上
3話構成の短い話です。
楽しんでもらえたら幸いです。
彼女は僕のことが好きだ。
彼女は毎朝、朝は僕のために健康にいいものを作ってくれる。
そして、「おいしいよ」って言うと、「そ」と台所で後ろを向いたまま返す。
出勤の時は「行ってきます」って言うと、「うん」と洗面所で顔を洗いながら答える。
昼に食べる彼女の弁当はおいしい。
ご飯に梅干し、あとは卵焼きと冷凍食品。
彼女の愛が詰まっている。
安月給だから豪華ではないけれど、彼女は毎日欠かさずに作ってくれているから嬉しい。
仕事で遅くなることはあまり無いけど、遅くなるときはちゃんと電話をする。
でも、1度だけ連絡を忘れたことがある。
彼女は心配して、1本だけワンコールの電話をかけていた。
帰宅すると、彼女の美味しい食事が待っている。
僕の毎日の楽しみの1つだ。
「休みの日はどこか行く?」と僕が聞く。
「別にいい」と彼女は答える。
どこに行かなくても、僕は彼女と居れれば幸せだ。
彼女は僕にわがままを言わないけど、彼女も幸せなのだと思う。
そう信じたい。
家で2人きりで過ごす時間は早い。
テレビを観たり、今後の予定を話したり。
彼女は少しも笑わないけれど、楽しんで居たんだと思う。
みんなは無愛想だと言うけど、僕は彼女を愛してる。
でも、僕は彼女を不幸にした。




