58.お絵描き準備=彼女は無茶をしたつけを払う。
差し込む朝日とズキズキとした痛みを感じて不快感の中、私は目を覚ました。
「うぁ……そっか……私、あのまま寝ちゃって――――っそうだ、描いたイラストは…………」
寝ぼけ半分だった私の視界に放置していたせいで真っ暗になった画面が映り、慌ててPCを起ち上げ直す。
「良かったぁ……寝落ちする前にきちんと保存してたみたい…………っ!?」
安堵したのも束の間、頭痛が酷さを増し、思わず座っていた椅子から転げ落ちそうになってしまう。
頭は痛いし、なんだか熱っぽいし、今日は休んだ方が良いかも……
たぶん、こんな格好で座ったまま寝落ちしてしまったせいだと思うけど、心の拒否反応を無視して無理矢理描き進めたのも大きいのかもしれない。
幸い、普段から真面目に講義を受けていた事もあって休んだところでそこまで支障はないし、こんな状態じゃまともに内容も入ってこないだろうから、無理に行かなくてもいいかと思い直して立ち上がり、そのままベッドへとダイブする。
「シャワー浴びたい……痛み止めも飲まないと……でも食欲ないし……もの…………すごく…………ねむ………………」
痛みに侵されながらもくるくる思考の中で欲求を並べ立てている内に私の意識は再び暗転していった。
どれくらい経っただろう。猛烈な喉の渇きを感じて再度、目を覚ました私は上半身を起こしてぼーっと辺りを見回す。
「…………今、何時だろ。まだ外は明るいけど……ふわぁ」
大きな欠伸を噛み殺し、時計に目をやると時間はちょうど正午を回った頃だった。
「……まだ眠いけど、お腹空いたし、一旦、起きようかな」
二度寝をする前より幾分か、体調は回復したようで多少、動いても問題はないだろう。
まだ完全に治ってはないけど、この空腹をどうにかしない事には三度寝というわけにもいかなかった。
「まずは何があるか確認して……あ、その前にシャワーを…………ん?」
回らない頭でどう行動しようか考えていると、不意に来客を知らせるインターホンが鳴り響く。
「こんな真昼間に誰だろ……何か頼んでたっけ?」
普通に考えればこの時間の来客なんていかにも怪しい。宅配でもなければ、セールスか、宗教の勧誘か、どちらにしたって碌なものじゃない。
まして女性の一人暮らし……もっと危機感を持つべきだったと思う。
けれど、この時の私は寝起きで頭が働いてない状態……深く考えずに確認もせず玄関のドアを開けてしまった。
「――――こんにちは、ミリアさん。お見舞いに来ましたよ~」
まあ、結果からいえば、そこに立っていたのはいつもと変わらない様子のあの子……白崎朝陽だったので、私が今、会いたくないという事を除けば、問題という問題は何もなかったのだけど。
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トラウマを無理矢理乗り越えようとした代償として体調不良に陥った彼女の下を尋ねてきた少女の目的とは……?
この先が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!
「や〜あの時は私史上、最強に体調が悪かったね……正直、あんなのは二度とごめんかな」
「……経験がないので分かりませんけど、二日酔いみたいな感覚なんですの?」
「うーん……まあ、近いといえば近いかな。というか、経験がないって……オリィちゃん、お酒飲んだことないの?」
「ええっと、飲んだ事はあるのですけれど、その、付き合いで少しだけ……」
「……なるほど、これはコラボ晩酌配信するチャンスかしら…………よし、オリィ!今度一緒に――――」
「はいはい、また機会があればお願いしますわ。それよりお母様、そろそろお話の続きを」
「……オリィちゃんのスルースキルも上がったねぇ……これってもしかして私達のせい?」




