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28.配信中=彼女は弁明し、どうにか事無きを得る。

 

 私が抱き着いたなんていう根も葉もない事を広められかけたものの、それに反応したノーみりん先生がドン引きされるようなコメントをしたおかげで誤解だと証明するチャンスが回ってきた。


「んんっ……落ち着いてくださいまし、ノーみりん先生。スパチャには感謝いたしますが、後悔も何も、私がゆうぐれ様に抱きついたなんて事実はありませんわ。どちらかと言えば彼女の方が頻繁にくっついてこようとして…………」

「あら?確かに私の方から仲良くしようとして空回ったのは認めるけれど、抱きついたのは事実よ。こればかりは否定させないわ」


 言葉を遮り、被せてきた彼女の言い分は意外にも肯定的なもので、どこか余裕を感じさせる。


 こうなってくると、みんなにはまるで私が必死に言い訳しているように聞こえているかもしれない。


≪これは結局どっちが正しいんだろ?≫

≪どちからといえばゆうぐれ様の方が自信満々だけど……≫

≪個人的にはオリィ嬢とゆうぐれ様の絡みが良いと思うから抱きついた説を推したい≫

≪オリィ嬢……ごめん!俺はてぇてぇがみたいんだ≫


 案の定、黒の使徒とリィメンバーの意見が彼女の方に傾き始める。


 一部、自分の私利私欲に走っている人がいるけど、私も見る側だったらその選択をするかもしれないから一概には責められない。


くっ……ここで抱きついたなんて事実を認めるわけにはいかない……私の築き上げてきた令嬢のイメージを守るためにも……!


 捉えようによっては昨日の夜の出来事をそうと言えるかもしれないが、少なくとも私からは抱きついていないのだから、ここは断固として拒否を通させてもらう。


「み、皆様?よーく考えてくださいまし。この私が不安だからと言って誰かに……ほぼほぼ初対面であるゆうぐれ様に抱きつくとお思いですか」


≪そ、そう言われて……あれ?割と想像できる≫

≪オリィ嬢って不安を抱え込むイメージもあるし、そこまで解釈違いでもないかも?≫

≪認めてくださいオリィ殿。我が君を崇拝する我々としてもその方が好ましいのです――――¥1000≫

≪そうだ、そうだ!オリィちゃんは寂しんぼなんだから大人しく認めて私にゆう×オリィを提供しろ!――――¥10000≫

≪……ノーみりん先生が相も変わらず私利私欲まみれで笑う≫


 どうやら積み上げてきたイメージが……と思っていたのは私だけらしい。


 リィメンバーの中の私のイメージに愕然として二の句を継げないでいると、彼女はその口に三日月がごとき笑みを浮かべた。


「ほら、もう認めなさい?大丈夫、いつでも受け入れるから。最強たる私に身を委ねて……」

「っ……危険な香りがするので遠慮しますわ!とにかく私からは抱きついてませんから!!」


 じりじりとにじり寄ってくる彼女に身の危険を感じたため、これでこの話は終わりですと無理矢理話を切り上げ、本来のコラボ内容にどうにか引き戻そうとする。


「……残念。仕方ないわね。これ以上、追及すると配信時間が押してしまうし、今回はそういう事にしておいてあげましょうか」

「……なんで勘弁してやるか的な言い回しなのか引っ掛かりますけれど、蒸し返すと長くなりそうなのでここはグッと我慢いたしますわ」


≪流石、オリィ嬢。我慢できて偉い!≫

≪もっと聞いていたいし、なんならこのまま雑談でいいまであるけど、せっかく考えてきてくれた内容が無駄になるから仕方ないね≫

≪…………後で絶対に詳しく聞かせてもらうからね、オリィちゃん!≫

≪……時間が押しているというならもっとゆうオリでコラボすればいいのでは?≫

≪……それだ!≫


 コメント欄の流れも無事、話題の転換を認めてくれたようで、私はそのまま本来の内容……コラボの経緯の続きとゲーム対決に話の舵を切った。



28.配信中をお読みくださり、ありがとうございます。


事実無根だと弁明するも、照れ隠しだと思われてしまうような彼女の今後が気になる、推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いします……それでは彼女から一言!


「……本当に不本意ですの。黒の使徒の皆様はともかくリィメンバーの皆様まで私の事を信じてくださらないなんて」

「フッフッフッ……まあ、最強たる私を信じるのは仕方のないこと……リィメンバーのみんなは悪くないわ」

「う〜……いつか絶対に仕返ししてやりますわ!」

「フフ……楽しみにしているからいつでもかかってきなさい」


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