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42.お絵描き準備=彼女は初めてを知り、友達を失う。

 

 私が初めて描き、生み出した子を動かしたのはイラストレーターの夢を目指すきっかけになったあの子だった。


「――――ねえねえ、ミリちゃんって最近、モデリングの勉強をしてるんだよね?」


 最初のモデルを動かし、失敗して少したった頃、私の席までやってきた彼女が開口一番、目を輝かせてそう尋ねてきた。


 イラストレーターを真面目に目指そうと思ってからも彼女との友達付き合いは続いており、話題の中でモデリングを勉強している事を話した事はあったけど、確認のように聞いてくるという事は何かあるのかなと思って聞き返すと、どうやらイラストやモデリング等の勉強に打ち込んでいる私を見て自分も何かをやりたいと思ったらしい。


 そしてその何かとして目をつけたのが当時、少しずつブームになりつつあったVtuberだった。


 彼女は元々アニメや動画は見るけど、そこまで熱心に追う訳じゃない人で、私と一緒にいるようになってから少しだけそういうものに触れる頻度が増えた。


 Vtuberに目をつけたのも偶然で、雑談したり、ゲームしたりするだけなら自分にもできると思ったみたいだ。


 まあ、私がイラストを描けてなおかつ、そっち方面の勉強をしていると知ってた事や、彼女の兄がその手の機械に詳しく、安価で揃える事ができたことも起因していたと思う。


 ともかく、彼女は私に自身の分身(アバター)となるVtuberのデザインとモデリングをやってくれないかと提案してきた。


 この時の私の心境は嬉しいやら気恥ずかしいやらで複雑ではあったけど、それでも決して悪感情を抱いておらず、自分の練習にもなるし、彼女が望むならと快くその提案を引き受ける事に。


 当然ながらただの学生間同士のやりとりかつ、友達の頼みだったから報酬なんてものはなく、得られるものといえば経験値と彼女の笑顔くらい……まあ、プロでもない一学生の私からしたら十分だったけれど。


 その日から早速、彼女のVtuberデビューに向けて動き出し、あっという間に配信当日。


 SNSで宣伝して多少なりとも人が集まり、無事配信はそこそこの成功に終わった……いや、終わってしまったといった方が良いかもしれない。


 なまじ成功してしまったが故に彼女は満足してしまい、モチベーションを保てなくなってしまった。


 そんな状態で続けたところで良いものになる筈もなく、人は減り続け、三年生になって就職対策やら受験勉強やらで忙しくなるタイミングで彼女の配信の頻度も減り、最終的に配信自体を辞めた。


 たぶん、せっかく創ってもらったのに辞めてしまった事が後ろめたかったのだろう。


 あれだけ一緒にいた私達だったけど、次第に接する頻度が減って卒業する頃には完全に疎遠になった。


 今はもう彼女がどこで何をしているのかも知らない。


 たらればの話をしたって仕方ないけれど、もし仮に彼女の提案を断っていたら今の私はいなかっただろうし、彼女ともまだ関係が続いていたかもしれないと思うと、少しだけその可能性を考えてしまう。


「……まあ、いくら考えても意味はないんだけどね……コーヒーでも飲もっと」


 一人呟き、椅子から立ち上がった私は残る作業を進めるためのお供を用意すべく、キッチンへと向かった。



42.お絵描き準備をご覧くださり、誠にありがとうございます。


彼女にとって初めての娘。それがもたらす関係性の変化で友達を失った彼女はこれからどうするのか……先が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!


「……お母様にとって初めての娘は大切なお友達だったんですのね……その、なんというか」

「気を遣わなくても大丈夫だよオリィちゃん。思い出は楽しいものとして私の中に残ってるんだから」

「でも……」

「……これに関しては誰が悪いなんてないからさ。なるべくしてなった。それだけだよ」

「…………少なくとも私は終わるその時までお母様の娘でいるつもりですわ。それは忘れないでくださいまし」

「……ふふ……ありがとうね、オリィちゃん」


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