49.お絵描き準備=彼女は少女の行動に振り回される。
謎の女の子からの友達になってくれませんか?という提案に私が固まってしまい、動けないでいる間に彼女は両手を握ってさらに距離を詰めてこようとする。
「え、あ、あの……近いです……」
「え?あ、そういえば自己紹介がまだでしたね。すいません」
「……聞いてないですし、聞こえてないですし、本当に何なんですかこの子は」
私の言葉がまるで聞こえていないかのように一方的にグイグイくる彼女に対して呆れ交じりのため息が漏れるが、やはり耳には届いていないらしい。
「それでは改めまして、私の名前は白崎朝陽といいます。趣味はゲームとネットサーフィン……あ、人と喋る事もですね。年齢は17歳で……今年18歳になります。それと――――」
「いや、だから聞いてないですって。そもそもなんで貴女と友達になる必要があるんですか。それに17歳ならまだ高校生ですよね?学校はどうしたんです」
止まらない勢いで喋り続ける彼女の言葉を半ば無理矢理に遮って私は責めるように捲し立てる。少し可哀そうだけど、ここで突き放さないと、これ以上付きまとわれるのはごめんだ。
「私がなりたいと思ったからです、必要なんて関係ありません。あと学校はさぼりました。今はミリアさんと仲良くなる方が先決ですから」
「そんな勝手な……ともかく、何度も言いますが、付きまとわないでください。それでは私は講義があるので失礼します」
丁寧な口調ながらも自分本位な彼女に慄きながらも、食べていた食器を持ってそれだけ言い放った私は逃げるように食堂を後にする。
「――――へぇ~大学ってこんな勉強するんですね」
私の隣、周りに聞こえないくらいの声量で感心したような声を上げるのはストーカー染みた行動を見せる自称高校生の彼女だ。
どうやらあの後、逃げるように食堂を去った私をこっそり追ってきたらしい。正直、あそこまではっきり拒絶すれば諦めて帰るだろうと思っていただけに、講義が始まっていつの間にか隣に座っていた時は思わず声をあげそうになるほど驚いた。
「……なんでちゃっかり講義にまで潜り込んでるんですか。流石にこれはまずいですよ」
「バレなければ大丈夫ですよ、大丈夫。それより大学の講義に少し興味があったんですよね~」
呑気な声で楽しげに言う彼女とは裏腹に私は内心かなり焦っていて、いつバレるんじゃないかと思って講義が全く頭に入ってこない。
よくよく考えれば潜り込んでいた事がバレたとしても困るのは彼女だし、知らぬ存ぜぬを通せばいいだけの話だったのだけど、当時の私はテンパっていて、そこまで頭が回らなかった。
「思っていたよりも人は少ないんですね。ミリアさんの受けてる講義は人気がないんですか?」
「……人がいない講義を選びましたからね……というか、あまり話しかけないでください。この際、講義に潜り込んだ事をとやかく言いませんけど、バレたら大変な事になるんですから」
声量こそ周りに聞こえないくらい小さいものの、変に目立って目を付けられれば、その時点で彼女がここの学生ではない事がバレてしまう。
だから目立たないように気を付けるよう促すも、私の注意をどこ吹く風と聞き流して変わらず自由な彼女のい振る舞いにハラハラしながら、早く終わってくれと心の中で必死に願っていた。
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友達になってくれるまで逃がさないと言わんばかりに迫ってくる少女に振り回される彼女の学生生活はどう変化していくのか……先が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!
「まさか訪ねてきた子の正体が白崎さんだなんて夢にも思いませんでしたわ」
「まあ、昔のあの子は今と雰囲気も喋り方も違うからね。それでも既視感を感じたみたいだけど……」
「……今と違っても、あの強引さには見覚えがありましたもの」
「――――そう、やっぱりオリィは私の事が大好きなのね」
「あ、ゆうぐれちゃん」
「なにやら私の話をしてたみたいだからきてあげたわよ。感謝なさい」
「……呼んでないですし、大好きなんて一言も言ってませんわよ白……ゆうぐれ様」
「フフ……昔の話を聞いて重ね、気付きかけたという事はそれだけ私が気になるという事……つまり、大好きなのでしょう?」
「……拡大解釈が過ぎますわよ、全くもう」




