つが歓声をあげていた。


「アイダレオの存在を固定化に成功!」

「ロリエドシステムの移植成功!」

「ウェイディーンリアクター稼働成功!」


オペレーターから、次々と歓声があがる。

よし、これで私の首も繋がった!


「歪みの原因、不確定要素を確認」

「どうやら、あの世界での魔王が大規模な実験を行った事によって、アイダレオが引き寄せられたようです」

「魔剣レオニスの完成と、アイダレオの転生が奇しくも同じ瞬間に行われたようです」


それで、彼はどうなったのだ⁉︎


「アイダレオの転生の依代に、魔剣レオニスが選ばれてしまったようです」

「普通は、同じ人間か似た種族になるはずなのに、なぜ無機質の剣なんかに」

「それは、分かりませんが現にアイダレオの体は、生物として存在していますが、魔剣レオニスとしても存在してます」

「アナリヤ主任が、彼に与えた腕輪ペタルーツにロリエドシステムを移植した時、魔剣レオニスを取り込んだようです」


そして、今画面に映っているのは、人の姿を超え、魔剣の力を超えた、新しい存在だった。



世界が変わった、そして俺も変わった。

目の前の妹を、レンを助けるために、全てが変わった!


「その、汚い手を離せ」


ブバッ!


魔族の腕が、空に舞う。

レンを優しく抱いて助けた。


「ナナシお兄ちゃん、なの?」

「あぁ、お前を助けるために、天が力をくれたみたいだ!」

「ありがとう、ナナシお兄ちゃん!」


一瞬の出来事だった。

自分でも、呆気なく助け出せた事に驚いたが、レンはそれ以上に驚き喜んだ。


「今のうちに逃げるんだ。そこの騎士、妹を頼む」


近くにいた騎士にレンを預けた。

さて、クソ野郎退治の時間だ!


「くそったれがぁ!この魔族ナガセが、人間ごときに腕をやられるとは笑い者だぜ!」


そういって、失った右腕が生えてくる。


「魔族って、トカゲみたいな奴だな」

「てめぇが、何者か知らねぇが魔族に楯突いた事を後悔させてやる!」


グアァァァァァァッ


魔族ナガセが、拳を振るって襲ってくる。

大振りなパンチを躱し、カウンターをくれてやる。

相手の腹に、抉るように拳が叩き込まれる。

そのままの勢いで体を捻り、回し蹴りで頭を刈った。


「ぐはっ、なんだお前、その力まるで本当に魔族じゃねぇか⁉︎」

「俺は、魔族なんかじゃねぇよ!」


魔族ナガセは、体をよろめかせながら棒立ちで聞いてくる。

もう、動くこともできなそうだ。

ならばトドメを刺してやる!


「魔剣、レーオーニース!」


そう叫ぶと、目の前に魔剣レオニスが現れる。

その姿は、白銀に輝く神秘の剣!


「さぁ、今こそ妾と正義の道を進むのだ!」


あの時の声が、また聞こえてきた。

それを手に取り、再び叫ぶ。


「ウェイディーンリアクター、エンゲージ!」


天に掲げた左手の、腕輪ペタルーツが輝く!

突然、天に巨大な魔法陣が現れた。

魔法陣から光の柱が伸びて、魔族ナガセを包み込んだ。


「なっ、なんだこれは。体が動かねぇ⁉︎」


その場で、磔にされた魔族ナガセが踠いている。

俺は、魔剣レオニスを上段に構え駆け出す!


『くらえ!正義の鉄槌を!』


魔族ナガセを、袈裟懸けに切り捨てる!


「グアァァァァァァッ、魔王様バンザーイ!」


ドッガァァァァァァァァァン


魔族ナガセの最後だ!



俺の姿も元に戻り、いつもの優男になってしまった。

光の柱は消え、天の魔法陣から光の粒子が街に降り注ぐ。

たちまち、街の壊れた建物が元に戻り、怪我した人の傷が治っていく!


「ナナシお兄ちゃんっ!」

「レン、大丈夫だったか!」


レンの、頬につけられた傷も治っている。


「私は大丈夫だよ、それよりナナシお兄ちゃんは大丈夫?」


レンが心配してくれた。

通りの向こうから、親父さんと女将さんが走ってくるのが見える。

魔族との戦いが終わり、ホッとしていると。


「おぬしが、妾の御主人様じゃな」


そう声を掛けてきた、美人のお姉さんがいた。

御主人様?俺が?なぜに?


「えっと、どちら様でしょう?」

「なんじゃ、妾がわからんのか?妾は魔剣レオニスじゃ」

「へっ?」

「先程も、その前もお主に声を掛けたであろう」


まさか、度々聞こえてた声は、魔剣レオニスだったのか⁉︎

しかも、なんで人?なんで女性?なんで巨乳?


「ふむ、どうやら人格が生まれたらしいのう。詳しいことは分からんが、いいではないか。こうやって御主人様に触れられるのは、妾に取っても僥倖じゃ」


ペタペタと、纏まり着くように絡んでくる。

それを見て、頬を膨らませているレンがいた。


「ちょっ、魔剣レオニス、人が見てるから止めてくれ」

「そんな名前で呼ばないでおくれよ、御主人様」

「じゃあ、なんて呼べばいいんだよ」

「そうじゃのう?なれば、ニースと呼んでくれ」

「分かったよ、だったら俺もナナシと呼んでくれ。御主人様とか気持ち悪い」

「わかったのじゃ、ナナシ」


そうな感じで、初めて魔族を倒し、レンを救い、ニースと出会い、騒がしい一日が終わるのであった。


この世界での本当の生活が、今はじまったのだった!

ダブルヒロインです!

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