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44.お絵描き準備=彼女は思いもよらぬ依頼を慎重に吟味する。

 

 高校を卒業してしばらく経った頃、私は家賃の安いアパートで一人暮らしを始めながら近くの大学に通っていた。


 在学中、あの子のVtuberとしての分身(アバター)を手掛けて以降、私のSNSには散発的にイラストを描いてほしいという依頼が舞い込むようになった。


 報酬という面では雀の涙ほどしかないけれど、それでも自分のイラストを誰かが必要としているのは嬉しかったし、イラストレーターという夢を家族に打ち明けようと思う自信に繋がった。


 そして打ち明けた結果、多少の反対というか、苦言を呈されたものの、条件付きでイラストレーターを目指す事を許してもらう事ができた。


 その条件が大学に通う事と、一人暮らしできちんと生活できるようになる事、そして在学中に明確な結果を残せなければイラストレーターを諦める事の三つだ。


 大学云々はイラストレーターという不安定で保証のない仕事を目指す上で失敗した時の保険だったのだろう。


 大事な娘が将来路頭に迷わないようにと思うのは親として当然の想いだからその条件は分かる……しかし、一人暮らしできちんと生活にできるようになる事という条件は当時の私には少し理解できなかった。


 今思えばその条件も私の今後を見据えてくれたというのは分かるけど、当時の私からすればどうしてと感じる部分が多かった気がする。


 まあ、ともかくそんな経緯もあって私は大学に通いながらイラストの依頼を受けるという生活を続けていた。


 あの子と疎遠になって以降、親しい友達もできなかった私は大学でも一人ぼっちだったし、今まで実家暮らしだったから突然の一人暮らしで大変だったりしたけど、イラストの依頼がくるようになった事が嬉しくて充実していた。


 そんなある日、慣れない家事にあたふたして洗濯を干し忘れ、料理を失敗して焦げ付いたフライパンを洗い終わった私が依頼の確認のためSNSを開くと、一通のとある連絡が届いていた。


「……いつものイラストじゃなくてこれは……Vtuber関連の依頼?」


 私のところに来る依頼は大抵、何何のキャラを描いてくれだとか、アイコンを描いてくれだとか、ともかく一枚絵のイラストに関するものばかりで、Vtuber関連の依頼は一件もきていない。


 一応、SNSの紹介文のところでそっち系の依頼も受け付けていますという旨は書いてあるのだが、それでも実績がないせいか、その手の依頼は今回が初めてだった。


「ええっと、依頼主は……あ、一応、企業からだ。聞いた事ないところだけど……そこそこ有名なのかな?」


 正直、この時の私の心境としては嬉しさよりも困惑の方が勝っており、本当に企業からの依頼なのか、仮にそうだとしても、どうして私みたいな無名の素人に頼むのか、疑問が鎌首を擡げていた。


 だからという訳ではないけど、その依頼元の企業を検索して調べ、所属している人の配信をチェックしてちゃんとしたところか見極める事から始める。


「うーん……所属してる人数自体は少ないけど、全体的に登録者は多い方みたい……」


 企業が実在し、そこからの依頼である事を確認した私は受けるかどうかの返事を待ってもらい、一日じっくりと考える事に決めて、ひとまず頭をすっきりさせるべくお風呂へと向かった。



44.お絵描き準備をご覧くださり、誠にありがとうございます。


家族に夢を打ち明け、条件付きで目指す事を許された彼女。ぼっちの大学生活をスタートさせる中で舞い込んだ大きな依頼をどうするのか……先が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!


「お母様にもこんな時代があったんですのね……」

「そりゃあね。私は家でも家事手伝いをしてこなかったから初めての一人暮らしは本当に大変だったかな~」

「あー……確かにお母様のイメージ通りですわね。解釈一致ですわ」

「…………否定はできないんだけど、そう言われるとなんか釈然としない気分だよ」


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