59.お絵描き準備=彼女は余計な一言に顔を赤くする。
体調不良で大学を休んだその日のお昼。二度寝から目覚めた私の耳に聞こえてきたインターホンと共にやってきた白崎朝陽はいつも通りの笑顔を浮かべながらお見舞いに来たと言って、半ば無理矢理、部屋へと上がり込んできた。
「――――お邪魔しまーす……ほーここがミリアさんのお部屋ですか~」
手に持ったビニール袋をテーブルに置きながら、ぐるりと部屋の中を見やる彼女。
別に普段から散らかしてる意識もないし、見られる事に抵抗もないけど、いきなり押しかけてきてのその行動はどうかと思う。
「…………それで?一体何の用ですか。今、私、物凄く体調が悪いんですけど?」
誰が見ても分かるほど不機嫌な表情を浮かべ、言葉の端々に圧を滲まして問いかけると彼女はにへらーと笑ってまたまた~と答え返してくる。
「さっきも言ったじゃないですか~お見舞いですよ、お見舞い。今日もいつも通り一緒にお昼を食べようと思って大学に行ったら姿が見えないので心配になってきたんです」
「……どうやって私が体調不良だって知ったんですか?姿が見えない事で休みだとは分かっても、その理由までは分からないはずですよね?」
「確かに仲の良い人のいないミリアさんですから誰に聞いても休んでいた事すら分かりませんでした。前に名前を知っていた人に聞いても流石にそこまでは分からないと言われましたし……」
「…………仲の良い人がいないは余計ですよ。というかそれは答えになってませんけど?」
まるで私の交友関係を揶揄するような言い回しに対して思わず頬が引き攣りそうになるが、たぶん、彼女に悪意はなく、天然故の発言なのだろうと自分に言い聞かせて答え返す。
「えー……だって真面目なミリアさんが大学を休む理由なんてそれくらいしかないですよね?」
少し困ったような表情を浮かべて彼女はそう答えた。
真面目かどうかは置いておいて、会ってまだ一か月も経ってない関係で私の何を知ってるんだとも思うけど、その答えが的を得ているのだから下手に返す事ができない。
「…………別に私だってさぼりたくなる時だってあるかもしれませんよ?」
「ないですね。さぼりたくなったとしても、ミリアさんはそれを実行しないですよ」
「……随分と決めつけたような物言いですね……まあ、これ以上そこを掘り下げても仕方なさそうですし、もういいです」
大きくため息を吐いて話をそうぶち切った私を見て彼女は不思議そうに首を傾げると、何かに気が付いたようにあっと声を上げる。
「そういえばミリアさん、髪とかボサボサで口の端に涎の跡が――――」
「……今、起きてこれからシャワーを浴びるところだったんですよっもう!」
唐突にそれを指摘された私は羞恥で顔を真っ赤にしながら少し怒鳴り気味で話を遮り、ポカンとした様子の彼女を他所に洗面台へと向かっていった。
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少女……白崎朝陽の強引さに負けて部屋へと上げてしまった彼女。体調不良を引き摺ったままそれにどう対応していくのか……今後が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!
「まるでやり口が悪質なセールスですわよゆうぐれ様」
「?別にあれくらい普通でしょう。現にママも素直に上げてくれたじゃない」
「……あれで私が素直に上げたように見えるならゆうぐれちゃんの人付き合いの仕方はちょっと心配にレベルだよ」
「まあ、それに関しては今更とも言えますけれど……」
「……もしかして私、今、ディスられてるのかしら?」




