51.お絵描き準備=彼女は少女へ罪悪感を覚える。
ゲームセンターの中に足を踏み入れた私達をまず迎え入れたのは耳を賑やかす電子音。
店内に鳴り響くそれは近くいる人との会話にも大きな声を出す必要があるほどにうるさくて、慣れてない私は思わず顔をしかめてしまう。
「うー……ゲームセンターってこんなにうるさいんですね。これは予想外でした」
私と同じく顔をしかめて耳を塞いだ彼女がそう呟く。どうやら彼女もゲームセンターには慣れていないらしい。
「……耳が痛いならもう出ますか?私は構いませんけど」
「…………いえ、行きます。せっかくの機会ですし、遊んでみたいですから」
互いに慣れていないならわざわざこの不快な空間にあえている必要もないだろうとそう提案してみるも、彼女は首を振って騒音の中を進んでいく。
……そう言えばこういうちゃんとしたゲームセンターにくるのは初めてかも。
いわゆるショッピングモールやデパートにあるゲームコーナーにはいった事はあるけれど、ゲームセンター自体は初めてだ。
そもそも友達のいた高校生時代だってまともに出掛ける事もなかった私にはこんな場所へ自発的に行く発想自体思いつかないだろう。
「私、ゲームセンターにくるの初めてなんですよね。だから今、すっごくワクワクしてます」
「……そうですか。それは良かったですね」
明るく、友達もたくさんいそうな彼女が私と同じく初めてゲームセンターを訪れたというのは意外だと思ったけど、それを口に出して話題を拡げるのも嫌だったので適当な相槌を返す。
「んーとなにから……あ、あのクッション見た事ない……もしかしてゲームセンターの景品限定……?」
ぐんぐんと進んでいく彼女が最初に目を付けたのは前の空間に景品を落とすタイプのUFOキャッチャー。言葉から察するに彼女の好きなアニメのグッズが景品になっているようだ。
「……やってみたらいいんじゃないですか?もしかしたら取れるかもしれませんよ」
「え、でも……うぅ……な、なら一回だけ……」
こちらの方にちらちらと目を向け、迷う仕草を見せる彼女の背中を私はそう言って押した。
この手のUFOキャッチャーは大抵、信じられないくらいにアームの力が弱い……ゲームセンターに来るのは初めてといってもそのくらいの予備知識はある。
にもかかわらず、どうして彼女の背中を押したかというと、ここで景品を取るために時間を浪費してくれれば大して話をしなくても済むという少し意地悪な考えからだった。
「――――うぅ……全然取れない」
案の定いうべきか、彼女はあれから何度も挑戦しては失敗を繰り返し、時間とお金を無駄に浪費していた。
……確かに時間をかけてくれればと思ったけど、ここまで酷いと流石に悪い気がしてきたかも。
初めてのゲームセンターでおそらく初めてのUFOキャッチャーなのだから上手くいかなくて当然、それに加えてアームも弱いとくれば、取れるはずがない。
だからこれは私のせいじゃないと思うようにしてみても、いたいけな高校生の少ないであろうお小遣いを浪費させてしまったという罪悪感が込み上げてくる。
「…………その、代わりましょうか?流石にお金を使い過ぎですし」
罪悪感からそう提案する私に対して縋るような目を向けてくる彼女。
正直、全然上手くできる自信はないけれど、罪悪感を抱えたままよりはマシだろうと、私は場所を代わってUFOキャッチャーに硬化を投入した。
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UFOキャッチャーにのめり込むよう誘導した事に罪悪感を覚えた彼女の取る行動とは……?
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「……気持ちは分からなくもないですけれど、意地悪で高校生を散財させるのはどうかと思いますわよ?」
「う……そこに関してはオリィちゃんのいう通りだから何も言い返せない……」
「まだ幼い私の純情を弄ぶなんて……ママは悪い女ね」
「……高校生を幼いといえるかはともかくとして、悪いという部分には少しだけ同意しますわ……まあ、聞く限り、当時のお母様の精神状態ならそんな意地悪をしてしまうのも無理はないかもしれませんけれど」




