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19.配信準備=彼女は大人気Vtuberのスケールに感心する。

 

 そして一夜明け翌日、ノーみりん先生との電話を終えてから考え続けた結果、私はなりきり系最強Vtuber〝漆黒ゆうぐれ〟からのお仕事(コラボ)の誘いを受ける事に決め、彼女から渡された番号に連絡を入れた。


『――――待っていたわ。さあ、返事を聞かせてもらおうかしら』


 数コールもしない内に白崎さん……いや、ここは〝漆黒ゆうぐれ〟というべきか、ともかく彼女が電話口に出て、もしもしの言葉もなくいきなりそう切り出してくる。


「……はい、お仕事(コラボ)の件、ありがたく受けさせていただきます。それで諸々の段取りを――――」

『フ、フフフ……そう、受けてくれるの……フフフフフ…………』


 内容を詰めようとするも、彼女は興奮を抑えきれないと言わんばかりの笑みを溢し、しばらくの間、電話口から静かな笑い声が続いた。


……さっきの電話口のやり取り……ノーみりん先生と似てるかも。


 本当の母娘という訳ではないのに、どことなく似ている二人に内心、苦笑しながら、彼女の笑いが治まるのをひとまず待った。


『…………ふぅ……ごめんなさい。あまりの嬉しさに舞い上がってしまって』

「いえ、大丈夫です。えっとそれで早速、お仕事(コラボ)の内容を決めたいのですが……その前に、今回の件はその、事務所はの方は……」

『事務所……ああ、ノーみりんママから聞いたのかしら?今回は大丈夫、ちゃんと許可は取ってあるから…………まあ、ちょっと無理を通したけど……ともかく問題はないわ』


 どうやら彼女は今までの出来事を経て反省したらしく、今回のコラボに関しては事前に許可を取っていたらしい。


「それなら良かったです。それじゃあ気を取り直して内容を話し合いましょう――――」


 それからの話し合いはスムーズに進み、無事、コラボの内容と日取りが決まった。


 内容は共通点であるノーみりん先生を交え、コラボに至るまでの経緯を含めた雑談と時間が許せばゲームをする事に決まり、日取りは向こうの都合と希望もあって急遽、翌日となった。


 最初は翌日というあまりに早過ぎる日取りに戸惑ったものの、諸々の準備は向こうがしてくれるというので納得し、了承したけど、問題……というか、どうしてという疑問が今、私の目の前にある。


「……それでどうして貴女が私の家にいるんですかっ!?」


 疑問の正体……それは明日のコラボの相手である〝漆黒ゆうぐれ〟こと、白崎朝陽さんが私の目の前でのんびり寛いでいた。


「どうしてって……明日の()()()()()の準備のためだけど?」

「オフ……って聞いてないんですけど!?」


 確かにコラボする事には了承したけど、初めてを対面のオフでするとは思いもしなかったし、まさか電話の後一時間もしない内に突撃してくるなんて誰が予想できるだろうか。


「言ってなかったっけ?まあ、今日一日泊まらせてもらうだけだし、お泊りセットも持ってきたから大丈夫!」

「そういう問題じゃ……はぁ……泊まるのは分かりましたけど、機材はどうするんです?私のところのやつじゃ色々と不足してますし、そもそもここには〝漆黒ゆうぐれ〟を動かす用意がありませんよ」


 きてしまった時点で……いや、コラボの話を了承した時点で突撃してきた事を咎めるのは今更だ。


 そんな事をするくらいなら問題ないかを詰める方がいくらか建設的だろう。


「ん、それなら問題ないよ?多分もうすぐしたら着くと思うから」

「……着く?」


 何が着くのかを聞こうとした矢先、チャイムが鳴り響き、私が出るよりも先に白崎さんがそれに応える。


「――――うん、ありがと。そこに置いておいてくれればいいから。大丈夫、私も大人だよ?心配ないって」


 玄関先でチャイムの主と会話をしているかと思えば、ドアを閉める音と共に何かを持った白崎さんが戻ってきた。


「それは……」

「私が普段使ってる機材の一部だよ。マネージャーに頼んで持ってきてもらったんだ。これで問題ないでしょ?」


 ちゃんと考えているんだと言わんばかりに胸を張った白崎さんはそのまま手慣れた様子で機材をセッティングしていく。


まさか一部とはいえ、高い機材をそのまま運んでくるなんて……これが人気Vtuberのスケールかぁ…………。


 鼻歌を歌いながら機材を弄る彼女の様子を見守りながら、真似できないなぁと思いつつ、私もコラボに向けた準備に取り掛かった。



19.配信準備をお読みくださり、ありがとうございます。


ついに大人気Vtuber〝漆黒ゆうぐれ〟とのコラボを決めた彼女の今後が気になる、推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いします……それでは彼女から一言!


「……思えば彼女とのコラボは私の全てを変えるきっかけになりましたわね。正直、今でも少しだけあのノリは苦手ですけれど、本当に感謝していますわ」

「フハハハ、感謝しているならもっと定期的にコラボを……いや、もういっそうちの事務所に――――」

「……それは遠慮しておきますわ」


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