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その名を知らぬ君へ



 日付も変わる頃の城内。


 王子様の私室には、あとは寝るだけの王子様の姿が。


 ベッドサイドに腰を掛け、物憂げな表情でふぅ、と溜息をつく。


  チラリと、サイドテーブルに目をやると、ガラスの靴が置かれている。


 そのサイズはとても小さく、少し力を入れると割れてしまいそうに繊細だ。


 しかし、その持ち主は、ダンスの際は、王子である自分を支え、リードしていた。


 抱きとめられた感触は、今も残る。


「会いたい⋯⋯」 もう一度、あの少女に。


 王子が見直した、貧困層に対しての政策は、驚くほどスムーズに進んでいる。


 難色を示していた大臣たちも、父王の鶴の一声で賛成へと転じ、その威厳と気迫は、剛腕だが、確かな成果を上げていた。


 食料改善で、人々の身体が体力を取り戻すと、労働力や気力の向上。

 識字率向上は、雇用を生み出し、経済を良くし、病気の蔓延まんえんを防ぎ、犯罪率は減少。


 それは、王政に対する忠誠心となって、人々の心を豊かにしていった。 獅子王が蘇った、などという声も上がっているという。


 父王は、そのほかにも隠密を遣い、まことしやかなうわさ話まで、国中に届くように暗躍あんやくしている。


『妖精王子が貧困に苦しむ娘を見初めた。今までの政策を見直し、父王の協力のもと、人々の生活の向上に努めている』


 彼女の耳にも届いているだろうか。

 彼女は、どう思うだろう。


 喜ぶだろうか。

 期待してくれるだろうか。

 僕を待っていてくれているだろうか。


「会いたい⋯⋯」


 無意識に吐いた言葉は、夜の闇へと消えた。



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