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2話  初めてのだんじょん

やぁ。こんにちは。元気だったかい?俺は凄く元気さ。

何かある日を境に両親が俺を躍起になって鍛えるからなんだろう…今なら魔王でも倒せると思う。

…嘘だよ。まぁエルフは寿命が長い分お気楽に生きてるからあんまり自己の鍛錬ってやらないと思ってたんだけどね。


…俺?さっきも言ったけど、両親のおかげでめきめき実力が付いちゃってさ。何かダンジョン行く羽目になった。

簡単なダンジョンなんだって。初心者用の。うん。ジオル洞窟って言うんだって。うん。

もう目の前に有るんだよね。うん。…村から出てすぐなんだよね。うん。


良いんだ…こんな近くにダンジョンあって良いんだ…


「ふふ…緊張しているのかな?」

「まぁ最初のダンジョンだしな」



ははは、ふふふと笑っている二人は何かもう私服なんだけど。守る事考えてないよこの二人。

何?そんなに強いの家の両親は。まぁ俺もそんな格好なんだけど…

可愛らしいピンクで縁取った白いローブを着てこれまた可愛らしいブーツを履いて、

1メートル行かない位のなんだろう。はたから見るとただの長い棒を携えている。


母も何か立派な杖に父は大剣。二人とも私服と何かただのブーツ。…大事な事だからね。もう一度言ったよ?

そう、ダンジョンで私服…あれ?ダンジョンだよね?何か違うよね?ピクニック?ピクニックなの?



「全然緊張してない様だな…」

「流石私たちの子ね…」


何かすさまじい勘違いをなさっているが、俺の表情筋はすでに御臨終なさっている。

まぁいい…内心結構興奮してきてるんだよねぇ…試したい魔法とか有るし…。くくく…


「な…なんて重い魔力なの…」

「し、シリィ…まだ敵はいないぞ……」


おっと、俺の魔力が漏れていたな…

何か周りに動物がまったく近寄らない。凄く森が重苦しいです。

俺の魔力のせいなんですね。わかります。俺の魔力はありすぎて、少しでも漏れだすと何か凄い重圧を与えるらしい。

俺はまったく自覚はないが。


「さぁ…気を取り直して」

「ええ、行きましょう」


そうして俺たちはダンジョンの中に入って行った。



中は薄暗く壁は岩でごつごつしている。が、道はさほど悪くはない。これはダンジョンの特性だ。

単純な洞窟と違いダンジョンは道がしっかり築かれている。なんでこうなっているかは不明。

ただ、大昔からこうなっているということは確か。学者が躍起になって研究しているが…俺にとってはどうでもいい。


外の雑魚相手は何度かしたし、獣を狩る…命を奪う行為もまぁ慣れた。あまり自分の回り以外固執しないし

俺は結構快楽主義だからな。自分がよければすべてよし。とまでは行かないが概ねそんな感じなスタンスだ。

そんなわけで、モンスターを倒すことにさほど抵抗は無いが…果たして、自分の力がダンジョンに蔓延るモンスター通用するのか。

そこが一番の懸念だ。両親は瞬殺だよ!と太鼓判を押してくれたが、果たして…


「おっと、前方にゴブリンが…3匹いるから」

「はーい」


…気が抜けるなぁ…そう思っていると母が何かこっち見てニヤニヤして父に告げ口をしている。

終わったと思ったら


「じゃ、私たちはここで見てるからがんばってね」

「…」


はぁぁぁぁああ!?馬鹿いってんじゃないよ!死ねと?俺に死ねと?


「大丈夫さ、俺たちの子だもんな」


意味わからん根拠だぜ!もう!こうなりゃやけだ!

俺は全身を強化し、氷影剣を展開。…この氷影剣は…まぁDMCのあれだ。便利だよ。

いざとなったら凍り版ロー・アイアスに大変身だからな。防御も攻撃もかねているんだぜ!


