「お前は馬鹿王子なのに、婚約破棄も出来ないのか?」と怒られた王子の話。
婚約破棄って、いつも宣言した方が、没落するよね。
だけど、もし、皆が味方についてくれたらって思わない?
僕は、この王国の王太子ホラズムだ。
婚約破棄をしたら、ヒーローが現われて、元婚約者を救って、僕が断罪を返されてしまう未来が予想できるが、
もし、強力な味方がいたら、どうなるであろうか?
実は、
友人が味方についてくれた。
ただの友人じゃない。
大国の皇子殿下のラインツだ。
僕の学友で、婚約者を探しに僕の国の学園に留学に来た変わり種だ。
「実は、僕、婚約破棄をしようと思っていて・・・」
「何だと!詳しく聞こうじゃないか?」
数時間、熱心に聞いてくれて、僕に資金を提供してくれた。
「くれぐれも、君と私だけの話にしよう」
すごい。僕の小遣いの1年分の金貨をくれた。
そしたら、
隣国の大国、ノース王国のグレース王女殿下が聞きつけてやって来た。
彼女も、我国に留学に来ている変わり種。
今年、新入生で、義弟が入学すると言っていたな。
「ホラズム・・・貴方、ラインツと2時間14分、空き教室で話していたんだって?」
「ええ、グレース嬢、何故?」
僕は仕方なしに話した。
すると、
「まあ、婚約破棄、応援しますわ!これは、レストランと、ドレス店、ジュエリー店を無料で利用できるように、手配しますわ。
浮気相手・・ゴホン、真実の愛の相手と一緒に利用して下さいませ」
「有難う。グレース嬢」
・・・・
「ゲヘ、ホラズム王子殿下!」
「どうした。スラン?」
スランは僕の学友だけど、蛮族の酋長の娘だ。
「どうして、皇子と2時間14分、別室で話して、警戒員を配してまで、庭のガゼボで、王女殿下と2時間17分話していたんでゲスか?」
「ああ、実は・・・」
こいつは、蛮族だから大丈夫だろう。
「婚約破棄をするでゲスか?あっしにも、協力させて下さい!」
フムフム、もし、元婚約者が暴れたら、取り押さえてくれるとな。
これは、助かる。
どうして、皆、僕が誰と話したか気にしているかって?
皆、僕に取り入りたいから、カゲでしのぎを削っているのさ。
我国は、国力は普通で、
中流国家だけど、
刀を製造しているからだ。
しかも、ニホン刀というものだ。
これは、そこそこ売れている。
しかし、ニホン刀だよ。
転生者が、持ち込んでいる。
どれが、元祖か、本物か分らない状態だ。
僕の婚約者は、三代前の転移者だ。
初代から、ニホン刀や、鉄の武具を作っているが、
まあ、普通だ。
特に、加護があるわけではない。
普通の人だ。
転移者、三代経てば、ただの人だな。
もう、切り時だな。
父上に話してみよう。
「ほお、さすがに、もう、ニホン刀の生産は、我国の工房でも、作れるようになった。婚約破棄をしたら、我は、味方に立とうぞ」
「父上、有難う」
次の日、
学校中が、僕たちの真実の愛に夢中になった。
真実の愛の相手は、
僕の幼馴染み。乳母の子、キャサリンだ。
とても、可愛い子だ。
しかも、伯爵家だ。
「皆さん。有難う。キャサリン、クッキーを焼いてきたの~~」
「おお、さすが、王子に相応しい令嬢だ」
「まあ、可愛らしい方ですわ。ホラズム王子にお似合いだわ」
「ゲス!美味しいでゲス」
キャサリンは大人気だ。
さて、僕の婚約者について、話そう。
彼女は、男爵令嬢、リサ・ムラダ。
大きな工房を持っているが、
ただの一貴族だ。
今年、学園に入学する。
その時、入学式の時に、真実の愛を邪魔する不心得者として、断罪しよう。
お祖父様が無理矢理、孫同士で結婚させようと約束したみたいだけど、時代にそぐわない。
「あれ、グレース嬢?今年入る義弟君?」
「初めまして、グレース義姉上の王家と縁組みをしました。ギリスと申します」
