114.配信中=彼女は嘘と真実を交え、強い想いをぶつける。
オリィちゃんの考えた作戦……それはそれは嘘には嘘を、どんな弁明も通じないスキャンダルなら別のスキャンダルで塗り潰そうというものだった。
「ああ、勘違いしないでほしいのだけど、恋愛的に女の子が好きだからといって、無理矢理迫ったりはしてないわよ……まあ、コラボ先でお泊りがあったりした時はドキドキしっぱなしだったけれどね」
《……嘘だって言いたいけど、話の節々からガチ感が滲み出てるのがなんとも》
《これは……どうなんだ?ある意味で大スクープというか……》
《ちょっと触れづらいカミングアウトをここでされても……》
《あー……うん、流石に反応に困る………》
私の一世一代を懸けた告白を前にコメント欄は困惑と衝撃に支配され、さっきまでの誹謗中傷が嘘のように静まっていく。
正直、いくらスキャンダルを他のスキャンダルで塗り潰すって言っても、大半の人に疑われると思ってたけど、まさかこうもあっさり信じられるなんて……
未だにこのカミングアウトをどうするかという議論に沸くコメント欄を目にしながらそんな事を考える。
もちろん、私が女の子を恋愛的に好きという事実はない……というか、そもそも、まだ真剣に誰かを好きになった事がないから、実際のところどうなのかは私にも分からなかった。
「……まあ、そういう訳で、私が男漁りをしているなんていうのはありえないというのが分かってもらえたかしら?」
《そ、それは……確かにガチっぽいし、違うかも……》
《……そうなると、あの記事は嘘だったってこと?》
《……冷静に考えれば具体的な話はなくて、らしいばっかりなのも変じゃね?》
《そもそもこの関係者って誰だよ?記事が嘘なら訴えられるレベルだろこれ》
どうするかという論争の末、コメント欄の流れは記事の大元……インタビューを受けている関係者を叩き、漆黒ゆうぐれを被害者として擁護する方向へと向かっている。
「……正直なところを話させてもらうと、私は配信活動をしていく上でこの事を明かすつもりはなかったわ。もちろん、内心……趣味嗜好の部分だからというのもあるけれど、何より、これが知られる事でファンのみんなに偏見を持たれるのが怖かった……だけど、このまま誤解されるくらいならって覚悟を決めたの…………本当に残念だけどね」
その流れに乗っかり、本当の事の中に嘘を混じえながら感情に訴える私。
それは演技な部分もあったけれど、全部が全部嘘じゃなく、本気でそう思っているからこそ、私は心の底からそう訴える事ができた。
114.配信中をご覧くださり、誠にありがとうございます。
配信の流れを変えた彼女の複雑な胸中とは……?
今後が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録とグッドボタン……もとい、ブックマークと評価の方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!
「思いの外、作戦は上手くいったみたいで何よりですわ……まあ、なんというか、その、掌がくるっくるーで草生えますけれど」
「……ま、ああいう人達はそういうものだからね。掌返し過ぎてどっちがどっちだか分かんなくなってるんだよ」
「……辛辣ねノーみりんママ。気持ちはよく分かるけれど」
「……とはいえ、配信業を続けていく以上はそういう人達と向き合っていくのは必至……仕方ありませんわね」
「そうだね……うん、あんまり悪く考えても仕方ないよ。そういう人達だって改心する事もあるだろうし、気にしてもしょうがない、しょうがない」
「……そうね。気楽に考えるべきだと私も思うわ……そう簡単に割り切れる気はしないけど」




