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53.お絵描き準備=彼女は少しだけ歩み寄ってみる。

 

 結局あの後、彼女に振り回されてレースゲームを皮切りに協力型のゾンビシューティングゲーム、対戦型の音ゲーなどを経て今、最後のプリクラを取り終わり、ようやくゲームセンターから出る事ができた。


「――――いや~とっても楽しかったですねミリアさんっ!」


 袋にいれたクッションを片手に物凄くいい笑顔を浮かべた彼女が心底、嬉しそうに感想を共有してくる。


「う、うん……そうだね……楽しかったよ……凄い疲れたけど」


 実際、最初のUFOキャッチャーを除けばその後のゲーム自体はきちんと楽しめた。


 初めてだからというのもあったけど、友達……ではないとはいえ、誰かと遊ぶ行為が純粋に楽しかったんだと思う。


「ですよね、私も疲れました~!」

「……本当に疲れてるのそれ?凄く元気そうに見えるよ」


 振り回されている内に本当に何なんだこの子はという気持ちが強くなり、どうでもいいやと途中からすっかり敬語を辞めてしまった私は疲れのあまり正直に思った事を口にする。


「はい!すっごく疲れました!でも、それより楽しいが勝ってるんです。私、友達とこうして一緒に出掛けて遊んだのは初めてでしたから」


 明るさの中に少しの寂しさを滲ませた彼女はどこか遠くを見つめてにこりと笑う。


 私みたいにずっと絵ばかりを描いて碌に周りと付き合ってこなかった奴ならともかく、あれだけ元気で明るい彼女に友達がいないとは思えないし、一緒に出掛けて遊ぶのが初めてというのはあまりにも意外だった。


……会ったばかりに近い私に彼女の過去なんて分かるはずもない。もしかしたらこの子にも過去に大きな傷があるのかもしれないけど、私には関係のない話だ。


 今日一日、振り回されはしたものの、楽しかったのは本当の事だし、少しの間とはいえ、イラストの事を忘れていられたのは事実……だけど、結局、今の私には誰かを気にかけるなんてことできやしない。


 ましてイラストを描いてほしくて近付いてきた子に対して描けなくなった私がどうしようというのか。


「…………私は一言も友達だなんて言った覚えはないですけど?」

「えっええ~!?そんなこと言わないでくださいよミリアさん~!」


 そんな暗い感情を誤魔化すように冗談めいた口調でそう言うと、彼女は衝撃を受けたみたいなオーバーリアクションをして見せ、縋りつくように私の腕へ抱きついてくる。


「ちょ、疲れてるんだから引っ張らないで……」

「うぅ~ミリアさんが友達だって言ってくれるまで絶対に離しませんからね~!」


 まるでコアラのように私の腕から離れない彼女を引き剥がそうとしつつも、その姿がなんだか不思議と可愛く見えてしまい、まあ、少しくらいならいいかと諦め、言葉を返さずそのまま二人並んで歩いていった。



53.お絵描き準備をご覧くださり、誠にありがとうございます。


少女に振り回されながらもなんだかんだでゲームセンターを楽しんだ彼女。ずっと無気力な日々を過ごす中で現れた変化……友達として接してくる少女との関係をどうするのか、彼女の選択はいかに……?


先が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!


「周りを振り回すのは昔から……というか、今よりも大分、暴れているように見えますわ」

「あの頃の私はまだ若かったもの。大人のレディたる今と比べたらそれは仕方ないわ」

「大人の……」

「……レディ?」

「…………何か言いたい事があるなら聞くわよ二人共?」


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