チィ、色男だ。さすが、文化大国のノース王国だ。装いもすごい。
「さあ、断罪の予行を始めますわ」
「ああ、シャクだが、ホラズムのために、グレースと協力してやる」
ラインツと、グレースが協力して、台本を考えている。
そして、断罪が終わった後、リサについては、議論がまとまらないようだな。
どこかの国にくれてやるのに、
こうして、運命の日、婚約破棄の日を迎えた。
入学式が始まった。
☆☆☆1時間後☆☆☆
「あれ、リサ嬢が来ない」
「リサ嬢、来ないわね」
「リサ様、来ないでゲス」
いくら、待っても、リサが来ない。
おかしい。
まあ、僕も、子供の頃に会っただけど、
その時、侍従が、不思議そうに、王子に言った。
「あの、リサ様から、お手紙が来ておりませんか?沢山来ておりましたが・・・」
「ああ、何か来ていたかも」
「「「何だと!」」」
えっと、手紙には、税金が高いから、国を出ます。今まで有難うございました。王家の工房で、刀を製造するからと、税金を上げられました。
製鉄所をたたみ。国を出ます。
と書かれていた。
えっ、周りの様子がおかしい。
「おい、今まで、連絡を取っていなかったのか?」
「そうよ。王都に来ないの?」
「そうでゲス!」
皆は、何故か怒り出したが、余裕だ。
「まあ、両手剣のことだろう?君たちの目的は、さすがに分っている。実は・・キャサリンの兄ロバートは、錬金術士で、1日、100本の剣の整備を出来て、1日、30本の刀を作る事が出来るのだ。内政チートも出来る逸材だ」
「初めまして、ロバートです。皆様・・」
パスン!
ラインツは、ロバートの首を斬った。
「アホウ、そんな。ありきたりの加護など、一文の価値も無し」
「ええ、本当よ。どこまで、馬鹿なの?」
「ねえ。馬鹿王子なのに、婚約破棄も出来ないでゲスか?」
「な、何を、彼は我国のエースだぞ・・」
「馬鹿だ。リサ嬢が作られているのは、ムラタ刀で、ニホン刀では無いぞ・・」
「そうよ。鉄鋼で作られた刀よ」
「そうでゲス。鎧ごと真っ二つにきるでゲス!」
「折角、婚約破棄をした後に、リサ嬢に我国に来てもらおうと思っていたのに」
「そうよ。奪い合いまで、考えていたのよ」
「アホ王子でゲスね。鉄の区別もつかないでゲスか?」
「何だと・・・鉄に区別がつくのか?」
幕末、仏像を潰して、大砲を作った藩があったが、為政者は、根本的に分っていなかった。
それでは、柔らかすぎて、威力のある砲弾は発射でいない。
しかし、転移者、三代目のリサ・ムラダは、祖父が、製鉄所、勤務。
研究に余念がなく。
この国でも、19世紀カノン砲が作れるほどの強度の鋼鉄を作り。
その鋼鉄で、刀を作った。正確には、日本刀ではない。
強いて言えば、日本刀をした軍刀、
スプリングで作った刀は、切れ味は凄まじかったと言う。
「ヒィ、ヒドイ。お兄様を斬るなんて、このボケ!」
ドカ!
「ゲホッ!」
今度は、キャサリンが、グレースの義弟、ギリスに腹を蹴られた。
「チィ、リサを救うヒーローになるのは、俺だったハズ。お前の兄なんて、どうでも良いわ。だまっとけ、ボンクラ!」
☆☆☆リサ視点
「フウ、山を越えたわ。あら、王都が火事かしら・・・」
私には、何の加護が付かなかった。この国には、1日、剣の整備100本、30本の刀を作れるロバート様がいるから、大丈夫よね。
その妹さんと仲が良いと聞いたわ。
だから、こちらから、王子殿下との婚約も辞退させて頂いた。
それよりも、女神教本部、異世界アカデミーに行って、お祖父様とお父様が作った製鉄所の監修に行かなければ・・
自分が原因で、市街戦が起きているとは、思いもしなかったリサであった。
最後までお読み頂き有難うございました。