歴史の中の恋愛事情
んー、まだ展開早い
「彼女は卑弥呼だよ」
え?
私は自分の頭の中が整理できなかった。言っていることのスケールが大きすぎて全然処理が追いつかない。
「え?卑弥呼ってどの卑弥呼?」
もしかしたら卑弥呼違いかもしれない。
「邪馬台国の女王の卑弥呼に決まってるじゃないか」
さも、当たり前のようにさらりという暗闇。やはり教科書に載っている方の卑弥呼らしい。
「何をもたもたしておるのじゃ。わしを待たせるでない」
部屋の向こうから卑弥呼の怒声が聞こえてくる。とにかくここは落ち着いて卑弥呼と付き合おう。
私は奥にあるリビングの椅子に座る。するとすかさず、お茶が私の前に置かれる。卑弥呼気配りいいな。
「んん!ひとつ聞いておきたいことがある。お前たちは何をしにここに来たのじゃ?」
「あなたを助けに来ました」
そう言うと卑弥呼はフッと鼻で笑った
「わしはな。何百年と生きている。この不老不死こそがそこの悪魔にもらった呪いじゃ。でも、悪いことばかりではなくてな。ある程度の嘘は見抜けるのじゃ。もう一度聞く。お前たちは何をしに来たのじゃ?」
卑弥呼の目は真実を言えと訴えてきている。こんな目をされては嘘をつけるわけがない。
「親友を生き返らせるためです」
私は真実を口にだす。すると卑弥呼は二ッと笑う。
「それで良いのじゃ。何百年も生きていれば大抵のことは許せる。つまりあの悪魔の言うことを聞けば願い事を叶えてくれると言ったところかの」
「はい、その暗闇さんの依頼があなたの能力を暗闇さんに返すことなんです」
「なるほどなるほど。わしの能力である不老不死を手放せば良いわけじゃな」
あれ?なんだか解決しそう。なんだか少し味気ない気もするがこれで白ちゃんを…
「でも、そう簡単に譲るわけにはいかんな」
世の中そんなに甘くない。やはり簡単にはいかなさそうだ
「わしはまだ何か満たされん気分なのじゃ。生きている中でいつも物足りないと感じておった」
ならば、今回私たちがすることは…
「私たちがすることはあなたの空いた穴を塞ぐこと」
私はつぶやく。
「そうすれば、わしも満足するじゃろうな」
「その物足りない何かってなんなんですか?」
「知らん。知っとったら苦労なんてせんわ」
「そうですよね。あははは」
ノーヒント。いよいよこの挑戦が無謀のような気がした。
「まあ、ユウ。これは卑弥呼にいろいろやってもらっていろいろ試すしかないね」
ツバキが口を挟む。
「なんか怖いのぅ」
「ところで卑弥呼。あなたもどうせその、存在とやらを取られたんでしょ。なのに、なんで歴史の教科書なんかに載ってるのよ」
「おお、それか。暗闇が言うところによるとな。わしの存在が凄すぎて全部は取れんかったらしいのじゃ」
「じゃあ、残りカスのような存在で現代まで語り継がれているということ?」
「まあ、そうじゃな。でもその存在も当時の人たちにわしという存在を頭に残すことしかできんかった。じゃから今のわしに存在はない」
「んー、なるほど、全くわからなかったけど、とにかく今のあなたには存在はないんだね」
ツバキの言い分に対して渋々頷く卑弥呼。
「ところでお前たちは二人で来たのか?」
「いえ、四人で来ましよ。そこら辺にヒロミさんとアホのレンがいるはずです」
「いや、お前たちしかここに来とらんぞ」
え?まさか…
私とツバキでマンションの外に出る。すると目の前にヒロミとレンが立っていた。
「………………」
「やっと帰ってきたか。じゃあ家に帰るぞ。なんか知らんがここは圏外でネットが使えないからな」
そう言ってレンはスタスタ帰り始める。
「もう帰るのか?茶もまだ全部飲んでおらんぞ」
卑弥呼がひょっこりドアから顔を出す。
「すみません。また今度来ますので」
「おお、そうか。楽しみにしとるぞ」
私は謝罪を口にしてその場を後にする。
「本当に面白い奴らじゃな」
私の後ろの方でそんな声が聞こえた気がした。
私たちは一旦マンションに帰ることにした。理由は明白でレンのわがままだ。
「なんだか今日レンを見ているとパソコン使っているか、スマートフォン扱っているかしか見てないんですけどさらに依存度が上がったんですかね?」
私はツバキに問いかける
「あー、あれね。まあ、依存度も上がってるけど、多分今日のは違うよ」
「え?どういうことですか?」
「多分今日のは仕事。あいつ自分で会社を作ったんだ」
「なんだかあいつが仕事をするなんて意外な感じがします」
「いや、私はむしろしっくりくるね。だって仕事をすればお金が稼げるからあいつにはぴったりの動機だと思うよ。仕事もいい感じらしいし…」
そこで車道で大きなクラクションが連続して鳴った。
私は思わず耳を塞ぐ。
『レンのことが好き』
クラクションの音に紛れて心の声が聞こえた。
え?
私はツバキの方を見る。
何事もなかったようにあるいている。
その聞こえてきた声はツバキの声だった。
まさか…ね…
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