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あえてその裏をかく  作者: @
獣の衝動
25/29

歴史的には何の記録も残らない大作戦の実行開始

前書きは別に書かなかったら書かないでいいらしいですけど、あったら書くのが我が衝動。つまらないことでも書いてやるぜ

囮大作戦


その作戦内容とは一人が敵を相手取っている間に他の奴らが逃げるという戦法だ。


「おい、お前はなんでここに残ってるんだ?」


「私って結構根に持つタイプでさ、あんたにつけられた右肩の傷痛かったなぁ」


私は銃を目の前の男、リスタに向ける。


「そうか。まあ、そんなに俺との交流を楽しみたいなら楽しもうぜ。ただし、俺の思いが一方的過ぎたらごめんな」


伝わってくる。殺戮者の殺気。喉を締め付けるような鋭い感覚が首に突き刺さり私の動きを鈍らせる。でも、


「私の生前ではこの程度の感覚は日常茶飯事だったっつの」


この殺気に当てられて焦るなんてことはあってはならない。こういう時だから落ち着いて今の現状を確認するんだ。

まずは距離。私からリスタまでの距離は目測で大体20メートル。

次に、優劣。もちろん私の方が劣勢なのだが、その程度を再確認する。相手の位置は私より上にある。そのためリスタを撃つには銃口をいつもよりも上げて撃たなければいけない。そうなると当然撃ちづらい。

そして、武器の性能だ。相手はどうやら狙撃するための何かしらの武器を持っているようだが、近距離での戦闘のためその効力は無いに等しい。もう一つの武器だが、銃が二つあるということで、かなり余裕のある攻めをすることができる。一発外しても五秒待たずにもう一発撃つことができるのだから。それ以外に武器を持っている可能性は今は除外しよう。白光はこのロストに私たちを配置した時点で全員が戦うように仕向けている。私がロストに降り立った瞬間にハヤテとの戦闘になったように。そのため私たちを除くロストにいる人たちは武器を二つ持っていると仮定した方がいい。ならばこいつの武器は二つ。これ以上は増えないという想定で戦おう。

あともう一つ私をこの戦いにおいて不利にさせているものはこの右肩の傷だろうか。この傷のおかげで十分に右手を上げることができない。ゆえに山の上にいるリスタを右手で撃つことはできない。先ほど私はリスタとの距離は20メートルと言ったが、右手で撃つのならば余裕で射程圏内だ。だが、左手となると分からない


「おいおい!岩から出てきてくれよ。俺寂しい。ファイナルヘヴンちゃん。出ておいでよ。殺したりしないからさ」


そんな誘い今時のガキでものらねえぞ。

さあ、困った。改めて考えると、私とリスタの力量差は圧倒的すぎる。囮とはいえやっぱり死にたくない。ならばアホなキチガイ殺人鬼を殺すことができたのならば上等だ。うまく逃げられるのならば現状維持だ。私が殺されたら、作戦通りだ。

よし、どう転んでもプラスになるようにしてある。とりあえずはハヤテがより遠くまで逃げられるように時間稼ぎをするか


「なんであなたはそんなに人を殺すことに執着するの?」


「人を殺すのが好きだから」


ダメだ。こいつの頭は想像以上にネジが抜けてる。

いきなり背を抜けて逃げたとしても二つの銃でぶち抜かれる。仮に逃げられたとしても、狙撃が奴には残っている。よく考えたら逃げるなんて選択肢は難しいな。じゃあ、どうするか…


「ん?どうした?そんなに急に岩から出てくるなよ。びっくりするじゃねえか」


「あなたの思いが一方通行っていうのも可哀想だから、私の殺気(きもち)も受け取ってくれよ」


今度は軽く挑発してみる。


「ふーん」


するとリスタはただ関心がなさそうにそう呟くと右手の銃で私を照準する。


銃での攻撃をかわす方法は銃口を一生懸命に見るのではない。銃口を見たところで銃弾が出てくる瞬間を見ることなど不可能だし、見えたところでかわせるはずがない。ならばどこを見るのか。色々な対処法があるが、私はまずは相手の目を見るようにしている。目を見ればどこを照準しているか大体把握できる。

