非日常
さあ、二話目です。
これを読んでいる方々はすごいです。
なぜなら僕の小説の一話を読んで二話も読んでいるのですから。
本当にありがとうございます。
恋をすると世界が変わる。確かに変わった。日常から非日常へと。
今日は七月で快晴である。夏の訪れを感じさせる水曜日の昼休み。
幼馴染であるユウの口から出た言葉は中学生の俺にはあまりに衝撃の大きい言葉であり魅力的だった。
「おい、それって」
ユウは目をつむる
「超能力を持っているってことか?」
「えっ」
「超能力だよ。テレパシーってやつなのか」
「え、あ、うん、そうなのかな」
ユウはすこしホッとしたような感じだった。
「ところで白ちゃん何か言うことがあったんじゃないの?」
「あ」
すっかり忘れていた。超能力のインパクトが強すぎてなんだか言いづらい。
ん?待てよ?心の声が聞こえるなら心の中で告白すれば…
そこで俺は気づく。
ユウの肩がびくりと震える
「なあ、もしかして、今から俺の言おうとすること本当は知ってるんじゃないか?」
ユウは何も答えない
「分かってるんだよな」
やはりユウは何も答えない
「黙ってちゃ何も分かんないだろ」
そう言った時昼休み終了のチャイムがなった。
俺は屋上を出るドアに向かい、ドアを開けたところでユウに言う
「お前とは絶交だ」
そう言ってドアを閉めた。
〜五時限目〜
(なんなんだよあいつムカつくわー)
(人の心を弄びやがって)
(クソッ、もう顔も合わせたくない)
〜六時限目〜
(いや、でも、あいつも結構頑張って超能力のこと話したんだし…いや、騙されちゃいかん)
(いや、あいつも俺との関係が崩れるのを恐れてたのかもしれないし、それでも…いや、俺は傷心してる。傷心してるぞォ)
〜放課後〜
(謝ろう)
ということで、俺はユウの家の前に来ていた。
ユウの家は結構でかい否かなりでかい。
いつもは気にならないのだが、今日はあまりのデカさにびびってしまう。
(ここで止まるな俺!もう後戻りなんかできないぞ俺!賽は投げられた!)
俺は勢いよくインターホンを押した。
ガチャ
「し、白城 颯と申します。朝倉 悠さんイラッシャイマスカ?」
声が裏返った。全然ダメじゃないか
「おお、ハヤテ君か、まあ、家の中に入ってゆっくりして行ってくれ」
「あ、はい、お邪魔します」
ドアを開けて家の中へと入る。
玄関にはユウの父がいた。
「やあ、久しぶりだねハヤテ君。お茶をだすからこの部屋で待っててくれ」
いや、ユウにあって謝るだけなんだけどな。
そんなことを思いながら俺は部屋の中へと入る。
そのは客間のようでソファーが向かい合って二つあって、その間に机がある。
俺は奥のソファに座る。
その時ドアを開けてユウの父が入ってくる。
ユウじゃねえのかよ!
おっと、取り乱した。
ユウの父が向かいのソファに座り紅茶を出してくれる。
「いやー、わざわざこんなところまで足を運んでくれたのはありがたいんだけど、ユウは今外出中でね。少しここで待ってくれるかな」
「あの、ユウは今どちらにいるんでしょうか?」
買い物とかだったらこっちから会いに行ってやる。
「今ユウは英会話の勉強をしに行っているよ。もうすぐアメリカだからね」
「そうですか」
「アメリカで思い出したんだが、もうパスポートは作ったかね」
「あー、美味しいですよねー…え?」
オクトパスとパスポートを間違えた。いや、だって、話変わりすぎじゃないか
「ユウと一緒にアメリカへ行くじゃないのか?」
「初耳です」
「ん?そうなのか。まあ気にしないでくれ」
「いや、ものすごく気になるんですけど…詳しく教えていただけませんか?」
「そうだな…まあ、いいだろう」
(いいのかよ)
「ユウがアメリカに行くことは知っているかね?」
「はい」
「なら、話は早い。実はアメリカに行く時に私と私の妻の同伴で行くことになっていたんだが、急に私に仕事が入ってね」
「つまり、ユウに同伴できなくなったんですか」
「そうだ。そうするとすでに取ってあった飛行機のチケットが余ってしまってね。だから私がユウに『さみしいのならばその余ったチケットで誰かを誘いなさい』と言ったらハヤテ君を誘うと言ったからもうパスポートを作ったのかと」
「初耳でした」
もしかしたら今日話すことは俺をアメリカに誘うことだったのかもしれない。
それを俺が無理矢理相手のプライベートに入っていったからこんなことに…
「ところで話は変わるが、ハヤテ君はユウと付き合っているのかね?」
「ぶふぅ」
こっちはシリアス展開だったのにユウの父は爆弾を投下してくる。
「いや、この話をした時に真っ先にハヤテ君を選んだのでね」
「嫌だなー。まだ付き合ってませんよ」
「なるほど。『まだ』付き合ってないと」
「いえ、あの、そういうことでは…」
そこで、電話が鳴った。
(た、助かった)
「全く、こんなときに誰だ」
ユウの父はそう言いながら電話を取る。
「もしもし朝倉です」
『お前の娘は預かった。返して欲しければ一千万よこせ』
電話の向こうからは歪な声で恐ろしいことをおっしゃっていた。
俺の非日常は終わらない
次回の三話目もよろしくお願いいたします