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あえてその裏をかく  作者: @
第一章 夕刻の影
1/29

日常

初投稿です。

手が震えます。

足も震えます。


恋をすると世界が変わる。なんて言葉があるが、確かに俺にとってこの世界は変わった。

そう、今の俺にとって世界とは最低なものだ。

俺には好きな人がいる。そいつは昔からの幼馴染で中学校に入った今でも仲が良すぎると言われるくらい仲がいい。俺は親友と認めている。 だからだろう、俺が幼馴染で片思い中の彼女に今の関係を壊したくないと思って告白できないのは。

さあ、茶番はここまでだ。本題に入ろう。俺は今から彼女と一緒に昼ごはんを食べる。俺はここで告白する!必ず成功させて見せる!今までの関係なんてゴミ箱へ捨てろ!過去よりも今の方が大切だ!絶対に告白する!

俺は心の中で決意する。

ついでに言うと、今は三時限目の英語の時間である。

心の中を読める人が近くにいたとしたら……軽く死ねるな。



〜昼休み〜

俺は屋上で空を眺めながら音楽を聞いている。普段は聞かないクラシックの音楽を大音量で流している。

そして、クラシックのちょうど区切り目のところで屋上のドアが開かれる。

「ごめん、待った〜」


「いや、俺も十分前くらいにきたところだよ」


「え、十分も待たせちゃったの。本当にごめん」

この律儀に謝ってくる女子が俺の片思い中の女子なのだが、名前は『朝倉 悠』という。

容姿も学力も運動も並のごく普通の女の子だ。

「いや、音楽聞いてたから」


「あ、そうなんだ」

そう言ってユウは俺に弁当を突き出す。

「はい、今週の分」


「おう、ありがとう」

ユウは料理がうまくなりたいらしく、毎週水曜日は屋上でユウの作った弁当を食べて評価するということをやっていた。

(よし、そろそろ始めるか!)

しかし今の俺にとっては弁当の味などどうでもいい。決行するのだ。告白大作戦!


〜告白大作戦その一妄想ver.〜

俺が弁当を食べる。

「今日はどう?」

するとユウは感想を聞いてくるだろう。

そこで俺が

「ああ、いつも通りうまいよ」

ここで一拍おき

「嫁にしたいくらいだ!」

はい、イチコロですね。


よし!この作戦を今実行に移す。


〜告白大作戦その一現実ver.〜

「ほらほら今回は自信作なんだよ」


「そうか、なら遠慮なくいただくぞ」

パクリ

「どう?おいしい?」


「すごく美味しいよ」


ここで絶妙な間をおき


「嫁にもらいたいくらいだ!」

よし!言ったぞ!俺はとうとう告白に成功した。自画自賛しまくるぞ〜

「やったー、これ作るの頑張ったからね。具体的にどこらへんが美味しかった?」

あれ?おかしい

普通ここでラヴストーリーの展開のはずなのに。

クソこうなったら今この場で告白してやる。告白大作戦その二を決行だ!


〜告白大作戦その二妄想ver.〜

「なぁ」


「ん?なに?」


「俺お前のことが好きだ付き合ってくれ」


よし、これで完璧なはずだ。

あとは噛まないようにすれば


〜告白大作戦その二現実ver.〜

「「あの」」

最初から、計画がずれた。


「あ、あーなんかあるなら聞くぞ」


「いや、白ちゃんから先でいいよ」


「じゃあ、じゃんけんで負けた方が先に言うということにしようか」



じゃんけんの結果

俺 勝ち

ユウ 負け


(なんとか勝てた。多分これが人生において絶対に負けてはならない戦いじゃないのかと思うくらい負けられなかったからな)

なにはともあれ俺は勝った。

先にユウから話すことになった。


「ねえ、私って普通に見える?」


「なに言ってんだよ。超並じゃねえか」


「うん、そう見えるかもしれない。けど、私は普通じゃない。私は生まれた時からなにも聞こえないんだよ」


「えっ」


「だから、今七月でもうすぐ夏休みじゃないそこでアメリカに行って手術をすることになったの」


「おお、そうか」


ユウの家はそこそこの富豪なのでアメリカで手術はあまり驚きがない。

驚いたのは耳が悪いということだ。


「どうして、俺たち会話が成立してるんだ?」


不自然に間があく。

そして、ユウが何かを決心したような顔をする。そして、話し始める

「なぜ会話が成立しているのかというと、読唇術とかそういうのじゃないんだ」


「じゃあ、なんでだよ」


「信じてくれるかどうか分からないけど」


「私、人の心の声が聞こえるの」

そして俺の非日常の扉は開かれた。













まだ手が震えてます。

まだ足も震えてます。

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