②
意を決して玄関に降りて行くと、そこには見違えるほど成長した加奈が立っていた。
身長は150cmあるか無いかで、どちらかと言えば痩せている。
色白で、綺麗な肌は相変わらずだ。
俺は、久しぶりの加奈の姿を見てニッコリと微笑んだ。
「よう。久しぶり」
「久しぶりね。洋ちゃん」
久しぶりに言われた洋ちゃんという台詞に戸惑いながらも、俺は何故ここに加奈が居るのか疑問に思った。
「この街に、ちょっとした用事があったのよ。それで、折角洋ちゃんが居る街に来たんだから、会っていかないと損かな~と思って」
「ふ~ん………それは良いけど、お前体は大丈夫なの?」
「えぇ、体は大丈夫よ」
加奈はニッコリと微笑んで答えて見せた。
「そんなことより、久しぶりに会ったんだから、昔よく遊んでたあそこを見に行ってみない?」
「あぁ、あそこか」
俺の家から10分も歩かないような所に、その野原はあった。
昔はいつもここで加奈お得意の花言葉を聞かされたものだった。
興味が無い話であったが、耳にタコが出来るほど聞かされた俺は、いつの間にやら殆どの花言葉を知るようになった。
今ではこれも大切な思い出のひとつだ。
「よし、久しぶりに二人で行ってみるか」
俺は母親に外出する旨を言うと、加奈と二人で野原まで歩いて行った。