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52.お絵描き準備=彼女は思いの外、むきになる。

 

「…………このアームの設定弱過ぎじゃないですか。これじゃあ詐欺と言われても文句は言えないですよ全く」


 ぶつぶつと文句を呟きながら私はボタンを押してアームを操作する。正確には覚えてないけど、もうかれこれ数千円はこのUFOキャッチャーに使った。


 最初は少女への罪悪感から挑戦したはずが、どうやら何回も失敗してなお、景品が取れなかった事でいつの間にかむきになっていたらしい。


「……えっと、そろそろ諦めませんか?元はと言えば私がほしいからって始めた事ですし」


 流石に傍からお金を溶かす様子を眺めていて冷静になったのだろう。再度、挑戦を続けようとする私に対して彼女はたしなめるような言葉を掛けてくる。


「……ここまできて退けるわけないじゃないですか。私と貴女でいくら使ったと思ってるんです?取れるまで絶対に諦めませんよ」


 たしなめられようと頭に血が上った私は止まらない。彼女の方を見ないままさっきまでとは異なった強い口調でその言葉を否定した。


 結局、その後すぐに私達の様子を見かねたらしい店員さんが位置を変えましょうか?と声を掛けてくれたのでそれに甘えて何度か直してもらった末、ようやく景品を取る事ができた。


 その際、店員さんにおめでとうございますと喜ばれ、注目を浴びてしまい、恥ずかしい思いをしたのを今でもよく覚えている。


 ともかく、二人合わせれば万に届くかという金額を消費した末に手に入れた景品だけど、私に残ったのは強烈な虚無感だけ。


 そこに加えて景品自体も私にはいらない物とくれば、最早、乾いた笑いしか出てこない。


「えっと、その、この景品のクッションは…………」

「……元はと言えばそれが欲しくて始めたんですよね?ならそれは貴女が受け取るべきだと思いますよ」


 たぶん、使った金額的を考慮して景品を受け取るのに気が引けるのだろうけど、いらないし、使わないのだから好きに持って帰ってくれというのが私の本音だった。


「っありがとうございます!一生大事にしますね!」

「……いや、そこまでは大事にしなくても大丈夫ですから…………何か色々重いなこの子」


 喜び、クッションを抱きしめる彼女に聞こえないくらいの声で呟き、小さく溜息を吐く。まだゲームセンターにきてUFOキャッチャーをしただけなのにどっと疲れた気がする。


「――――それじゃあ、景品も無事に取れた事ですし、次のゲームにいきましょうか」

「……え、次のゲーム?」


 今のUFOキャッチャーにお金を結構つぎ込んだし、時間もそこそこ経っているからこれで終わりと思っていた私はその言葉に思わず素の疑問を返してしまう。


「はい、私、ゲームセンターにきたらやってみたいゲームがいっぱいあるんです。お金を使い過ぎちゃったからそこまで多くはできそうにないですけど……まずはあのレースゲームからですね」

「えぇ……マジですか……」


 げんなりした私の様子に気付くこともなく、彼女はクッションを抱いたままはしゃぎ笑って駆け足気味にゲーム筐体の方まで向かっていった。



52.お絵描き準備をご覧くださり、誠にありがとうございます。


無気力に過ごしていた彼女が久しぶりに感情のまま行動した結果の散財……それが今後にどういう影響をもたらすのか……この先が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!


「この頃からお母様はお母様だったんですのね……」

「え……それってどういう意味かな?」

「……そのまんまの意味でしょう?当時の私でさえ、あそこまでむきになっていた貴女に少し引いた覚えがあるわよ」

「お母様はこど――――んんっ純真ですから大人になっても子供心を忘れないんですわよね?」

「…………オリィちゃん、せっかく言い直したのに隠せてないからね、それ」


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