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あえてその裏をかく  作者: @
第一章 夕刻の影
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夕刻の影

四話目です。


一応略称が決まりました!


正式な『あえてその裏をかく』の略称は…



『ダークネススピリッツ』です!


すみません嘘です。


『ウラカキ』です!


これからもウラカキの応援よろしくお願いいたします

彼と出会ったのは幼稚園の頃だっだ。

私はこんな能力を持って生まれてきたため、周りから浮いていた。

私の能力は『近くにいる人の心の声が聞こえる』能力だ。

その時に声をかけてくれたのが白ちゃんだった。

彼は様々なことを教えてくれた。

例えば、鳥のさえずり。



『鳥の声っていいよな』


私はもちろんそんなもの聞いたことはない

だから曖昧な答えで返す


「そうだね…」


その時私の耳に鳥のさえずりが聞こえてきた。

彼は外から受ける刺激に対して本当に心で感じているのだ。

私は白ちゃんのおかげで様々なことを学んだ。

街には様々な音に溢れている。

白ちゃんと一緒にいる時だけこの世界に色がついたようだった。


だけど、小学六年生の時に始めて自分の気持ちを言わなかった。

その感情は私に恋をしている感情だった。

白ちゃんの気持ちがダイレクトで私に伝わり、いつしか私も白ちゃんを好きになっていた。

中学校に上がり、白ちゃんは告白をしようかと真剣に悩んでいた。

その気持ちも私に伝わる。

なんとかしようと私も思ってしまう。


七月のある日、父が私のアメリカ行きに同伴できずにチケットが余ってしまった。

私はチャンスだと思い、そのチケットを白ちゃんに渡そうとした。

チケットを渡そうとする当日

白ちゃんはこの日に限って告白をしようとした。

私は様々なことが重なり能力のことを話した。

親にしか言ったことのない事実を話してしまう。

そのせいで私は白ちゃんを怒らせてしまった。

そして、放課後

私は英会話教室へと向かう。憂鬱だ。

白ちゃんに嫌われた私なんで存在価値すらないかもしれない。

そう思いながらとぼとぼと歩いていると急に頭に衝撃が走った。私はそのまま気を失った。


気がつくと、あるマンションの一室に連れて来られていた。高校生らしき人物(以下高校生)が三人いる。


その一人がこちらに近づいてきた。


『よし、こいつを売り飛ばして五百万円ゲットだぜ』


高校生達は私をどうにかして金を取る気らしい


高校生が何かを言って、私の腕を引っ張り、車に乗せられる。


そのままどこかへ連れて行かれる。

もう、聞きたくなくても、私を金の踏み台としか考えていない嫌な思考が否応無しに私の耳に届く。私はせめてもの抵抗として、目を閉じた。


数分間車に揺られてついた場所はとある工場跡地だった。

高校生らしき人物は奥にある倉庫へと足を進める。

もう、辺りは暗くなっていた。






そして今、私は倉庫の中にいる。

倉庫の中には他にも男が二人いて私を含めて六人が倉庫の中にいる。

状況を整理してみると、私を連れ去った高校生たちは騙されていたらしく、激しく憤っている。

対して倉庫に元からいた二人は何やらやばい組織の構成員らしくて、余裕な態度だ。

そして、私は誘拐されたらしい。


私は状況整理を終えてうずくまっていると声が聞こえてきた。


『ユウ!』


慌てて声のした方を向く。

そこには白ちゃんがいた。

私は嬉しくて笑顔になりそうになるが、すぐにそっぽを向いた。視界の端に白ちゃんは追いやられる。



(白ちゃんがこんなところに来たら、傷ついちゃう。それだけは嫌だ。逃げて!白ちゃん!)

私は心の中で思う。

すると

『危険だから逃げろってことかよ。なめんなよ絶対に助け出してやるからな』


私の思いに返事が来る。

それは私を助けるという強い決意だった。

私は白ちゃんを見るとつい笑顔になってしまった。


その時急に高校生たちの感情が高ぶる。

あまりに強い感情に目眩を覚えたが、それも一瞬のことだった。

高ぶっていた感情がフッと消える。

視界がだんだんとはっきりしてくると、そこには血を流して倒れる高校生たちがいた。

横を見ると銃を構えた男がいる。

その男がこちらに近づいてくる。


『うん、邪魔者はいなくなった。まあ、増えても別に殺せばいいか』


心の声は嘘をつかない。この男は邪魔者が来たら本当に殺してしまうだろう。


男が何かを言って手を差し伸べた。


(絶対に白ちゃんを逃がさなきゃ)

そう思った私は男の指に思い切り噛み付く。


(白ちゃん!逃げて!)


私は白ちゃんの方を見て念じるように思う。


この心が伝わったのか白ちゃんは背中を向けて逃げようとした。

その時私の横腹に強い衝撃が走る。

もう一人の大男の方が私を思い切り蹴ったのだ。

その後も何回も蹴られる。

私は白ちゃんがこちらを振り向き立ち止まる姿を視界のはしにおさめた。


(来ちゃダメ。殺されちゃうよ白ちゃん)

その思いは届かず私の意識は途絶えた。




『ユウ、ユウ』


自分を呼ぶ声が聞こえてくる。


私は立ち上がると朦朧とした意識の中でお腹から血を流し倒れている少年を見つける。

声はその少年からだった。

私はまさかと思いつつも少年に近づく。

その少年は私の親友で大好きな人物だった。

自然と涙がこぼれる。


『ユウ…か…?』


白ちゃんの声は今にも消えそうだった。

白ちゃんの手を握る。

私は笑顔で返事を返す。


「うん、そうだよ」


『そうか…』


『なあ…ユウ…』


「なに?」


『俺…ユウのことが…』


『好きだ』


そう言うと白ちゃんは目を閉じた。


「白ちゃん?」


声を掛けるが動く気配はない。


「ねえ、白ちゃん?」


動かない


「返事してよ!白ちゃん!」


動かない


私は声にならない叫び声をあげる。


「理不尽だ!不条理だ!こんな結末は認めない!」


「嫌だ嫌だ嫌だ」


私は何度も地面を叩く。


『目には目を歯には歯を』


急に声が聞こえる。

かなり若い。二十代の男の声という感じだ。


『まあ、ハンムラビ法典の言葉なんだけど』


私は辺りを見回す。

しかしここには誰もいない。


『簡単に言えばやられたらやり返せってことだよね』


いや、いる。

ここには私という存在がいる。


『ならば、理不尽には理不尽で返せばいい』


私は月明かりでできた自分の影を見つめる。


『僕が手を貸してやろう』


その時、私の影がニヤリと笑った


僕は友達が少ない。わりとマジな方で

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