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30.配信中=彼女はその関係性の名前を知る。

 

 一通りの経緯を話し終えたあたりで、配信時間も長くなってきたため、雑談を切り上げてメインであるゲーム対決を始める事に。


「――今回は急遽だったこともあり、私がゲームを用意する事は叶わなかったのですが、幸い、ゆうぐれ様が用意してくださったのでそちらの方をやっていこうと思いますわ」

「……急遽以前にオリィの部屋にはゲーム機そのものがないでしょう?まだ始めて間もないといっても、Vtuberとして配信する上でそれは致命的じゃないかしら」


≪え、オリィ嬢ってゲーム持ってないの?≫

≪言われてみればゲーム配信はまだ見た事ないかも……?≫

≪……いや、オリィ嬢の境遇を考えれば無理もない気がする……これ使って――――¥3000≫

≪なるほど……これも何かの縁……ぜひこれからの我が君とのコラボに使ってくだされ――――¥5000≫


 確かにブラック勤めの頃は娯楽に浸っている暇なんてなかったから、ゲームはおろか、テレビさえないけれど、配信を始めていくにあたって、必要なら買うつもりだった。


「……別にテレビゲームや携帯ゲームが全てではありませんわ。パソコンからできるゲームだって増えてますし」

「それはそうだけど……仕方ないわね。オリィには後でゲーム機をプレゼントする事にするわ……どうせここには何度も足を運ぶ事になるでしょうから」


≪おおっ!それは今後もコラボをするという発言ですか?≫

≪楽しみ過ぎる……これは前祝いにどうぞ――――¥2000≫

≪そういうことなら私だってオリィちゃんにゲームをプレゼントするよ!―――――¥10000≫

≪……プレゼントしなくてもここまでノーみりん先生がスパチャした分だけで大抵のゲームは買えると思う≫


 彼女の発言一つでざわつくコメント欄と相も変わらずお金に糸目をつけないノーみりん先生に苦笑いしつつも、聞き捨てならない言葉に私はその真意を聞かずにはいられなかった。


「えっと、ゆうぐれ様?ゲーム機をプレゼントしてくださるのはとても嬉しいのですが、何度も足を運ぶというのは…………」

「?友達の家に遊びにいくのは普通の事だと思うけれど……ああ、もちろん、コラボもオリィさえ良ければ今後もやるつもりよ」

「友達……ですの?」

「ええ、私……何か変な事言ったかしら?」


 思わず聞き返した私に対してさも当然のようにそう切り返してくる彼女。正直、私は彼女との関係をなんといったらいいのか分からなかった。


 だってそうだろう。


 突然コラボしようとやってきた大人気Vtuber……自分と誰かを重ねて優しく接してはくれたけれど、まだ知り合って間もないし、私とは差があり過ぎて仕事仲間なんて呼べない関係だ。


 そんな曖昧な関係性に彼女の方から友達という明確な名前を付けてくれた事に私はどう反応していいのか分からないまましばらくフリーズしてしまい、リィメンバーだけでなく黒の使徒のみんなにまで心配される事になるのだった。



30.配信中をお読みくださり、ありがとうございます。


ゲーム対決を始める前に〝漆黒ゆうぐれ〟からの友達宣言を受けてフリーズしてしまった彼女の今後が気になる、推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いします……それでは彼女から一言!


「Vtuberを始めた時点で学生時代からの縁は全て切れていましたから、白……ゆうぐれ様から友達といって頂けてとても嬉しかったですわ……でも、どうしてでしょう?時々、彼女からの視線に背筋がぞくりとするのは……」


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