41.お絵描き準備=彼女の寂しく楽しい高校生活。
私が明確にイラストレーターを目指そうと思ったのは高校生の頃だ。
意外に思うかもしれないけど、昔の私は今みたいに明るい性格ではなかった。
物心つく頃には人並み以上に絵を描くのが好きだった私は小、中と一人で過ごし、友達と呼べる人物はごく僅かしかおらず、教室の隅で過ごすような子供だった。
それは高校に行っても変わらず、むしろごく僅かながらもいた友達も別の学校に進学してしまった事で疎遠になってしまい、私は最初の一年をぼっちで過ごした。
部活動にでも入れば違ったのかもしれないけど、別にぼっちで過ごす事を苦には思っていなかったし、誰かと関わり合いのが煩わしかったからその時の私は現状に甘んじた。
そんな私の高校生活に転機が訪れたのは二年のクラス替え。
隣の席になった女の子が私の描いたイラストをたまたま見て、話しかけてきたのがきっかけで仲良くなり、結局、学校生活の大半をその子と過ごす事に。
「――――みりちゃんのイラスト本当に可愛いよね~。これならイラストレーターで食べていけるんじゃないの?」
きっと彼女にとっては何気ない一言だったのだろう。本当に純粋な気持ちと感想から出たその言葉が私にイラストレーターで食べていく事を決意させたなんて思いもしなかったと思う。
周りが就職や進学に向けて動き出す中、私はひたすらに絵を描き続けた。
イラストレーターなんて聞こえはいいけれど、それ一本で食べていける程の人気を得るのが難しい事を高校生ながらに薄っすら分かっていた私はこのまま漠然と過ごしていたら失敗すると考え、描き続けるのと並行して独学で勉強を始めた。
たぶん、何も実績のないただの高校生がイラストレーターになりたいと突然、言い出したところで快諾する両親はいない。
だから最低でもこれなら問題ないという実績ないし、証明できる何かを示す必要があり、私は手段の一つとしてSNSでイラストの投稿をして知名度を上げる事を試みた。
効果としては無駄ではなかったけど、この行為一つで成功するわけもなく、早々に私は別の手段も模索し始める。
それがVtuber関連のモデリング等の技術だ。
ずっと描き続けてきたイラストとはまた少し毛色の違う技術だったけど、それでも必要な事だと思って必死に勉強して……どうにか形にする事ができた。
……正直、最初の最初に挑戦したモデリングは散々な出来で不格好も良いところ、想定外の挙動も多くてとてもじゃないけど成功とは言えなかった。
それまでイラストだけ描いてきた人間が初めて作ったのだから上手くいかなくて当然、その当時は四苦八苦しながらああでもない、こうでもないと悔しい思いをしたのを今でも覚えてる。
「…………でも、あの時は楽しかったなぁ」
昔を懐かしみ、独り言ちる私は目を開いてふうっと息を吐く。
楽しかった思い出はここまで。
なにせ、この先の記憶こそ、私が仕事を嫌だと思ってしまった出来事の始まりなのだから。
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振り返るのは大人気イラストレーター〝ノーみりん〟の高校生活。今のはっちゃけた様子からは想像できないぼっちな日々を送る中、きっかけとなる友達と共に過ごした青春に差す黒い影とは……?
先が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!
「……え?あれが学生時代のノーみりんお母様なんですの?」
「そうだよ?今みたいな性格になったのは大人になってからだからね~」
「……残念ですわ。ええ、本当に残念です」
「…………その残念はどういう意味かな?」
「……別に深い意味はありませんわ」