そして、動く。緩急をつけてランダムに動く。銃の攻撃は確かに早い。だが、銃を持っている人間は遅い。撃とうと思って、脳を経由してから指が動き出すまで時間がかかる。多分リスタは銃の引き金を引くという動作が体に染み付いているため一般人より早く撃つことができるだろう。だが、それでも、動いてる相手を撃つのは難しい。

後は、撃つタイミングをこちら側で縛る。なにか、リスタの精神を刺激すればタイミングを絞れるかもしれない。


「あのさ。リスタさん」


「なんだ?ファイナルヘヴン。話を聞いてあげるからまずはそのめんどくさいフットワークをやめようか。意外と撃ちづら……いや、撃つつもりなんてないけど、止まっている方がいいと思うよ」


そんな誘いボケた年寄りすら惑わせねえよ。もしかしてこいつはバカなんじゃないかと思えてきた。まあ、いいだろう。そちらが惑わせられないのであれば、こちらから惑わせる。


「リスタさん。あの、、その、す、好きです!付き合ってください」


「え?あ、あ、その、おぉっふ」


よし、効果ありだ。ここで一気に近づけば相手も驚き正常な判断ができなくなるだろう。接近のチャンスだ。


私は地を蹴り山の坂を駆け上がる(もちろん左右にランダムに揺さぶりをかけながらだが)

あと15メートル。左手で撃ち抜けるか?

試しに私は左手で銃を持ちリスタに向けてみるが若干手が震えてうまく照準を合わせられない。当たる確率は50%と言ったところだろう。

私は一瞬どうするか迷うがリスタは現状の把握が追いついておらず、まだ、ぼさっとしている。人の好意に慣れていないのかもしれない。慣れない感覚は行動を鈍らせる。

あと、5メートル近づける。私はそう判断し、さらに地を蹴る。

残り10メートル。ようやくリスタの目の焦点があってきた。私を見て慌てたように右手の銃を動かす。


相手は慌ててる。慌ててるということは、どんな行動だろうと無意識的にせっかちになる。

リスタの目はどこを見ているか。それは胸の中心。心臓だ。やはり慌てて素早くケリをつけようと思っている。心臓を狙って即死を狙わなくても、奴には銃が2個あるのだから、他にも腎臓だとか肝臓だとか、お腹の部分を狙ってもいいし、相手の動きをさらに制限するために四肢を狙ってもいい。さらには、一つ目の銃弾で相手のバランスを崩して二発目で確実に仕留めるなど、まだまだ戦い方は豊富にあるのにそれを忘れて一番誰でも思いつきそうな簡単な戦い方しかしない。それほど慌てている。

さらにはタイミングも絞られる。今の精神状態だ。この決着をすぐに終わらせたいだろう。ならば奴が撃つ瞬間は私の心臓に照準が合わさった時。まさにその瞬間に撃ってくる。


リスタが右手で銃を上げる。


風はない。


私の周りの景色はもはや消えていた。


リスタの銃口が私の心臓を正確に捉える。


ひと時の静寂を経て、私の耳に引き金のキリリという軋む音が聞こえる。



ズガン!



