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40.お絵描き中=お仕事の間に推しの娘の配信で癒される。

 

「――――皆様、ごきげんよう。元ブラック勤めの崖っぷち令嬢Vtuber〝礼嬢オリィ〟ですわ」


≪ごきげんよう≫

≪ごきげんよう、今日も楽しみにしてたよ≫

≪ごきげんよう、今日もオリィ嬢は可愛い……≫

≪今日は我が君がお休みなのでこちらにお邪魔させていただきますね、オリィ嬢≫


 始まる配信、待機していたコメント欄のみんなが一気に沸き立ち、私もそれに乗って彼女へと挨拶を返す。


≪ごきげんよう!今日も今日とて待ってたよ~オリィちゃん!≫


「あら、ノーみりんお母様。ごきげんよう、いつも見に来て頂いてありがとうございますわ」


 私のコメントに気付いた彼女がにこりと挨拶を返してくれた。こうした何気ないやりとりが今の私にとっての癒し……仕事合間の最高の息抜きになっている気がする。


≪やっぱり今日も来たなノーみりん先生≫

≪はっちゃけ過ぎないよう気を付けてくださいよ≫

≪今日は締め切り大丈夫なんですか?≫

≪……たとえ大丈夫じゃなくてもオリィ嬢の配信を見逃さないのがノーみりん先生だから≫


 もう毎回入り浸っているせいか、コメント欄のみんなから認知され、今や私の出現は彼女の配信の名物となっていた。


≪リィメンバーのみんなもごきげんよう。心配しなくても締め切りなら大丈夫、後で頑張るから≫

≪……それは大丈夫と言わないんじゃ≫

≪まあ、先生が大丈夫って言うなら大丈夫なんじゃない?≫

≪そうそう、仮に大丈夫じゃなくても後で痛い目見るのは先生だし≫


 実際、依頼されたイラストの期限が迫っているものはあるけど、今はそれよりも可愛い可愛い娘の配信が最優先……仕事は後の私がなんとかすると、託してオリィちゃんの配信に集中する。


「……さて、挨拶も終わったところで、今日の配信……視聴者参加型のゲーム大会を始めていきますわ――――」


 初めての参賀型ゲーム配信は時間を忘れる程に楽しく、あっという間に終わりの時間になってしまい、私は仕事という現実と向き合う事になってしまった。


「あー……楽しい配信の後の仕事はくるものがあるなぁ……」


 ぐっと伸びをしながら天井を仰いで呟き、大きく息を吐き出す。


 別に仕事……依頼されたイラストを描くという作業自体が嫌いなわけじゃない。


 そもそも絵を描くのが好きで、それを突き詰めこの仕事をしているのだから、やる気が出ない事はあっても、嫌いになるなんて事があるわけないだろう。


「…………でも、嫌いになる事はなかったけど、嫌になる事はあったかな」


 自分以外に誰もいない室内で私は自らの思考に独り言を返す。


 それはできることならあまり思い出したくない記憶であると同時に続く出来事が私にとって大切な思い出だった。


……思えばあれが私がイラストレーター〝ノーみりん〟として生きる事を決めたきっかけだったのかなぁ。


 椅子の背もたれに体重をかけて目を瞑りながらその頃の事を思い返していく。



40.お絵描き中をご覧くださり、誠にありがとうございます。


締め切りが迫る中でも推しの娘の配信ではしゃぐ彼女は終わった後の寂寥感を感じながらも仕事に向かい、ふと過去を思い返します。


大人気イラストレーターの大切な思い出とは……?


この先が気になる、推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!


「……ノーみりんお母様ったら、やっぱり締め切りが押してたんですのね?」

「い、いやぁ……そのぉ…………」

「お母様?配信にきてくださるのは嬉しいのですが、締め切りが迫る中、無理をしてまでは望みませんわ」

「……いや、オリィちゃんの配信は無理してでも見るから」

「何でそこは頑な何ですの……はぁ……でしたら無理のないようスケジュールを管理してくださいな。全くお母様はもう……」


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