どっちの師ショー(3)
「えっ?あなたの服?…あっ!そっか///」
自分の勘違いに気付いたのだろう。
焦りと恥じらい混じりの無駄に可愛らしい声が聞こえてくる。
「えっ、でもそれってつまりはこの部屋のタンスからあなたの服一式を揃えて出して、あなたに渡すってことですよね?……男の人のパ…下着を手に取るのはちょっと…」
それ以上のモノをついさっき見てしまっているような気もするがな。
「いや、すまない。服を早く着たいあまり反射的に取ってくれなどと言ってしまったが、別に君が取らなくてもいい。とりあえず君がその部屋から出てくれさえすれば…まあ、他に場所ないからそのまま廊下から家の外に出てもらうことになるがな。」
やっと冷静さを取り戻せてきたようだ。
俺は落ち着いて、当たり前で無難な選択肢を提示する。
「いえ、それは出来ません。」
「なぜに!?」
いきなり、否定されてしまった。
「時間を考えれば分かると思いますが、私、今、隠密でここに来ているんです。まあ、深夜なんで確率は低いでしょうが、人目につくリスクは避けたいかなと…」
こいつの事情は知らんが、まあ、こんな時間に少女に部屋を出入りされるのは、俺としても人目が怖いな。
仕方ない。別の方法をとるか。
「じゃあ、お前部屋のどっか隅あたりででも伏せていろ。自分で服取りに行くから。当然タオルぐらいは巻いて行くし、まあ、さっきみたいなことにはならないだろ。」
押し入れに入ってもらうことも考えたが、もので一杯だったことを思い出して諦めた。
…それに、さっきのこともあるし覗き見られそうでなんか怖い。
「はい!分かりました。じゃ、伏せてるんで、早く済ませてくださいね。」
俺は、バスタオルをしっかりと腰に巻いて準備する。
こんな風にバスタオルを身につけるのってかなり久々な気がするが、案外出っ張ってしまうもんなn
「もう、入っても大丈夫ですよ!」
さて、と、俺は浴室の扉を開け狭い廊下を通り、部屋へと入る。
すると、少女は予想だにしないところで、伏せていた。