まぁおっかないので接近はせず、超遠距離からの一方的な魔法で殲滅しますか。

「アイスニードル」

ニードルとか言っても俺のは何だろうランスみたいにでかい。

それが空間を埋め尽くさんばかりに展開している。たぶんこれくらいで一匹は倒せるのではと思っていた…


杖を振り下ろして魔法を一気に射出する。

加速の魔法陣を前に展開して更に速度を上げてゴブリンに突き刺さる。

断末魔が少し聞こえてきたと思ったら…なんかあっけなく終わった。


ふぅ、とため息をついて氷影剣を解除して両親のほうに振り返ると…

口をあんぐりとあけたまま固まっていた。


「どうしたの」


一声掛けてようやく動きだした。

つか、あそこまで弱いなんて思っても見なかった。ダンジョン=化け物は当てはまらないな。

…まぁ初心者用のダンジョンだからかもしれないが。


「は、はは…」

「す、すごいわねぇ…」


凄く引き攣りながら褒めてくれた。

やっぱやりすぎていたのか…今度から加減を考えなくては。


「こ、今度は接近戦で倒してくれないか?」


おいおい…10歳の子供に何を言っているんだ。と、思っているがコクンと頷いてすぐに索敵。

…今、凄く、興奮してます。


30分位たってようやくゴブリン共を発見した


「よーし、じゃさss」


父のアドバイスの前に魔力で体を強化し更に重ねがけを行い、一気に接近。

棒状の杖に氷の大剣を展開して一気に振り下ろす。


ゴシャ


一番距離が近かったゴブリンが、生き物が出せる音を超えた音を出して絶命した。

更に、そのまま他のゴブリンめがけて横なぎに一閃。


ズル…


体が横にずれて行き上半身と下半身がお別れしていって絶命した。何だ。あんまり強くないのだな…

ひどく血生臭いので、一気に空間を凍結し、哀れな肉片を氷のオブジェに変えて杖を床にトンと付き


パリン


哀れなオブジェを氷の粒に変えてすっきり!腐ると臭そうだからな。次の人に悪いだろう。

氷の大剣を解除し両親の元へ歩いて行く。やはり口をあんぐりしながらだ。

…なんでそんなに驚いているのだろう。5年も扱かれたのにこれくらい出来て当たり前だろう。

…まぁダンジョンのモンスターが俺の予想より遥かに弱いことも真っ先に飛び込めた一因だがな。


「ま、まぁ…全盛期の俺と比べると…ま、まだまだだ!うん!」

「そ、そうね!魔法の精度も全盛期の私よりはまだまだね!ええ!」


なに10歳の子供に張り合ってんだよ。この両親は。

まぁ、いいや。今日はもう疲れたお。…いやぶっちゃけもう帰りたいだけなんだけどね。






side ドロイド



よ!俺の名はドロイデーイル。ドロイドって呼んでくれ!

それはそうと、家の娘が凄まじい…何が凄まじいかって?

訓練つけた瞬間からめきめき上達してくるじゃねぇか…ほんと、天才的なバトルセンスだ。

魔法のセンスもずば抜けて剣の才能もずば抜けている。さらに、戦闘者としてのセンスも天才的だ。

…あれ?死角なくね?まぁ、唯一の弱点といえば、敵を過剰評価しすぎることだ。

悪くは無い。生き残れる戦い方をするだろうしな。それは嬉しい。が、それが過ぎると、持ち前のセンスを発揮しない。


まぁ、一度戦って敵はあまり強くないと判断すると本当に容赦なくなるんだがな。

俺との訓練は常に俺が自分より強いと判断して動いているからせっかくのチャンスを棒に振っているんだよな。

まぁそれは間違っていないんだが…勿体無いと思わざるを得ない。


可愛いから良いんだけどな!訓練が終わった後に蜂蜜水を飲むのだが…その時の微笑んでいる姿は

まさに女神!この子は将来えらい男殺しになるな…


まぁそれはさて置き、今日はシリィの初めてのダンジョンだ。

行く前日にシリィに一言言ったが頷くだけだった。…冷静だぜ。流石家の娘と言った所か。


まぁ、この日のためにユリアと俺で特訓してきたんだ。

…この5年間でまさか抜かれそうになるとは思わなかったがな。ほんと、羨ましいぜ。

ただ、これからの事についてはまったく頭を悩ませなくて良いな。


シリィが冒険者になったら直ぐに頭角を表すだろう。そして…お金をざくざくと…

いやぁまだまだ長い人生なのに、もう将来が安泰するとはな!はははは!