響く銃声。銃口から放たれる塊。


その塊は私の髪の毛を数本巻き込みながら頭上を通過して行った。



私はリスタの撃った銃弾を限界まで体制を低くしてくぐるようにして避けたのだ。


距離にして残り5メートル。


私は左手を上げてリスタに銃口を向ける。当たる確率は今の精神状態を加味しても100%。狙うなら今しかない。

リスタは次弾を撃とうと左手で私を捉えようとする。だが、私の方が早い。

狙うは心臓だ。ここしかない。あいつの精神状態ではかわすことはできない。気を抜くな。油断するな。落ち着いていつも通りのことをいつも通りにするだけだ。


そして、私はリスタに向かって引き金を引いた


まっすぐ飛んで行く銃弾は確実にリスタの胸へと飛んで行く。


コン


そんな音がロスト山に響いた。



おいおい。おかしいだろ。なんで私の撃った銃弾は確実に心臓めがけて飛んで行ったはずなのに、どうして、なんであなたは笑っているのよ。なんであなたは無傷なのよ


「じゃあ種明かししようか。俺の持っている武器は全部で四つ。双眼鏡、レーザー、もう一つの銃、最後に防弾チョッキだ。俺の胸は銃弾なんか弾き飛ばす」


ああ、最初の読みで間違っているじゃないか。まだ武器を持っている可能性を感帰るべきだった。


リスタは今までとは打って変わって、落ち着いた様子で銃をこちらに向けてくる


「どうだった?俺の演技は。騙されたか?」


「あれ演技だったんだね。役者になればよかったのに」


「そうかもな」


「悪趣味が」


「俺にとっちゃ褒め言葉だ」


はぁ、同じ条件なら絶対に勝てた。


そんな言い訳しても意味がないけどね















日は落ちかけ、この島を赤く染め上げる。

俺はアジトの扉の前でシグマが帰ってくるのを待っていた。最初こそ遅いと思いイライラしていたものの、今は心配に変わる。もしかして、あの場に残って俺が逃げるための囮役をしているのではないか。

いや、そんなはずはない。シグマは俺たちの関係を利害の一致の関係もしくは利用し合う関係と言っていた。だから、もしかしたら俺を裏切って何かをしているのかもしれない。


分からない。情報がない。

そのことがとんでもなく怖い。何も知らないことが俺をこんなにも束縛している。

ロスト山に戻るのがいいのか、それともアジトの周辺を調べるのがいいのか、最早ここに待機しているのがいいのか。


分からない。俺にはどうしていいのか分からない。だから、とりあえずリスクの少ないアジトに待機という選択をしている。でもこの選択が最善なのかは分からない。


「おー、お前暇そうだな。相棒はどうした?」


急に後ろから声が聞こえ、銃を構えながら振り向く。だが、それは無駄なことだとわかる


「なんだ…白光か」


声をかけてきた人物というか生命体はロストに俺たちを招いてきた張本人であり、この島で唯一の中立的立場だからだ。ゆえにこいつ自体になんの危険性もない。


「んー、まあ、困っているようだし助けてあげようと思ってさ。だって俺天使だから困っているやつをほっとけないのさ」


「どの口が言うか」


「あの女の状況が知りたいんだろ」


ビクリ


俺の肩が反射的に震える。


「んー、図星かな。まあ、フェアじゃないかもしれんが、仕方なく教えてやるか」


白光は本当に仕方なくといった感じで一つため息を着くと口を開き始めた


「とりあえずあの女は生きている。右肩を負傷しているようだけどな」


その言葉を聞いて俺はほっと胸を撫で下ろす


「でも、交戦中ってとこだ。あの女は現状確認を何回もやっている。用心深い女だな」


「シグマはどこにいるんだ」


「ロスト山北斜面中腹にいるぜ」


「分かった。今回だけは感謝する」


そう言って白光に背を向けるとロスト山に向かって走る。


あいつは一体何がしたいんだ?利害だけの関係じゃなかったのかよ。って俺があいつに問い詰めるとあいつはきっとすました顔で「私がそうしたいからやったんだ。文句なんて言うじゃねぇぞ」って言うんだろうな。ならば、俺がお前を助けに行くのも俺がやりたいからだ。文句なんて言わせねえ。一人で無茶しやがって、今助けに行くからな。


俺は森の中を駆け抜ける。森では気の一本一本が大きく枝を伸ばし、歯を生い茂らせているため、太陽の光がほとんど届かない。夕方となれば尚更だ。だが、日の届く場所もないわけではない。それは森じゃない場所だ。例えば、木の生えていない広場のような場所やロスト山とか…


俺は木々の隙間から覗く光に向かって走る。そして、その光に向かってぶち当たるようにして通り抜けた


最初に聞こえてきたのは銃声だった


そこから数秒の空白があり、俺の足に柔らかく重い物体がぶち当たった

それに俺は目を向ける


「おい、シグマ。早く起き上がれよ。さっさと逃げるぞ」


俺は足元で横になっているシグマに話しかける。しかし、シグマはなにも言わない


「無駄無駄。そいつは死んだからもう何も答えねえよ」


そうか…死んだのか。なんかスッキリしたぜ。いや、だってさ。こいつうっとうしいんだもん。話しかけて欲しくない時にやけにしつこく話しかけてきたりするしさ。外に出る時も無駄に俺にプレッシャーかけてくるし、本当に感謝の言葉を贈りたいぜ。

本当に…


「殺す」


少年は小さくそう呟いた


後書きも同じくそこにあるから書きます。

なぜ後書きをかくのか?

そこに後書きがあるから

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