54.お絵描き準備=彼女はその関係に気付けない。
ゲームセンターでのデート?以降、彼女……白崎朝陽は定期的に大学へ遊びに来ている。
最初みたいな講義にこっそり潜入するなんて無茶はしなくなり、お昼時か、大学が終わった後にやってきて一緒に遊ぶといった感じに落ち着いた。
まあ、とはいっても、お昼に現れたする時点で彼女の高校生活がどうなっているのかと気になる事ではあるのだが。
「――――こんにちはミリアさん。今日も私が来ましたよ!」
「……こんにちは白崎さん。相も変わらず貴女は元気ですね……うるさいくらいに」
今日もお昼時にやってきた彼女にぼそりと毒づき、挨拶を返す。
正直、最初の方は早く諦めてほしくて他人行儀に接していたけど、毎日毎日、それを苦にもせずにグイグイくる彼女を相手にしていたらそれも馬鹿らしくなり、今では苗字呼びと挨拶を返すくらいはするようにしている。
「よいしょっと、それじゃあ隣失礼しますね……あ、またお昼それだけですか?ちゃんと食べないと元気が出ませんよ」
「……別に何をどれだけ食べようと私の勝手ですよね……貴女は私の母親か何かですか全く」
「ふふ、母親じゃなくて友達ですよ~ほら、私のお弁当分けてあげますからもっと食べてくださいねミリアさん」
「あ、ちょ、何を無理矢理……だからいらな――――」
抵抗する私の口に笑顔でお弁当のおかずを突っ込んでくる彼女。台詞と表情だけみれば誰かが羨ましがる光景かもしれないけれど、その実、中身は物凄く強引なパワープレイだ。
「どうです?美味しいですか?美味しいですよね?それは私が腕によりをかけて作った玉子焼きですよ」
「んぐっ……げほっ……無理矢理捩じ込んで感想を求めるとか、どんな神経してるんですか……それに味もやたらとしょっぱいですし……」
「……あれ?おかしいですね……こうすればどんな相手でも落ちるってお母さんが言ってたのに」
「……おかしいのは貴女の頭なんじゃないですか?どこの世界に不味いものを無理矢理口に突っ込んでくる女にときめく人がいるとも思います?」
彼女が玉子焼きと宣うそれは見た目からして残念な玉子……味に関しては異様なほどしょっぱい。そんなものを笑顔で有無を言わさず口に突っ込んでくる狂気的な彼女にどうときめけというのだろうか。
……や、でも、中身はともかく見た目だけは美少女だし、そういう趣味があれば……ううん、やっぱり私には無理かも。
こういうのにころっと騙される人もいるんだろうけど私は違う。
不味いものは、はっきり不味いと言うし、狂気的な行動にきちんとノーと言えるのが私だ。決して変に気を遣ったりはしない。
「え~不味いですか?砂糖たっぷりの甘い玉子焼きなんですけど……」
「……話聞いてました?凄いしょっぱいって…………ちょっと待った。甘い玉子焼って事は……もしかして砂糖と塩を間違えたんじゃないですよね?」
「えーそんな事はないはずですけど……きちんとお母さんに見てもらいながら作りましたし…………」
私の言葉に怪訝な表情をしていた彼女だったが、自分で玉子焼きを一口食べてみたその瞬間、きゅっと顔をしかめ、慌てて飲み物を一気飲みする。
そんな彼女の様子を見た私はだから不味いって言ったでしょ?としたり顔で満足げに笑みを浮かべた。
54.お絵描き準備をご覧くださり、誠にありがとうございます。
ゲームセンターデートを終えて日常的に遊びにくるようになった少女。なし崩し的ながらもそれを受け入れた彼女はその関係の名前に気付く事ができるのか……?
先が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!
「……変わらずの料理下手はまあ、良しとしても、あの恐ろしいまでの強引さは最早、狂気的ですわ」
「……だよね〜最初の印象からヤバい子だなぁとは思っていたけど、流石の私もここまでだとは思ってなかったよ」
「…………前回に続いてどうしても私に文句を言いたいみたいね……そもそもこんな美少女にあーんで食べさせてもらえるんだからご褒美でしょう?」
「自分で美少女って……」
「いくら美少女でも劇物はノーだよ。そんな特殊性癖はないからね」




