終わった瞬間すぐに始まる
第三章が始まる!
背中が冷たい。いや、今の俺は寝転がっているから地面が冷たいのか。皆さん初めまして!白城 颯というものです。生前では白ちゃんという愛称で親しまれてました!え?なんで生前かって?そんれもちろん俺は今死んでいるからだ。そのはずなのだが…
俺は目を開ける。そこには満月でも新月でもましてや半月でも三日月でもない中途半端な月が目に映る。俺はため息をつきながら立ち上がる。
「ここはどこなんだ?」
今俺のいる場所は俺の住んでいた街の工場跡地だった。冷たい風が俺を叩いてくる。
「本当にここは一体…」
俺は独り言をつぶやく。
「どこって死後の世界に決まってじゃん」
どこからか声が聞こえてくる。後ろを振り向くとそこには全体的に白く神々しく光る少年が立っていた。
「お前誰だよ」
「やあ、唐突の質問で悪いけどお前今未練とかある?」
俺の質問に対しては完全にスルーしてくる。それにしても本当に唐突だ。いきなり未練だとか…。未練か…。
「いや、俺には未練なんてないよ。強いていうならば告白の返事が欲しかったという欲望だけだ」
俺は生前の死ぬ間際のことを思い出す。あの時俺はユウに告白したのだが、返事を聞く前に死んでしまったのだ。
白の少年はニッと笑う
「欲望ねぇ。いいねぇ。よし決めた最後の一人はお前にする」
いや、わけがわからない
「俺は天使だ。そうだな名前を名乗るとするならば『白光』なんてどうだ?」
「天使…その天使が俺に何のようなんだよ」
白光はニヤニヤわらっている。白光の右手が動き何かを投げてくる。
俺はそれを受け取りどんなものか見てみる。
それは銃だった。
「可哀想なお前に天使である俺が慈悲をくれてやる」
銃が慈悲…?
「簡単に説明すると、その銃を使って全員殺せ。最後の一人になったら生き返らせてやるよ」
「は?いや、意味わかんねえよ」
「君と同じで未練のある人が君の他に九人いるから頑張れよ」
「説明不足甚だしいわ!」
「あとこれ持っとけ、全員同じようなのを持っているからな」
白光はまた何かを投げてくる。今度は小さな赤い石がはめ込んである指輪だった。
「まあ、銃は引き金を引けば弾は出るから」
白光の手が俺の頭に乗せられる。
「とにかくグットラック」
「いや、ちょ、展開早すぎて何が何やら…」
俺の周りに光が集まっていき、視界を覆う。そのあとに浮遊感が出てきくる。移動しているのだろうか。
はあ、どういうことなんだ。とにかく今からこの銃を使って殺し合いが始まるんだよな
俺はその光の空間ですることもないのでとりあえず指輪を適当にの左手の中指につけ右手で銃を持つ。
俺は銃を見てみる。思ったより軽い。俺は一瞬迷った後に銃の引き金を引く。ガギュンという予想以上に大きな音が出る。もう一度引き金を引いてみる。だが何も起きない。ヤベェ、やっちまったか?と思ったが、耳をすませると銃からはカチリカチリと音がでてきて、すぐにカチッと何かがはまったような音がして、銃からはなにもいわなくなる。俺は銃の引き金を引く。すると、ちゃんと弾が出る。そしてまた銃からカチリカチリという音が聞こえる。一発撃って、次の弾を撃つまで五秒程度のインターバルが必要みたいだ。
はぁ、どうしてこんなことになったんだ
急に銃を持たされて戦えだなんて無理だ。
でも、
ユウに会える。
やって見る価値はあるかもしれない。
そう思い俺は右手の中にある銃を握りしめる。
ユウと会ってユウの返事を聞きたい。ただそのために俺は戦う。
殺し合う理由としてはしょぼいかもしれないが、俺はそれでもいい。
そのあと数分間どこかへ移動する感触があり次第に浮遊感も拭われる。
とうとう殺し合いが行われる場所に着いたのだろう。光が徐々に消えていく。
銃を握りしめ目を閉じる。
緊張をほぐすために俺は大きく深呼吸をする。
よし!
俺は気合を入れ直して目を開けた
さあ、俺の物語が今始まる
すでに光は取り払われていた。だから目を開けた時に見えた光景は工場跡地でも光の中でもないのだが、意外感を隠すことはできなかった。そこらじゅうに木があり、人工物など一つもない空間。いわゆる無人島の森のような場所に俺は立っていた。
いや、これは無人島という表現は少し間違っているのかもしれない。
なぜなら黒のパーカーに黒のズボンを着ている黒ずくめの女が俺の数メートル前に立っている。
俺はすぐに銃を女に向けようとするが、女は慣れた動作で銃口をこちらに向けると躊躇なく引き金を引いた。
その銃から出た弾丸は俺の額を貫き彼方へと消える。
え?マジで?
俺の物語の幕が開始二秒で降りた
やっと主人公の登場です。イェーイ




