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34.配信中=隠した本音を彼女は問い詰められる。

 

 自分が嫌い……そう思ったとしても見てくれるリスナーには関係のない事だ。だから暗い感情を気取られないようにひた隠し、私は明るい声音で配信を締める言葉を並べていく。


「――それでは、ゆうぐれ様も立ち直ったところで、名残惜しいですが、本日の配信はそろそろ終わりにしたいと思いますわ」


≪え~もう終わるの?≫

≪いや、時間を考えればいつもの配信の倍以上やってるから仕方ないよ≫

≪やはり楽しい時間はあっという間に過ぎますな……いや~コラボを通してオリィ嬢の存在を知れたのは大きかった≫

≪またコラボやってほしい……頼んだぞノーみりん先生≫

≪ふふん、大船に乗ったつもりで任せなさい!≫


 終わりを名残惜しみつつも、楽しかった、また次のコラボをお願いと湧くコメント欄。


 次のコラボはともかく、楽しんでくれたのなら良かったと安堵し、締めの挨拶を振ろうと白崎さんの方を見ると、何故か彼女は少し怒ったような表情でこちらを見つめていた。


「ええっと、その……締めの挨拶をお願いしたいのですけど……よろしいですか?」

「……ええ、それは構わないわ。名残惜しいけれど、時間が時間だものね。でもその前に――――」


 恐る恐る尋ねると、彼女はそう返して近付き、そのまま私の顔を逃げられないようがっちり両手で掴んでくる。


「え、え、その、ゆ、ゆうぐれ様……?」

「オリィ、貴女が今、何を我慢したのか聞かせてもらっていいかしら?」


≪な、なんだ?会話は続いてるのにゆうぐれ様が動かなくなったぞ≫

≪それも気になるけど、我慢した事って……≫

≪え、オリィ嬢なにかを我慢してたの?≫

≪っゆうぐれちゃん待って!≫


 突然の行動と言葉にコメント欄がざわつく中、私は見透かされたという衝撃と誤魔化す事を許さない彼女の瞳を前に思わず目を逸らしてしまう。


「……本当のことを言えば今、この配信中に指摘するつもりはなかった。でも、たぶん……ううん、絶対に私が後でそれを言ってもオリィには届かない。だからリスナーもノーみりんママもいるこの場で聞くしかないと思ったの」

「う、あ、わ、私は別に…………」


≪ゆうぐれちゃん、貴女は本当に…………≫

≪え、な、なに?本当にオリィ嬢どうかしたの?≫

≪これってもしかしてマジのやつ?≫

≪……ノーみりん先生の反応的にマジのやつでしょ。配信的に大丈夫かな≫

≪……信じてください。リィメンバーの皆殿、我が君……否、最強Vtuber〝漆黒ゆうぐれ〟を≫


 何も我慢していない、そう口にしようと思ったけれど、彼女の真剣な表情がそれを許さない。


 ここで何もかもぶちまけてしまえば楽になるだろうという誘惑が鎌首を擡げるけど、それをするという事は彼女……白崎さんとの関係をぶち壊し、今まで見てくれたリスナーに私の醜態を晒して信じてくれたノーみりん先生を裏切る行為と同義……そんな事できるわけがなかった。



34.配信中をお読みくださり、ありがとうございます。


自分の本音を嫌い、隠す彼女を最強Vtuberが問い詰める……果たして配信の行方は……?


彼女の今後が気になる、推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いします……それでは彼女から一言!


「……今となってはこの配信も良い思い出ですわ。配信中にゆうぐれ様がにじり寄ってきた時は何事かと思いましたけれど」

「あれはオリィが悪いでしょう?私と貴女の仲で隠し事をするから……」

「私とゆうぐれ様の仲といっても、あの時はまだ会って間もない頃では……」

「……大事なのは時間じゃないわ。どれだけ深いか、よ」

「それを言ったら今と大して変わらないような…………」


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