ユリアも俺と同じなのか、将来に夢を膨らませている最中だぜ。


ま、その前に一端な冒険者にならなくちゃな。シリィ…お前なら出来るぜ。…たぶん。


いつもの服に汚れてもいいブーツを履いて近くの森の中へ。

ちゃんと、二人が付いて行っているのを確認し歩くこと10分。はい到着。

この地域に住んでいてなおかつ冒険者になるやつの大半はお世話になるこのダンジョン。


村も近いし、道中危険も無い。ダンジョン内もトラップもほとんど無い。敵も初心者向けの

このダンジョン。このダンジョンの奥にある花を採取するまでが冒険者の登竜門だと俺は思っている。

ここから羽ばたく冒険者だって数多い。まさに一番最初に潜るには打ってつけの場所なのだ。


ちらりと横を見ると少し顔を強張らせて…いるのか、まぁ少なくとも緊張しているのだろう、シリィに一声掛けて

緊張を解してやるかと思って一声掛けたら、途端に重厚な魔力がシリィから漏れ出した。

周りの動物たちが一斉に逃げ出す。く!なんつう馬鹿魔力!世界中で5本の指に入るんじゃないのか?


ふっと、圧力が消えた途端に嫌な汗がどっと噴出してくる。…我が娘ながら恐ろしい…

いや、可愛いんだけどね。絶対に訓練以外で戦いたくねぇ。俺の勘が叫んでる。殺し合いでは絶対に勝てないと。


案の定。アイスニードルとか言う氷の魔法を発動したが…針じゃないな。槍だな。

何か数えるのも馬鹿らしいんだけど。更に加速の魔方陣だと!?おいおいおい!ゴブリン3体になんて無慈悲な連携魔法を!

つうか怖い!何だこれ?こんな魔法教えてたの!?と目線でユリアに訴えかけるが…横に振るだけ。


つまり、一人で生み出した魔法なのか。…もう、モンスターの知識を仕入れるだけで世の中渡っていけるんじゃないのか?

ま、まぁ魔法はあれだったが、戦闘については本番では中々体が動かないぞ?

そうアドバイスをしようとしたが、全身に馬鹿らしいほど魔力を掛けて疾走。まさに疾風の一言がお似合いで

一瞬のうちに数十メートルの距離を埋めて一瞬で展開した氷の大剣をゴブリンめがけて振り下ろした。


その直後に横に一閃。ずるっという音だけで断末魔をあげる暇さえ与えなく、殲滅。

その後空間を氷付けにしてゴブリンを氷のオブジェにして粉々に…

…確かに最初にいったさ。「攻撃される前に切れ」と。ああ、いったさ。


まさか、こんな形で体現されるとは…後は実践経験だな。既に俺たちより強いんじゃね?ハハハ…

……しっかし…家の娘はどのような状況でも可愛いなぁ…




side シリィ




ゴブリン殲滅後これまで同様の魔法で殲滅したり、剣で殲滅したり。

観察したりして初心者用ダンジョンを踏破した。あまりにもあっけなかったので本当にこれで終わりかよ。

と探ってみてもこのダンジョンの最下層で咲く花が一面に咲いているだけ。


もしかして、俺ってやっぱりチート?

いやいや、世の中は広い。まだまだ強くならなくちゃ。


「強くならなきゃ…」


両親がその呟きに答えるように


「そ、そうだな!まぁまだまださ!はははは…」

「ええ、まだまだ世の中広いわよぉ!おほほほ…」


「「はぁ」」


何故ため息をついた。我が両親よ。え?次からは一人で行って来いって?マジですか…

もっとチート化したい。

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