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【異世界ラブコメ】【続編】また転生したかと思ったら婚約者のご令嬢も一緒でした  作者: 舞波風季


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第6話 イケメンはとりあえず敵認定しておく

 生徒会長と副会長そして理事長推薦で書記も決まり、リアと俺、アリスの三人は生徒会活動をすべく生徒会室に集まった。

 とはいえ、


「生徒のみんなが喜ぶようなことを好きにやればいいと思うわ」


 という前生徒会長からの引き継ぎとも言えない引き継ぎを受け、さて何をしようということになった。


「みんなが喜ぶこと、ねぇ……」


 リアの独り言のような、皆に意見を求めるようなどっちつかずの(つぶや)きに、


「「……」」


 オレもアリスも名案と言えるような提案もできず、生徒会活動は早くも壁にぶつかってしまったのだった。


(生徒が喜ぶようなことか……)


 学校行事としてまず俺の頭に思い浮かんだのは文化祭だ。

 だが、文化祭が生徒会が仕切るようなものなのか、俺には今ひとつ分からなかった。


 前年度の活動報告書なるものを見ても、めぼしいものは生徒総会と意見交換会くらいしかない。


「これが生徒が喜ぶような行事とは思えないのよねぇ」


 活動報告書を(めく)りながらリアが言った。


 そんな、集まったはいいが話し合いは進まず何も決められない、という状況が数日続いたある日のこと、


「新しいメンバーを紹介するわ」


 と、唐突(とうとつ)にリアが一人の男子生徒を連れてきた。


「私が前にいたクラスのオオベくんよ」

 リアが俺とアリスに紹介した。


「オオベ=ロンタです。よろしくお願いします」

 礼儀正しい爽やかイケメンが挨拶をした。


「オオベくんには今日から生徒会の会計をやってもらいます」


 リアは明るい調子でそう言うと、オオベくんとやらに笑顔を向けた。


(む……!)


 リアが他の男子と親しげにするのを見ると、どうにも心がざわついてしまう。


(随分と仲が良さそうだな……しかもイケメンだし!)


 もう、イケメンというだけで敵視してしまうのは陰キャブサメンの(さが)である。


「随分と急な話ね」


 と言うアリスは、言葉とは裏腹にそれほど驚いてはなさそうだ。

 しかも、新入り会計はアリスを見て軽く微笑んだ。アリスも心持ち表情を緩ませたように見える。


(ん、アリスとは知り合いなのか?)


 それにしてもいきなり会計とは、アリスと同じ理事長の推薦なのだろうか。


「オオベくんとは前のクラスでもよくお話をしてたんだけど」


 クラスメイトとの話はほとんど覚えてないとリアは言っていたはずだが。


「今回、素敵なアイデアを提案してくれたの」

「素敵かどうかはわかりませんが」

 リアの言葉ににこやかに謙遜するオオベ。


「二人に話してあげてもらえる?」

「はい」

 オオベはリアに答えると俺とアリスに向かって言った。 


「音楽祭をやってみてはどうかと思うのです」

「「音楽祭?」」

「はい」


 俺とアリスの反応をオオベは爽やか笑顔で見ている。


「街の広場では、楽団が歌や演奏を聴かせたりしてるんです。学園でもそれをやってみたらどうでしょう?」

「うんうん、楽しそうよね」


 事前に聞いていたのだろう、リアはオオベの提案に完全に乗り気のようだ。


「それでね」

 リアがオオべから引き継ぐように言った。

「皆で街に行こうと思うんだけど、どうかしら?」


「街にですか?」

 俺が聞き返すと、


「ええ、街の楽団を見れば音楽祭の参考にできると思うの」

 リアはやる気満々の笑顔で言った。


「運営の仕方なども教えてもらえるといいですね」

 オオベが言うと、


「そうね、オオベくんは会計だから特に予算面とかはお願いね」

「はい、お任せください」

 オオベがリアににこやかに答えた。


「あら、早速お二人は息があってるようね、頼もしいわ」

 アリスが明るい調子で言うと、


「そ、そうかしら」

 リアがドギマギしたように返し、


「ありがとうございます。頑張ります」

 オオベも照れながらもしっかりとリアを見て答えた。


(あれ?なんか……)


 リアとオオベがいい感じすぎる気がして、俺の中のモヤモヤが濃くなった。


 今も二人は笑顔で言葉を交わしている。

(オレも話に加わらなきゃ)

