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17.配信準備=彼女はお母様の真意を知る。

 

 初の収益化配信を終えて一息吐いた頃、私はベッドに寝転がりながらスマホを弄り、少し迷いながらも番号を呼び出して電話を掛ける。


『――――んーオリィちゃん、どうかしたの?』


 数コールもしないうちに電話を掛けた相手……先程までコメント越しに話していたノーみりん先生が不思議そうに出てくれた。


「……夜分遅くに申し訳はありません。その、今日のお礼とご相談したい事があって――――」

『全然、大丈夫だよ~あいも変わらず堅いねオリィちゃんは』


 配信での出来事を根に持っているかなとも思ったけど、そんな素振りは微塵も見せず、からからと笑ってどうしたの?と聞き返してくれる。


「えっと、まずはお礼を。お忙しい中、いつも配信にきてくださってありがとうございます。それに今回はスパチャまで投げてくださって…………」

『んーん、気にしなくていいよ。配信は私自身が楽しくて覗いてるだけだし、スパチャだって投げたいから投げてるんだもん』

「……それでもやっぱりお礼は言わせてください。私の配信がここまで伸びたのは間違いなく先生のおかげですから」

『…………真面目だねぇオリィちゃんは……ま、そういう事なら素直にお礼を受け取っておくよ』


 しょうがないなと言わんばかりに苦笑を漏らしたノーみりん先生は軽く嘆息してからそれで?と話の先を促した。


「……その、今朝の出来事なんですけど……配信でも話した前の会社の元上司が突然、家にやってきたんです……大声で怒鳴り散らして……ドアを力任せにばんばん叩いて……それで私、動けなくなっちゃって」

『…………そっか、でも、無事に配信してたって事は……オリィちゃんの悩み事はまた違う何かってことかな?』


 少しの沈黙の後、優しい声音で問うてくるノーみりん先生。その察しの良さに驚きつつも、その本題を切り出す。


「……はい、私が動けないでいる中、()()()()()が訪ねてきて、勢いのままに元上司を追い払ってくれたんです……それで、その人の正体が――――」

『今をときめくなりきり系最強Vtuber……〝漆黒ゆうぐれ〟だった、だよね?』

「……やっぱり、私の住所を彼女に教えたのはノーみりん先生だったんですね」


 どうして突然、白崎さん……〝漆黒ゆうぐれ〟が縁もゆかりもない私の家を訪ねて来れたのか、彼女はその辺の事情をある人物から教えてもらったと言っていた。


 しかし、少し考えればそのある人物が誰か分かる。


 私と白崎さんの共通点はVtuber……そして〝漆黒ゆうぐれ〟のキャラデザ担当……ママは〝礼嬢オリィ〟と同じ……つまり、ノーみりん先生だ。


『うん、その通りだよ。ゆうぐれちゃんに頼まれてね、流石にそんな事になっているなんて予想はしてなかったけど』

「……本当なら私は怒るべきなんでしょうね。許可なく個人情報を漏らされたのですから」


 まだまだ人気があるとは言えなくても、私だってVtuberだ。身バレの危険やあるとは思えないけど、ストーカー被害だって考えられる。


 それでなくとも住所という個人情報はいくらでも悪用ができるもの……恩人ともいえるノーみりん先生でも、簡単には許すべきではない事柄だろう。


『…………ごめんね。私の事嫌いになっちゃった?』

「……その言い方はずるいですね。まあ、でも、怒ってはいません。彼女のおかげで元上司を追い払えましたし、〝礼嬢オリィ〟にとってこの出会いは大きな意味を持つ事になるかもしれませんから」


 実際、もしも彼女がこなければ私は配信どころではなく、今も一人震えて……いや、耐え切れずにおかしくなってしまったかもしれない。


 それにノーみりん先生が何の意図もなく、悪意から白崎さんに私の住所を教えるわけがない。


 たぶん、自分の娘たちの事を思ったからこその行動……だからそれを責める気にはなれなかった。



17.配信準備をお読みくださり、ありがとうございます。


これは配信終わりにノーみりんは電話を掛けた彼女がその真意を知るお話です。


変わった人ながらも、自分の娘達の事を思いやる先生とそれを知った彼女の反応が気になる、推せるという方はチャンネル登録……もとい、ブックマークの方をよろしくお願いします……それでは彼女から一言!


「……普段は大分、はっちゃけているノーみりんお母様ですが、私達、子供の事をとても大切に思ってくださる素敵な方ですわ……年齢の事となると少し怖いですけれど」


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