闇の中の扉
さぁ二話目です。個人的にあまり好きではないですかね
あれ?おかしい?俺確かに頭を撃たれて死んだはずだ。なのに俺はなぜ空が見えるのだろう。
俺は起き上がる。すると数メートル前には俺の頭をぶち抜いた女が背を向けてこの場を去ろうとしている。
これは千載一遇のチャンスじゃなのか?俺は立ち上がり一歩踏み出す。するとすぐさま女は銃をこちらに向け、引き金を引く。だが、その女の銃からは何も出なかった。耳を済ませてみるとカチリカチリという音が聞こえる。すかさず、俺は銃を女に向け引き金を引こうとする。が、しかし、俺はなぜだか引き金を引けない。あんなに軽かった銃が今は岩よりも重く感じる。
ええい。もう仕方が無いやい。
俺はその銃を地面に叩きつける。そして走って女に近づき抱き締める。
「俺は今無力だ。殺さないでくれ」
俺はそいつの耳元で囁く。俺の妄想ではこの後に女は俺に惚れて何もできないはずだ。
女は俺を無理矢理引き剥がし蹴り飛ばす。その勢いで俺は木に激突し、肺から空気が吐き出され身動きが取れなくなる。女の銃からは何かが合わさったようなカチリという音が聞こえ、女は銃をこちらに向ける。
あれ?予想してたのとは違うぞ?
俺は思わず目を瞑る。
その瞬間森に銃声が響く。
俺はそっと目を開けてみる。結果から言うと俺は生きていた。銃弾は俺の顔のすぐ横を通ったようだ。俺の後ろにある木の幹には痛々しい弾痕が残っている。
「はぁ、私じゃあの人みたいにはなれないのかな」
女が急に話し出す。さっき俺を殺そうとした女とは思えないほど軽い口調で。
「私の名前はΣついてきて」
シグマはパーカーのフードを外し俺の落とした銃を拾い森の奥へと歩き出す。
銃を取られては何もできないので仕方なくついて行くことにした。
なんとなく気まずい雰囲気だ。俺はシグマの後ろをチョロチョロついて行く。先ほどシグマのことを黒ずくめの女と言ったが対象的に肌の色は白い。それ以外の服装や目の色や髪の毛まで黒だ。よく見ると髪の毛は完璧に黒というわけではなく紫色の髪の毛も混ざっている。
一つ言わせてもらおう。
ふつくしい
なんというかスタイルが良くて、顔立ちも整っている。いや、もう最高の女性だよね!
「あの、聞こえてるんだけど…」
いつの間にか俺は心の声を口に出していたらしい。俺の悪い癖だ。思ったことをそのまま口に出してしまう。たまに話していることを自覚せずに口に出してしまうから恐ろしい。
「へえ、面白い体質ね」
また、口に出していたらしい。俺の方は興味を持たれたくないので話を変える。
「大体お前はどこに行ってんだよ」
「行き着く先はわからない。けどきっといいところよ」
「なんで、いいところってわかるんだよ」
シグマは懐から鍵を取り出す。
「天使にもらった鍵がそこへ行けって導いているから。アッ、あそこみたい」
シグマは何もないところを指差す。
「何もないじゃん」
「いやあるはずだよ〜」
シグマは草を掻き分けて進んでいく。俺も仕方がないのでついて行く。
「ほらね。こんなところに扉があるじゃない」
そこには草や木で隠れて見えなかったが確かに地面に扉が埋め込んである。シグマは鍵を取り出すと扉の鍵穴へ差し込みぐるりと回す。カチッという音がして扉が開く。
「さあ、行きましょう」
そう言って俺を入るように促す。え?俺からはいるの?