 と思うのだが、どうやって入ればいいのか分からなかった。


「二人に任せておけば大丈夫そうね」

 俺の向かいの席に座っているアリスが笑顔で言った。


「そ、そう……ですね」

 アリスにはそう返してしまったが、俺のみぞおちは締め付けられる一方だった。


「それじゃ、次の休みに皆で街に行きましょう」

 リアが言うと、


「はい、色々と参考にさせてもらいましょう」

「そうね、楽しそうだわ」

 オオベとアリスが応じ、


「……はい」

 オレも一呼吸(ひとこきゅう)間を空けて答えた。



 次の休みの日、俺達生徒会役員四人は街に繰り出した。目的は学園での音楽祭開催のための調査だ。


「街に出るのは初めてだから楽しみね」


 中庭で待ち合わせした時に、リアが微笑みながら小さな声でそっと俺に言った。

 もうこれだけで俺は嬉しくて舞い上がってしまった。


「は、はい……!」

 俺は声が大きくなりすぎないように気をつけて答えた。


「え、なになに?二人でなにを話してたの?」


 リアと俺のやり取りを目ざとく見つけて、アリスが俺のことを覗き込みながら聞いてきた。


「あ、いえ……」

 おれが言葉に詰まると、


「楽しみねって話してただけよ」

 と、リアは取り乱した様子もなく落ち着いた様子で答えた。


「そ、ならいいけど」

 アリスはチラッとリアを見て、澄ました様子で答えた。


 俺もリアも街に行ったことが一度もないことはこの前確認した。少なくとも街に行った記憶は二人には無い。


 オオベは行ったことがあるようだがアリスはどうなのだろう。

 俺とリアだけだけが特殊なのだろうか?


(そういえばオオベとアリスは初対面じゃなさそうだったな)


 俺は思い切ってアリスに聞いてみた。

「あの、アリスさん」

 俺が名を呼ぶと、


「アリスって呼んでって言ったのに」

 と、アリスは拗ねたような顔をしていった。


「あ、すみません……」

 俺が謝ると、

「まあ、いいわ。それで、なあに?」

 アリスは機嫌が悪そうにしていた表情を笑顔に変えて言った。


「あの、オオベくんとは前から知り合いだったんですか?」

「なんでそう思うの?」


「紹介のときに彼がアリスさんに笑顔を見せていたので……」

「あら、よく見てるのね。もしかしたら私のことを気にしてくれてたのかしら?」


 と、アリスは俺の顔を覗き込むようにして言った。


「い、いえ、そういうわけでは……」

「そ、私のことなんて気にもしてないってことなのね」

 と、アリスは怒ったような表情で言った。


「いえ、あの、その……」

(ど、どうしよう、こういう時はどうすれば……)

 こうなってしまうと俺はオロオロするしかなくなってしまう。


 だが、オロオロする俺を尻目にアリスは、

「オオベくんと私は故郷が同じなの」

 と言った。


「故郷が、ですか」

「ええ、いわゆる幼馴染(おさななじ)みね」


(幼馴染みかぁ……)

 何故か異性の幼馴染みって胸が温かくなる。


(ま、俺にはいなかったけどね!)


「故郷はどちらですか?」

 地名を聞いたところで、そもそも俺はこの学園の外のことはほとんど知らない。

 なので具体的な場所が分かるとは思えなかったが、やはりそこは気になるところだ。


 するとアリスは、

「それはねーー」


 と、もったいぶったように言って横目で俺を見た。


「それは?」

「もちろん秘密よ」

「そうですか……」


 アリスの答えに、俺はガクッとコントみたいなリアクションをしてしまいそうになった。


「ノシオくんとリアさんもそうでしょう?」

「え?」

「故郷が同じっていうこと」


 アリスは「私は知ってるのよ」と顔に書いてあるような笑顔で言った。


(ここは素直に答えておいたほうがいいのかな……)

 もちろん何もかも話すのはまだ早いとは思う。


 だが、根拠は無いものの、アリスにはある程度なら話してもいいのではという気がするのだ。


「はい」

 俺が答えると、

「それで、故郷はどこなの?」

 当然のごとくアリスが聞いてきた。

「それは……」

「それは?」

「秘密です」

「ふふ、やるわね」


 アリスにしては珍しい、ニヤリとした笑顔で言った。


「何を話してるの?」

 リアが俺とアリスのやり取りに気づいて聞いてきた。


「故郷の話をしてました」

 俺が言うと、

「故郷の?」

「はい、アリスさんとオオベくんの故郷が同じという話を」


「ノシオくんとリアさんの故郷の話もね」

 俺の言葉にアリスが被せるようにして言った。


 それを聞いたリアは、

「そう……」

 と、もの問いたげな視線を俺に向けながら言った。

 俺は、

「後で話します」


 と、リアに視線を返しながら言った。俺の言葉にリアは小さく頷いて、街へと続く校門へと歩き始めた。


 俺は、先に歩き始めたリアに追いつき、彼女の横に並んで歩きながら思いを巡らした。


 色々と気になることはあるが、初めて行く街は素直に楽しみだ。


 街で何か新しい発見があって、それが今抱えている疑問の解決になってくれればと思う。


 そんな事を考えているせいか、俺は落ち着かないながらも胸が高まるのを感じた。


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