48.お絵描き準備=彼女はその少女の来訪に戸惑う。
「今日こそは話を聞いてもらいますからね!ミリア先生!」
洗濯日和な天気の良い日、差し込む日差しとは対照的に陰鬱とした気分で大学へ向かう私の前に途中の道で待ち伏せていたらしいこの間の子が手を広げて立ち塞がる。
「…………だから人違いだと言いましたよね?迷惑ですから付きまとわないでください」
「いえ、人違いじゃありません。同じ大学の人に聞きまくって貴女の名前が小鳥遊ミリアだという事は確認しましたから」
人違いで押し切り、強い言葉で突き放そうとしたものの、失敗。
仲の良い人なんていないし、大学ともなると互いの名前なんて知らないだろうと思っていたのに、まさかバレるとは思わなかった。
「……仮に私の名前が小鳥遊ミリアだとしても、貴女のいう〝イラストレーター〟の小鳥遊ミリアじゃありません。もう構わないでください」
名前が知られているのならもう誤魔化しようがないけど、彼女の目的である〝イラストレーター〟の私がいないのは本当の事だ。
なにせ元々、堂々と名乗れるほど実績があったわけじゃなかったのに、あの出来事以降、イラストすら描けなくなった私は〝イラストレーター〟として死んでいるのだから。
「あ、ちょっと待っ――――」
あそこまで言って突き放せば流石にもう関わってこないだろうと思い、私は止める彼女を無視して大学へと向かった。
それが今朝の出来事。あれだけ言えばどんな目的があったとしても、もう二度と会う事はないと思っていたのに、何故かその彼女が今、私の目の前でご飯を食べていた。
「…………どうして貴女がここにいるんですか?」
ここの大学に通っているわけでもないのに平然とした顔で何事もなかったかのようにここにいる事を問い詰めると、彼女は心底不思議な表情で小首を傾げる。
「どうしても何もここの大学の食堂は一般に開放されてますから学生じゃなくても入れますよ?」
「……私が聞きたいのはそういう事じゃ……分かってて言ってますよね」
素知らぬ顔で返してくる様子に呆れ交じりのため息を吐いて彼女の方に胡乱な視線を向ける。会った時から少し変わった子だとは思ってたけど、意外にも強かな一面があるらしい。
「さあ?何の事でしょう……それよりも早く食べないと冷めちゃいますよ」
「……はぁ、もういいです。今朝も言ったように私は貴女の求める〝イラストレーター〟の小鳥遊ミリアじゃありません。だからどれだけ付きまとっても意味はないですよ」
たぶん、どう言葉を返したところで何か屁理屈をこねて誤魔化されるだろう。
だから再度、事実をはっきりと告げて諦めようとするも、彼女はふふんといった顔をして口元にソースを付けたまま胸を張って立ち上がった。
「もちろん、それは分かってますよ。だから私がここにいるのは〝イラストレーター〟の貴女ではなく、一個人としての貴女と会うためです!」
「……?それはどういう――――」
言っている言葉の意味が分からず、疑問符を浮かべ目を丸くする私の手を取った彼女がぐいっと勢いよく顔を近づけくる。
「――――小鳥遊ミリアさん、私と友達になってくれませんか?」
「………………はい?」
花の咲くような満面の笑顔から放たれた突然の提案。まさかこの一言がこれからの人生を変えるなんてこの時の私は思いもしなかった。
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突然訪ねてきた少女からの友達になってくださいという提案……裏があるだろうと勘繰る彼女は果たしてどうするのか……?
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「何故でしょうか……気の所為かもしれませんけれど、物凄く既視感があるのですが……」
「あー……まあ、昔の話だから彼女も大分、雰囲気も違うけど、やっぱりその片鱗はあるから分かっちゃうか〜」
「?それってどういう…………」
「……そのうち分かるよ。オリィちゃんも経験してる事だろうから」
「経験……一体何でしょう……?」