「当たり前じゃねえか。さっさと行けよ」
仕方がないので俺は扉の中へとはいる。扉からハシゴが下へ伸びており、俺はそのハシゴをゆっくりと降りる。
下まで行ってみると多少殺風景ではあるが、ちゃんとした部屋があった。
「おー、ちゃんとした部屋があるじゃない」
後からきたシグマも感心している。小走りでソファに座りくつろぎ始める。
「急だけどあなたの未練って何?」
唐突にシグマが尋ねてくる。
「俺のは未練じゃないけどな。ただの欲望だよ。告白の返事が聞きたいってだけの」
「それは都合がいいわ。私と一緒に組まない?」
「でも、天使の口ぶりからすると生き返ることのできる人数は一人だけなんじゃないのか」
「ああ、その通りだ。生き返ることのできる奴は最後に生き残ったやつだけだ」
「びゃ、白光!」
俺の背後には天使である白光の姿があった。驚かせるなよ。
「これを渡そうとしてここにわざわざ来てやったんだ。感謝しろよ。あとお前たちだけの武器である。指輪とか鍵の説明もしねえとな。人気者は辛いぜ」
そう言って一枚の紙を手渡してくる。
そこには真ん中に山があり、その周りを木がぐるりと囲んでいる。
「それは、この島の見取り図だからちゃんととっとけよ。あ、あと、指輪の効果だが、一回だけ生き返ることのできる武器だ。その石が赤い時はまだ未使用の状態だからな」
俺は指輪を見る。
「なんか灰色なんですけど」
「そして、鍵の能力は完全なる安全地帯へ入ることができる能力だ」
「ねえ、白光さん。少しいいかしら」
「なになに?なんだよ?なんだ?」
俺の言葉にはスルーするのに綺麗な女の人にはスルーしないんですね。
「私たちの未練は対象の人物と数分間話せば叶うものだから、私たちが二人揃って残ったら、私たち二人の願いを叶えてくれないかしら」
「いいよ」
白光は軽い感じで承諾する。いいのかそれで。
「最後にだが、人の銃は使えないけど、それ以外の指輪とかなら、奪って使うことができるから。じゃあ、頑張って生き残れよ」
そう言って白光は消える。
「というわけで多少強引だったかもしれないけどよろしくね。やっぱり生き返る方がいい?」
そう言って手を差し出してきた。
「いや、別にいいよ。俺は返事が聞ければ満足だしな。それに一人より二人の方が心強いし」
俺は指から指輪を外すとシグマの差し出した手の中に落とす。
「これは…?」
「いや、俺が持っていても意味がないからやるよ」
「嬉しいじゃないの。私はあなたを殺したのに恨みとかないのかね」
「全くないと言ったら嘘になるけど、まあ、俺も殺す気でいたし今は気にしてないよ」
「じゃあ、ありがた〜くいただくよ。サンキュー。本当にありがとね」
シグマが左の中指に指輪をつける。すると指輪にはめてある小さな石は灰色から赤色に変わる。
「へえ、ちゃんと使えるみたいね。優秀だわ〜。これくれたお礼にこれあげる」
シグマは適当に何かを投げる。それを受け取り、見てみると、それは鍵だった。
「一応交換っていうことでいい?」
「まあ、これをもらったとしても鍵を開ける人が変わるだけなんじゃないの?と思うけどまあいいや」
「正直者の怖いところよね。まあ、面白いからいいんだけどね。じゃあ出かけようか」
「え?どこに?」
「どこって外に決まってるじゃない」
「えー、ここにいた方が安全じゃないか。どうしてわざわざ外に出る必要があるのさ」
「ここは確かに安全だけどさ。最後まで残った敵ってのはきっと強いよ。今まで危険なところで戦っているし、何より指輪とか鍵とかの武器を私たちよりも多く持っているじゃない」
「えー、不意打ちでいいじゃん」
「だめ。少しでも勝率を高めるために私たちもちゃんと戦って武器を手に入れないと」
「わかったよ。それより銃を返してくれ」
「へいへい」
シグマは銃を投げる。それを俺は受け取る。
「じゃあ行くよ!」
「なんでそんなにやる気なんだ?」
そして俺たちは外へ出る。
日は沈み世界に闇が訪れる時間帯。
「俺の時間だ」
木の影に隠れていた男はニヤリと笑った。
はい、修学旅行って知ってますか?僕はこの修学旅行に行きたくありません。なぜならクラスでボッチだから。
まあ、こんなことはいいとして、がんばって書いて行きます




